1.映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の詳細なあらすじ・ネタバレ結末
2.映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』のキャスト紹介
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』は2018年に公開された恋愛ロマンス映画です。
本作を一言であらわすなら「心揺さぶる感動の恋愛映画」です。
初恋の人との再開。
しかし、その彼は障がいを抱えていた。
大切な人とともに障害を乗り越えていく、純粋でピュアな若者の恋を描いた作品です。
主演は岩田剛典さんと杉咲花さん。
若手の俳優さんならでは力強い演技も楽しめます。
【導入】『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の簡単あらすじ
東京でインテリアコーディネーターとして働くつぐみは、高校時代に憧れていた鮎川樹と偶然に再会します。
彼が事故で車いすになっている事にショックを受けながらも、優しい人柄や障害に負けずに夢を叶えた力強さに惹かれ、想いを伝えて付き合う事になります。
しかし、ある事が起こり、障害が二人の人生を制限する事に気付かされます。
果たして、二人はどのような決断をするのでしょうか?
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』あらすじ詳細!
それでは以下にて、あらすじの詳細をご紹介していきますね。
あらすじ・ネタバレ1 憧れの人との再会
インテリアコーディネーターの川奈つぐみは、毎年春になると思い出す人がいました。
高校時代、図書委員をしていたつぐみの前に「ドン!」と大量の本を置いた男子生徒がいました。
それは先輩でバスケットボールのエースだった鮎川樹でした。
「貸し出しは一度に2冊までです。それにこの本は持ち出し禁止です」
つぐみが注意すると、樹は不貞腐れながらも本を棚に返しに行きました。
暫く後、つぐみは図書室で熱心に設計関係の本を読みこむ樹を見かけます。
「俺、将来は建築士になりたいんだ」
夢を語る樹と話すうち、つぐみは憧れの先輩との距離が近づいている事を嬉しく思い、仄かな恋心を抱くようになります。
美術部員だったつぐみは、バスケをしている樹の姿を想像して絵を描き、その絵は展覧会で入賞します。それをきっかけとしてつぐみは、絵を描く事を仕事にすると決めたのでした。
しかし、樹への恋心は明かす事が出来ずに高校を卒業し、以降会う事はありませんでした。
ある日、つぐみは取引先との食事の席で樹と再会します。樹は相変わらずカッコよく、しかも高校時代に語った夢の通りに建築士になっていました。
“今なら、告白できるかもしれない・・・”
「鮎川さんって、イケメンだよね。彼女とかいるかな?」
同僚と盛り上がっていたつぐみでしたが、帰ろうとする樹の姿を見て表情を曇らせてしまいました。
樹は腰から下が全く動かず、車いすに乗っていたからです。
「樹さんと付き合うのは無理ね」
同僚は簡単に諦めましたが、つぐみは「普通に、普通に・・・」と自分に言い聞かせて樹が勤める設計事務所に赴きました。
いつきは交流センター設計のコンペに応募する為の模型を作っていました。コンペに通れば、内装はつぐみの会社が担当する事になります。
親睦を深めるという目的で、二人は食事に出かけます。
その食事の席で、樹は大学時代に交通事故にあい、脊髄を損傷して足が動かなくなってしまったと教えてくれました。それでも夢だった建築士になりましたが、現場などでも少しの段差で人の手を借りなければならず、ハンデを感じてしました。そんな時、交流センターのコンペを任されたのは嬉しかったと語りました。
「しがみついてゆくよ、この仕事に」
目をキラキラさせながら笑う樹の顔を見て、つぐみは再び恋心が芽生えるのを感じました。
二人はまた食事にゆく約束をしましたが、当日樹は現れませんでした
下半身の感覚がない樹は知らない内にケガを負う事もあり、それが悪化して発熱し、入院したのです。
それでも樹はコンペに出す設計をベッドで書き続けていました。体調を心配する看護師の注意も無視し、夜中になっても仕事をつづけたのです。お見舞いに来たつぐみは樹を手伝いますが、見るに見かねて、休むように言います。しかし
「次なんてあるかどうかも分からない。今じゃなきゃダメなんだ」
と樹は聞き入れようとしません。
“先輩は今まで、どれほど悔しい思いをしてきたのだろう。闘ってきたのだろう。苦しんできたのだろう・・・”
そう思ったつぐみは看護師を説得して樹が仕事をすることを認めてもらいました。そして、最後の着色を自分にやらせてほしいと申し出ます。
「でも、私のせいで先輩の作品が台無しになったらどうしよう・・・」
自分から言い出したものの、そういって躊躇するつぐみに、樹は高校時代に自分の絵を描いてくれていた事を知っていたと明かし
「川奈が塗ってくれるなら、台なしになんかなる筈がない」
と励ましてくれました。
樹と二人で作品を作り上げてゆく時間は、つぐみにとって至福の時間でした。
あらすじ・ネタバレ2 二人を阻む壁
そうして作り上げた作品は、入選はしなかったものの佳作となり、二人は共に仕事をする事になりました。
休みの日にも二人は一緒に過ごすようになりました。
「俺と一緒に出掛けると大変だろう?さっさと彼氏でも作った方がいいぞ」
「たまに漏らすんだ。排泄障害って言って、仕方ないんだけれど」
一緒にいると自分が重荷になると感じている樹は、恋をする事もあきらめていました。しかし、つぐみは
「障害があっても、きっとそれを乗り越えて付き合おうっていう人もきっといますよ」
「好きだったら、漏らすぐらい何でもないですよ」
と樹を元気づけていました。
ある日、東京在住者を対象とした高校の同窓会が開催される事となり、つぐみと樹も出席しました。
樹はやはり人気者で、クラスメイトやバスケ部員達と昔と変わらない表情で話していました。
つぐみも同級生だった是枝洋貴(チビザル)と再会します。
そして、会場には高校時代に樹と付き合っていた雪村美姫も来ていました。
樹と美姫は同窓会会場を抜け出し、二人きりになります。そして美姫は、もうすぐ自分が結婚する事を告げました。
「俺にはもう関係ない」
それを聞いた樹の反応は素っ気ないものでした。
「やっぱり、今日は来るべきじゃなかったね・・・樹だって、幸せになる権利はあるんだよ」
美姫は涙ぐみながら部屋を出てゆきました。そして、つぐみはその様子を物陰から隠れて見ているしか出来ませんでした。
数日後、つぐみは樹を連れてドライブに出かけました。
「川奈、運転できるんだな」
「ナビとバックモニターがあれば余裕です」
「それ、余裕って言わないからな!ーそれで、川奈が行きたい所ってどこ?」
「まだ秘密です」
着いたのは美姫の挙式場でした。
「・・・帰るぞ」
しかし、つぐみは頑として聞き入れません。説得され、樹は美姫のウエディングドレス姿を遠くから見つめていました。それに気が付いた美姫は、何も言いませんでしたが、うれしそうに微笑みました。その姿を見て、樹も和やかな表情になり
「よかった、しあわせになってくれて・・・」
と涙ぐんだのでした。
そんなある日、樹がまた体調を崩し、検査入院をすることになりました。
つぐみが見舞いに来ると、ちょうど樹の母 文乃も病室にやってきました。文乃は一人暮らしをしている樹の体を心配し、地元に帰って一緒に暮らさないかと説得に来たのでした。
しかし、樹は一人で生きていきたいからと拒否します。
そして、つぐみに対しても、改めて好意を寄せてくれても、それに応える事は出来ないと告げました。
「俺は、美姫と別れた時に一人で生きていくって決めた。その決意で仕事も頑張ってきた。今、誰かに甘えたら、その気持ちが崩れて止まってしまう気がするんだ・・・」
つぐみは何も言う事が出来ませんでした。
“私は、大切な事を言葉にしてちゃんと伝えないといけない・・・”
つぐみはずっと思い悩んでいました。
数日後、つぐみは雨の中で何かを探している樹を見掛ます。
慌てて駆け寄ると、樹は二人でいた時に偶然拾った猫がいなくなったと探していた、と答えました。
傘もささず、一人でずぶ濡れになりながらも「いいから、いいから」と猫を探し続ける樹の姿に、つぐみは
「私の想いを軽く扱わないでください!私は・・・先輩が好きなんです。だから、心配なんです・・・」
結局、二人は猫を見つけられず樹の家に戻りました。すると、猫は戸棚の奥に迷い込んでいました。逃げたと思ったのは勘違いだったのです。二人は笑い合い、その後で樹がつぐみを抱き寄せてキスをしました。
そして、二人は付き合う事になったのです。
あらすじ・ネタバレ3 障害を越えて寄り添う二人。しかし・・・
つぐみは前にも増して二人で同じ時間を過ごすようになりました。
ある日、樹からプレゼントをもらったつぐみは
「先輩は優しいから、突き放せずに無理してるんじゃないかと心配してたんです・・・先輩、彼女にしてくれてありがとう」
と涙ぐんでしまいました。
そしてお盆休み、二人は故郷である長野県松本市に一緒に車で帰りました。実家の近くまで来た時、つぐみの父親が偶然通りかかりました。気付いた樹は慌てて挨拶をしましたが、車からは下りず、車いすが必要な体だと気付かれた様子はありませんでした。
その夜、両親と食卓を囲んでいたつぐみは、今付き合っている人がいる事、そして車いすに乗っている人である事を打ち明けました。それを聞いたつぐみの父は、何も言わずに立ち上がって、その場から出て行ってしまいました。
次の日、再会した樹は
「お父さんに何も言われなかったか?」
とつぐみに聞いてきました。
“私が交際を反対されたって、分かってるんだ。そして、それを全部受け止めようとしてくれている”
つぐみの、樹に対する想いは更に募ってゆきました。
東京に戻った時、樹の家に行くとヘルパーの長沢葵が来ていました。
前から樹に話を聞いていたつぐみは、いい機会だからと、樹の世話をする上での注意点を教わりました。そして、帰る時に葵はつぐみを呼び止め
「私は鮎川君がケガをして、歩けない事に悩んでいた時からずっと知っている。だから言わせてもらうけれど、彼と付き合うには覚悟が必要よ」
と、生半可な気持ちでは付き合えないと告げました。
そんなある日、樹の設計事務所に、夫が車いすの為バリアフリー仕様の家を建てたいという夫婦からの依頼があり、内装はつぐみが担当する事になりました。
つぐみは樹をこれまで以上に支えよう、もっと理解してあげようと頑張り始めます。仕事にも打ち込み、その後は樹の家に毎日通い、身の回りの世話を続けました。
更に、両親からは「鮎川君の事でちゃんと話がしたい」とメールが何度も送られてきていました。
様々な事が重なり、つぐみは心身ともにすり減ってゆきました。
久しぶりに再会した是枝や、樹からも
「大丈夫?」
と心配されましたが、心配ないとつぐみは頑張り続けました。
そして、樹と一緒に電車を待っていた時、駅員を呼んで来ようとしたつぐみは通行人とぶつかってしまいます。元から疲労がたまっていたせいもあり、ふらついてホームから線路に落ちてしまいました。
慌てた樹でしたが、どうする事も出来ず、大声で駅員を呼んで助け出してもらうしかありませんでした。
つぐみは、命に別状はないものの足を痛めて入院してしまいました。病室にやって来たつぐみの両親は
「どうしてこんな事に・・・」
と樹を責めました。
樹は言い返す事も出来ず
「一緒にいながら、助ける事ができず申し訳ありません」
と謝るだけでした。
後日、改めて見舞いに来た樹を、つぐみの父は病室に入る前に呼び止め
「どうか、娘とは別れてほしい」
と頭を下げて頼みました。
そして、樹は退院したつぐみを遊園地に誘います。
樹と楽しい一日を過ごしたつぐみは、最後に一緒に観覧車に乗りました。
観覧車が上り始め、夜景が見え始めた時、樹はおもむろに話し始めました。
「この間、駅で倒れた時に、立ち上がって手を伸ばしていれば助けられた。川奈にしてあげられる事が少なくて悔しい。俺は川奈を傷つけてる。大事に思っているからこそ、自分の人生を生きて欲しい・・・別れよう」
つぐみは泣いて別れを拒みましたが、樹がその決意を翻す事はありませんでした。
あらすじ・ネタバレ4 捨てきれない、本当の想い。
それから数か月、樹と別れたつぐみは仕事に打ち込んでいました。
是枝とは食事をする間柄ですが、関係は友達のままでした。
つぐみの心の中にはまだ樹がいて、是枝もその事を察していたのです。
そんな時、父親が脳梗塞で倒れたと連絡があり、つぐみは暫く実家に戻ります。
そして、高校時代に樹を思いながら描き、展覧会で入賞した絵を押し入れから出して眺めていると、段々と懐かしくなってきて、つぐみは何年かぶりに高校を訪れました。
そして、絵にも描いていた思い出の桜の木を眺めていた時、電話が掛かってきます。
相手は樹のヘルパー 長沢葵でした。そして、樹が難しい手術を受ける事を知らされます。
居ても立ってもいられなくなったつぐみは、両親に
「先輩の所に行く。今行かないと後悔する気がする」
と告げます。東京に戻ろうとするつぐみに対し、父親は
「お前が倒れた時、鮎川君に別れてほしいと頼んでいた。娘の幸せを願えば当然のことだと今も思っている。でも、その後で病を経験して分かった事もある・・・後は、お前が決めなさい」
と言って送り出してくれました。
つぐみが病院に駆けつけると、樹は手術の最中でした。
そして手術室の前で待っていた長沢から手紙を渡されます。
そこには、事故で足が動かなくなった自分は、それを受け入れて周りと上手くやっていけるようになっても、どこか壁を作っていた事。そんな時、その壁を乗り越えて真っすぐにぶつかってくるつぐみと出会って惹かれていった事、そして最後に「手術が成功したら、あの桜を二人で見に行きたい」と書かれていました。
それから暫くして、つぐみは再び高校にやって来て桜を眺めていました。
一人でたたずむつぐみの後ろから声がしました。
「懐かしいなぁ」
そこには元気になった樹がいました。
そして、改まった顔で
「私、今の先輩が好き」
と言ったつぐみに、いつきは言いました。
「手術の時、うかんだのは川奈の顔だった。そして、気付いた。二人でいれば、世界は完璧だって」
そして、つぐみの目を見つめて
「結婚しよう」
とプロポーズしたのでした。
そして、数か月後、皆に祝福され、教会で結婚式をあげる二人の姿がありました。
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の主要キャスト
それでは以下にて『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の主要キャストをご紹介していきましょう。
・川奈つぐみ(演:杉咲花)
インテリアの会社でデザイナーとして働く女性。出身は長野県松本市。高校時代に憧れていた鮎川樹と仕事で再開し、車いす姿になっている事に驚きつつも告白して交際する。高校時代は美術部に所属していた。(末っ子らしいが、映画では兄弟姉妹は登場しない)
・鮎川樹(演:岩田剛典)
設計事務所で設計士として働いている。つぐみとは同じ高校の先輩と後輩の関係。高校時代はバスケ部のエースだったが、大学時代に事故にあって脊髄を損傷し車いす生活となる。夢だった設計士になり、プライベートでも車いすバスケをするなどアクティブな人生を送っているが、障害を理由に人と距離を置きがちな一面もある。高校時代に恋人がいたが、車いす生活になった事を理由に別れている。
・是枝洋貴(演:須賀健太)
つぐみとは同じ高校の同級生で、今は東京でシステムエンジニアをしている。同窓会で再会したつぐみに好意を抱いているようだが、樹との事を想って表に出さずに友達関係をつづけている。
・長沢葵(演:芦名星)
元看護士の介護ヘルパー。ケガをした直後から樹の世話をしてきたので、つぐみにも生活上のアドバイスを色々としてくれた。
・川奈元久(演:小市慢太郎)
つぐみの父親。無口ながら、つぐみの事を心底思っており、樹との交際も心配している。
・渡辺剛(演:マギー)
樹が勤める設計会社の社長。樹の良き理解者で、公私ともに彼を支えてくれている。
映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の感想まとめ
高校時代にあこがれていた先輩と再会し、足が不自由だという障害を乗り越えてゆく恋愛映画です。
樹の足が不自由だという障害の為に、様々な制約がありますが、それだけに樹の頑張りやつぐみの誠実さや献身的なひた向きさが強く感じられました。
周りの人達の接し方も様々です。
樹の事を理解してくれ、温かく見守っている渡辺社長や、樹を思うあまり強い事も言うヘルパーの長沢葵、つぐみの事を思いながらも言い出せない是枝、娘の将来を心配して樹との交際に難色を示すつぐみの両親などを見ていると、相手の事を想う気持ちも出方によって様々だと感じさせてくれます。
そんな中でやはり印象に残るのは、つぐみを演じる杉咲花さんの力強い視線と、樹役の岩田剛典さんの柔らかな笑顔でした。恋愛と、障害をどう乗り越えるかという難しいテーマが絡む中、それを突き抜ける強さや優しさを感じられました。
映画とコミックやドラマではストーリーが少し異なるので、違いを確かめてみるのも面白いかもしれません。
障害や、それを乗り越えてゆく難しさを考えさせられるだけではなく、心に直接響く感動も十分に感じられる印象深い作品でした。