映画『ヒメアノ~ル』あらすじ・ネタバレまとめ!レビュー【R-15作品】

▼この記事はこんな内容が書かれています。
1.映画『ヒメアノ~ル』の詳細なあらすじ・ネタバレ結末
2.映画『ヒメアノ~ル』のキャスト紹介
3.映画『ヒメアノ~ル』の監督
4.映画『ヒメアノ~ル』の感想・レビュー
たかりょー
こんにちは、シネコンスタッフ歴5年・年間100作以上映画をみている、ちょ〜映画好きのたかりょーです。

『ヒメアノ~ル』は2016年に公開されたエログロバイオレンス映画です。

てか日本の映画でひさしぶりに「あっいいバイオレンスだな〜」って感じるくらいいい映画でした。

ロマンティック・ブラックコメディー・犯罪・ドラマといろんな要素が詰まっています。

 

味気ない日々を送っていた青年岡田。彼が先輩の安藤の片思いをサポートする内に、その相手に一目ぼれされて付き合うことになります。

しかし、それがきっかけで連続殺人にも巻き込まれてしまう。。。というような筋書きなのですが、とにかくV6森田剛くんが人を殺しまくります。

森田剛くんの怪演にも注目です!

目次

映画『ヒメアノ~ル』の簡単あらすじ

清掃会社のアルバイト岡田は職場の先輩安藤に頼まれてカフェの店員ユカとの仲を取り持つことになります。

実は、ユカに好意を抱いていたのは安藤だけではありませんでした。

奇しくも、それは岡田の高校の同級生・森田でした。

岡田は、安藤に半ば強制されてユカの身辺を探ったり、森田の動きをけん制してボディーガードまがいの事をしたりするようになります。

そして、岡田は思いがけずユカに告白されてしまいます。岡田は安藤に申し訳なさを感じながらも、秘密で付き合うようになります。

しかし、森田はすぐにその事を察知します。

そして、森田には高校時代に自分をいじめていた不良を殺した過去があり、殺人を何とも思わないサイコパスになっていました。

味気ない毎日を送っていた岡田が一変して楽しい時を過ごす一方、森田は欲望のままに破滅的な道を歩んでいきます。

やがて、狂気に染まった森田は岡田とユカの命を付け狙うようになってゆくのでした・・・

映画『ヒメアノ~ル』の登場人物

・岡田進(演:濱田岳)

清掃会社のアルバイトをしながら、変わり映えのない日々を送っていた。

それに嫌気がさし、先輩の安藤に話しかけた事をきっかけにカフェ店員のユカと出会う。二人は付き合い始めるが、その出会いは恐ろしい連続殺人に巻き込まれるきっかけでもあった

・森田正一(演:森田剛)

岡田の高校時代の同級生。

入学直後は岡田とゲームの貸し借りをするなど仲が良かったが、同級生の河島からいじめを受けるようになった頃から疎遠になっていた。
高校卒業直前に自分をいじめていた河島を拉致して惨殺し、それを手伝った和草から金を脅し取って生活している。定職にはつかず、和草から脅し取った金とパチンコで生活している様子

・安藤勇次(演:ムロツヨシ)

岡田の会社の先輩。

人付き合いが苦手で奇行が目立つが、岡田のミスを庇ったり、森田に襲われても岡田の居場所を教えなかったり、男気のある一面も垣間見える。女性経験は0。日本酒に詳しい。

・阿部ユカ(演:佐津川愛美)

カフェで働く若い女性。

岡田のような男がタイプで、一目ぼれして付き合うようになる。初体験は14歳で経験人数は10人チョットと、意外に性に奔放な性格。森田や安藤など、性格に難ありな男を引き付けやすい体質でもある。

・和草浩介(演:駒木根隆介)

森田や岡田の同級生。

親はホテルのオーナーで、今はマネージャーとしてそのホテルで働いている。一人息子なので、次期オーナー社長はほぼ決まっていた。同じホテルで働く久美子と婚約している。
高校時代は森田と共に河島にいじめられていた。河島を殺すのを手伝った事で森田に脅され、毎月50万前後の金を払い続けていた。秘密を守るために森田を殺そうとしたが、返り討ちに会って久美子と共に殺されて焼かれてしまう

・久美子(演:山田真歩)

和草の婚約者。

和草の親が経営するホテルの従業員でもある。経理もしていたが、和草に頼まれて会社の金を横領していた。

『ヒメアノ~ル』のあらすじ詳細

あらすじ・ネタバレ1【安藤の恋】

清掃会社のアルバイト 岡田はある日、ペンキ塗りたての場所を歩いてしまいます。
そのミスを先輩である安藤が変わって謝ってくれました。
仕事をまともにできない悔しさもあって、岡田は
「自分、これと言った趣味も無く、仕事して食って寝るだけのダラダラした生活を繰り返してるんです。最近、それがフッと不安になり出しまして・・・」
と、心の内を明かします。岡田の告白を聞いた安藤は
「不満や不安のない人間なんかいない。その不満がより良い人生を送ろうとする原動力になる。だから、君は変じゃない。無闇に自分をいじめる事はないよ」
と言ってくれました。
その言葉に岡田は感銘を受けます。
「安藤さんも不満と戦いながら、ダラダラ生きている訳ですか」
「いや、僕は違うよ・・・毎日、恋をしている」
仕事が終わった後、岡田は安藤に連れられてあるカフェにやって来ていました
安藤はそのカフェの店員 阿部ユカに恋をして足しげく通っていたのです。
「・・・安藤さん、止めといた方がいいですよ。若くて可愛くて、動物としてのカテゴリーが違います」
岡田は忠告しましたが、安藤は
「あの子は僕の天使だ。彼女は生きる希望なんだ」
と聞く耳を持ちませんでした。そして、突然テラス席に目を向けて舌打ちをします。
「あの金髪、また来てやがる。アイツ、いつも俺の天使ちゃんをジロジロ見てるんだ」
そう言われて、テラス席にいる金髪男に目を向けた岡田は、その男が高校時代の同級生 森田正一である事に気付きます。
その事を安藤に話すと
「俺の天使ちゃんによからぬ事を考えてないか確かめて来てよ」
と、半ば強引に話をしてくるように言われます。
渋々、岡田は偶然を装って森田に話しかけました。
「君、森田君だよね?オレ、高1の時に同じクラスだった岡田。覚えてる?」
「・・・あぁ、岡田君。久しぶり」
やはり金髪男は岡田の同級生、森田でした
「森田君、よくここ来るの?あそこにいる俺の先輩が、いつもこの店で見かけるって言ってるけど」
「いや、来るのは初めてだよ。その先輩、何か勘違いしてない?」
そう言われて、岡田もそれ以上の追及は出来ませんでした。
その事を報告すると、安藤は更に森田に対する警戒心を強め
「ユカちゃんを守る為、彼女の事を調べ上げよう。まずは彼氏がいるかどうかからだ」
と言い出します。しかも、それを
「ボクは面が割れているから」
と岡田に押し付けてきました。岡田は断ろうとしますが
「今日、僕は君の代わりに怒られたんだ。それぐらいしてくれても良いだろう」
と言われ、仕方なく引き受けます。
その日の夜、岡田は話を聞こうとユカのバイトが終わるのを待っていましたが、段々と気が引けてきて、安藤に電話をかけて断ろうとします。
その時、後ろから
「そこで何してるんですか?」
と話しかけられます。振り向くと、バイトが終わったユカが立っていました。
「あの、森田って人に頼まれたんですか?」
昼間、岡田と森田が話している所を見掛ていたのです。そして、森田が店に来るようになった一か月前あたりから、郵便物が抜き取られたり、無言電話が掛かってきたりなど不審な事が相次いでいる事も打ち明けてきました。最近では、ユカの家の周りを森田がウロウロしているのも見かけていたのです。
「あの森田って人に、もう来ないように言ってもらえませんか」
「・・・あの、つかぬことをお伺いしますが、ユカさんに現在お付き合いしている人はいますか?いたら、心強いかなと思いまして・・・」
「・・・いません」
次の日、やはり森田がユカを付け回していたらしい事を安藤に報告すると
「やっぱりあの金髪は俺の天使ちゃんのストーカーだったか!」
と怒りをあらわにし、24時間体制でユカを守ると言い出します。
また、ユカに彼氏がいない事を話すと「ヌッ!」と妙な声を上げて喜んでいました。
その日の仕事が終わった後、岡田と安藤はユカのいる店に行き、互いの連絡先を交換しました。その時、森田は店にいませんでした。岡田は鉢合わせしなくてよかったと安堵しますが、安藤から
「森田ってやつにガツンと、無理ならせめてコツンぐらい言ってやれ」
と急かされてしまいます。

あらすじ・ネタバレ2【森田との再会。変貌】

数日後、岡田は仕方なく森田を飲みに誘いました。会話の中で
「このあいだ、喫茶店にいた女の子の事が好きなの?」
と聞くと、森田は否定しました。しかし、
「あの時に一緒にいた先輩が、森田君がいつもいるって言ってたからさ」
と岡田が言うと
「アイツ、いつもあの店に来て、変な目つきであの女の事を見てた。気持ち悪いと思ってたんだよ」
と、先日「この店には初めて来た」と言った事とは矛盾した言葉を口にしてしまいます。しかし、岡田がその事を指摘しても、森田はポカンとした顔で「知らない。そんな事、言ってない」と言うだけでした。
更に岡田が、夢もなく単調な日々を過ごす事への不安を安藤に相談して「不安や不満のない奴なんかいない。皆、同じなんだ」とアドバイスされて感動した事を話すと
「同じじゃないだろう。金持ちと俺たちじゃ環境が違うって事に気付けよ。俺たちみたいに何も持ってない底辺の人間は、もうここから逃げ出せないんだぜ。夢なんか見るなよ」
と、心底冷めた口調で言われてしまいます。
岡田は森田の雰囲気にのまれてしまい、それ以上の反論は出来ませんでした。
数日後、安藤は
「そろそろユカちゃんを飲みに誘おうと思う。どういう風に誘えばいいと思う?」
と岡田に相談します。そう言われても岡田もどうして良いか分からず
「自然な流れで良いんじゃないですか」
と答えるしか出来ませんでした。
その頃、パチンコで負けた森田は、高校時代の友人 和草浩介に電話をして
「今月分がまだなんだけど」
と入金を催促します。
和草の父はホテルの経営者ですが、和草自身はまだそのホテルの一従業員にすぎず、金はそうそう自由になる訳ではありません。
婚約者で経理担当の久美子を拝み倒して、ホテルの金をごまかしてもらい、それを森田への金に宛てていました。度重なる要求に耐え兼ねた久美子は
「これって犯罪だよ。バレたらクビだけじゃなくて、捕まるかもしれないんだよ!」
と訳の分からない入金を止めさせようとしますが、結局「これが最後だから!」と押し切られてしまいました。

あらすじ・ネタバレ3【ユカが好きなのは・・・】

岡田と安藤がユカの警護をするために店に通い始めてから1週間が経ちました。
その間、森田は一度も姿を現さず、岡田は喫茶店に毎日通う事を苦痛に思い始めていました。
ユカも、毎日来られる事を重荷に感じたのか
「もう大丈夫そうなんで、警備は止めてもらっても・・・」
と二人がいるテーブルにやって来て切り出しました。
しかし、安藤はこれをチャンスだと思ったのか、いきなり
「いや我々はこの店のドーナツが好きなんです。お構いなく。ところで、私は日本酒も好きなんですが、ユカさんはどうですか?今度一緒に日本酒を飲みに行きませんか?」
と、前々から用意していたと思われる台詞を棒読みがちながら一息で言い切りました。
すると、ユカは意外にも岡田と自分の友達も一緒なら、とOKしてくれました。

「岡田さんも意外とやりますね」
「自分でも驚いているよ。でも岡田君、くれぐれもボクとユカちゃんの邪魔はしないでくれよ」
「安藤さんも、ユカちゃんの友達の方を気に入ったりしないでくださいよ」
盛り上がりながら待ち合わせ場所にやって来た岡田と安藤でしたが、何処から見ても美人とは言い難いユカの友達 アイの姿を見た途端にテンションがガタ落ちしてしまいます。
おまけに、アイは空気を読まずに自分の思った事を言う性格で、二人に会うなり
「今日、時間ないんだよね。TV番組の録画、忘れちゃって」
と言い、その後で一緒に行った居酒屋でも
「岡田君って、私が昔付き合った人に似てるんだよね。ソッコーで振ったけど、”別れたくない”って泣いてた」
「岡田君って、いかにも小粒って感じだよね」
と失礼な発言を繰り返していました。
さすがに岡田が頭に来始めた時、それを察した安藤が
「これはアイちゃんなりの高度なギャグなんだよ」
とフォローしますが、アイは逆上して矛先を安藤に向けます。
「あんた、ユカの事が好きなんでしょう?でも無駄だよ、ユカは今好きな人がいるから。幼稚園から幼馴染の私にはちゃんと分かるから」
慌ててユカが止めましたが、場の雰囲気はすっかり白けてしまいました。

しかし、数日たっても安藤はユカの事を諦める事が出来ませんでした
そして、安藤に頼まれた岡田は仕事終わりのユカを公園に誘い、話を聞く事にしました。
「好きな人がいるって本当ですか?その人が好きじゃなくなったら、安藤さんと付き合うって可能性は無いですか?」
と岡田は食い下がりましたが、ユカは申し訳なさそうに首を横に振るだけでした。
「じゃぁ、仕方ないですね。安藤さんにはそう伝えます・・・」
岡田が立ち去ろうとした時、ユカが唐突に口を開きました。
「私の好きな人、岡田さんです。一目ぼれです。タイプなんです」
思いもしなかったユカの言葉に岡田は驚き
「もしかして、何かの罰ゲームですか?どこかにカメラでもあるんじゃ・・・」
と辺りを見回した時、物陰から二人の事を覗き見ていた安藤に気付きました。
「安藤さん、これは違うんです!」
岡田が叫ぶと同時に、安藤は甲高い叫び声をあげながら何処かへ走り去ってしまいました。

その日以来、安藤は会社に来なくなりました。
無断欠勤が1週間続き、社長が
「明日来なければ、安藤はクビだ」
と言い始めたので、心配した岡田は安藤のアパートに行ってみました。
呼びかけてみると、意外にも安藤はサッパリした様子で出てきて、部屋に入れてくれました。
「心配してきてくれたんだね。ありがとう。でも大丈夫だよ。だって、気が付いたんだ。親友の岡田君が僕の運命の人を横取りする筈がない、ってね。もしそんな事があったら、僕は岡田君をチェンソーでバラバラにしてしまうかもしれないな」
そんな岡田の話を聞きながら何気なく視線を別の所に向けた時、岡田は凍り付きました。そこには実際にチェンソーが置かれていたのです。

その日の夜、ユカに会った岡田は
「そんなわけで、あなたと付き合う事は出来ません」
とユカに謝罪ました。しかし、ユカに
「岡田さん自身の気持ちはどうなんですか?私と付き合うのはイヤですか?」
と聞かれ
「ぜひお願いしたい位、嬉しいです」
と答えると
「じゃぁ、内緒で付き合えば問題ないじゃないですか。大丈夫、バレませんよ」
と言われてしまいました。そう言われると、岡田も断る気がなくなり
「では、秘密でボクと付き合ってください」
と告白し、岡田とユカは付き合うことになりました。

あらすじ・ネタバレ4【森田の過去。暴走しだす狂気】

一方、再び金を要求された和草は、ホテルの事務所に忍び込み、金庫を開けようとしていました
しかし、久美子に見つかってしまいます。
「こんなの度が過ぎてる。ねぇ、事情を話して。私、相談してくれない事が一番悲しいの」
問い詰められて、和草は昔の事を語り始めました。

高校時代、森田と和草は河島と言う同級生から酷いいじめを受けてしました。
周りは誰も助けてくれず、二人は耐え続けていました。
そして、卒業の3日前、和草の元に”川島を捕まえた。一緒に殺そう”と森田から連絡が来ました。言われたとおりに山奥までやって来ると、森田の足元に縛り上げられて既に血だらけの河島が転がっていました。
「”今までされた事を思い出して河島を殴れ”って言われたけれど、最初は断った。でも”逃がしたら、俺達がやられる”って言われて・・・バットで殴っている内に、いじめられた事を思い出して止まらなくなった。最後は森田がとどめを刺した・・・」
その日以来、森田は性格が変わってしまいました。態度が大きくなり、親にも暴力を振るうようになったのです。そして、殺人の共犯になった事をネタに河島から金をせびり続けていたのです。

一方、岡田は安藤に秘密とは言いながら、ユカとのもんじゃ焼きデートを楽しんでいました。
女性経験のない岡田としては、こんな風に食事をしたり何処かに遊びに行ったりするだけでも大満足でした。しかし、ユカは「それ以上の関係」までも想定に入れていました。
その事が分かって、表面上は平静を装っていたものの、岡田は内心穏やかではいられませんでした。
その日の帰り道、岡田は袖を引っ張られ、ユカが「それ以上」を求めていると気付きます。
大慌てで自販機を見つけてコンドームを買った岡田は、ユカを自分のアパートに連れてゆきました。
暫くは二人で並んで座ってTVを見ていましたが、ユカの方からキスしてきました。
それがきっかけとなり岡田はユカの胸に手を伸ばし、ぎこちないながらも体を重ねる事が出来たのでした。
段々と調子が出てきて、ユカの声は部屋から漏れ出していました。
その声を外でじっと聞いていた人影がありました。表情のない顔で岡田の部屋を見つめる森田でした。

暫くして、森田は和草に電話をしていました。「高校の時、岡田っていたの覚えてる?アイツ殺すからさぁ、ワグっちゃん、手伝ってよ」
勿論、最初は断っていた和草でしたが
「手伝ってくれなきゃ、オレ、何するか分かんないよ?」
と言われ、これは断れそうも無いと観念します。
警察に自首すると決め、久美子に
「俺はもうお終いだ。他にイイヤツ探してくれ」
と言い残して出ていこうとしましたが、引き止められてしまいます。
「私、ずっとあなたと一緒にいたい。離れるなんて嫌。森田って奴、殺そう」
そう説得され、和草と久美子は鉄パイプやビニールロープを用意して森田の家に向かいました。

同じ頃、岡田とユカはベッドの中で過去の経験人数や初体験は何歳だったかと言う話で盛り上がっていました。
やっと童貞を捨てる事が出来た岡田は、ユカの
「これから色んな事をいっぱいしようね」
と言う言葉にのぼせ上り、欲望のままにユカを抱き続けていました。

呼び出してから数時間後、和草がやって来たと思ってドアを開けた森田はいきなり殴りつけられて床に組み伏されてしまいます。しかし、久美子がビニールテープの封が開かずにモタついている内に、和草は傍に会ったペンで首を刺され、倒れ込んでしまいました。痙攣し、奪われた鉄パイプで殴られる和草の姿にすっかり戦意を喪失した久美子は逃げ出そうとしますが、森田に捕まってしまい、滅多打ちにされてしまいます。
最後には失禁までして、そのまま殴り殺されてしまいました。和草は既にその横で失血死していました。
森田は二人の死体に灯油をかけ、火を放って部屋から逃げ出しました。
次の日、森田はユカの働くカフェのすぐそばに立っていました。ちょうど岡田と安藤が客として来ており、岡田はユカと密かにアイコンタクトをして微笑み合っていました。
その様子を見ながら、森田は無言でその場から立ち去りました。
暫く後、森田は定食屋で食事をしながら、TVで自分の部屋の火事のニュースを見ていまいた。それによると、火元とみられる部屋から身元不明の2人(森田の部屋なので、警察や消防は和草や久美子の事など知り様もなく、身元不明とされてしまったらしい)、上の部屋から3人の遺体が見つかっていました。
しかし、森田は特に動じる風もなく食べ続けていました。
そして夜、訳も分からずムシャクシャして怒鳴り散らしていた森田は、たまたま近くを通りかかったOLの後を付け、アパートに入る直前を狙って襲い掛かり、部屋の中で強姦した後に殺してしまいます。
次の日、何事もなかったようにパチンコをしていた森田は珍しく15万円ほど大勝ちします。しかし、換金所を出た直後に体格のいいチンピラ二人に襲われ、儲けた金を奪い取られてしまいました。
鬱憤をため込んだ森田は衝動的にユカのアパートにやって来ました。留守だと分かっても、腹の虫がおさまりません。大声をあげながら、怒りに任せてドアをけり続け、隣の部屋の住人に注意されるまでやめませんでした。
その夜、漫画喫茶で夜を過ごそうとした森田でしたが、高校時代に河島にモデルガンの的にされたり、無理やり犬の糞を食べさせられたりした時の夢を見てしまいます。

同じ頃、何も知らない安藤から
「そろそろ、ユカちゃんに告白をしようと思う」
と相談を受けた岡田は、意を決してユカを付き合っている事を告白します。話が終わった時、一旦は
「そうか・・・」
と安藤が納得したように見えたのでホッとした岡田でしたが、安藤はすぐに
「ふざけんな!ずっとだましてたのかよ。お前なんか・・・もう絶交だ!」
と激昂して何処かへ立ち去ってしまいました。
数日後、会社にやってきた安藤は髪の毛を角の様に固めた髪型になっていました。
「会社に髪型の規定はありませんよね」
「これはもう恋をしないと言う決意の表れです」
「岡田君とは絶交したのでペアでの仕事は遠慮します」
奇妙な行動をし続ける安藤に対して、事情を知らない社長は戸惑いながらも
「そんな髪型で客先にやれるか!直すまで会社に来るな!!」
と怒鳴る事しか出来ませんでした。
一方、数日ぶりにアパートに帰って来たユカは、隣の部屋の住人から
「危ない感じの男が大声を上げながらドアをけり続けていた」
と聞かされ、森田が来ていたと悟ります。ドアには無数の足跡もついていました。
すぐに警察に相談しましたが「実害がないと警察は手出しできない」と言われて落胆します。
その事を相談すると、岡田は警察の対応の悪さに憤慨し
「当分、帰らない方がいい」
と自分のアパートに暫くいるように提案します。

あらすじ・ネタバレ5【凶行の終焉】

怒りのやり場をなくした森田の行動は更に常軌を逸し始めました。
目についた家に入り込み、そこにいた奥さんを犯して殺し、夜に帰宅した夫も包丁で刺殺してしまいます。数日後、住人と連絡が取れないと通報を受けてやって来た警官も殺して銃を奪ってしまいました。
頭の中では
「早く死ね!お前なんか生きてる価値ねぇんだよ!!」
「まぁまぁ落ち着けよ。みんなぶっ殺せば問題ねぇだろうが」
と幻聴がなり続けていました。
そしてユカの働いていたカフェにやって来ましたが、もうユカは辞めていました。
再びユカのアパートにやって来てドアをけり続けていると、異常を隣の部屋の住人が出てきました。
「警察に連絡するぞ!」
と怒鳴られましたが、逆に銃で脅して部屋に入り込み、ベランダからユカの部屋に入り込みました。
しかし、ユカは既に引っ越しており、部屋はもぬけの殻でした。
頭にきた森田は、縛り上げた隣の部屋の住人の頬を撃ち抜いてユカの行方を聞き出そうとしましたが、怯えて泣き叫ぶだけでした。本当にユカの行方を知らないと悟った森田は、あっさりと隣の部屋の住人の頭を撃ち抜いて殺してしまいました。
その頃、殺された警官の死体が見つかり、森田の犯行が明らかになって行きつつありました。
ユカのことで警察に相談に行った岡田は、森田が和草をはじめとして見境なく人を殺し続け、自分やユカを付け狙っている事を知ります。
岡田が警察にいる時、ちょうど森田は岡田がバイトしている清掃会社に来ていました。しかし、岡田の姿は見えず、偶然通りがかった安藤に
「ここに岡田って奴、いる?」
と質問します。カフェで森田を見掛た事のあった安藤は
「君はユカちゃんのストーカーだな?そんな事は、もう止めたまえ」
と説教します。銃を突きつけられてもモデルガンだと高をくくっていましたが、腹と股間を撃たれてしまいます。
安藤が撃たれたと聞いて、岡田とユカは病院に駆けつけました。幸いなことに弾は急所を外れ、安藤は一命を取り留めていました。
「安藤さん、申し訳ありません・・・」
と岡田が謝ると、安藤は息も絶え絶えな声で言いました。
「何を謝るの?・・・岡田君は悪くない・・・僕こそ、絶交なんて言ってゴメン・・・僕達は、まだ親友だよね?」
「・・・はい」
病室を出た岡田は、実は森田とは高校入学した直後は仲が良かったが、森田が河島にいじめられて登校拒否になった時、「イジる相手がいないと詰まらない」と河島に脅され
「河島が謝りたいと言っている」
と嘘をついて森田を学校に連れ戻す事に手を貸してしまった事をユカに告白します。
騙されて学校にもどった森田君は、河島に脅されて女子生徒の前で自慰行為をさせられます。その時の絶望しきった森田の表情を、岡田は最近になってやっと思い出したのでした。
「森田君はきっと僕を恨んでる。ユカちゃんのせいじゃない。安藤さんは、僕のせいで襲われたんだ・・・」
病室の外で、岡田は泣き出しました。

その日の夜、一足先に岡田のアパートに戻ったユカは、窓ガラスが割れている事に気付きます。
慌てて逃げようとしますが、奥の部屋から出てきた森田に捕まってしまいます。
その頃、母親と電話をしていた岡田は、母親が騙されて森田に自分のアパートの住所を教えてしまったと知ります。
丁度その時、ユカは森田にベッドに押し倒され、殴られ、服を引きはがされていました。
その時、不安に駆られ、急いでアパートに戻って来た岡田が部屋に飛び込んできました。森田は包丁で襲い掛かってきましたが、岡田はクッションで防ぎ、揉み合っている内に二人は窓から落ちてしまいました。
2階から落ちた二人はしばらく動けませんでしたが(岡田から通報を受けてやって来たと思われる)警官達がやって来ると、森田は力を振り絞って起き上がり、岡田を人質にして逃げ出しました。
そして、路上に止まっていたワゴン車の運転手を刺し、放り出して車を奪ってしまいました。岡田を後部座席に押し込み、追いかけてきた警官をバックで轢いて走れなくすると、全速力で逃亡し始めました。
「森田君、どうしてこんな事をするの?昔の君は優しくて・・・」
岡田は森田を説得しようとしますが、逆上した森田に太ももを何度も刺されてしまいました。
その時、目の前に散歩中の犬が躍り出来ました。
驚いた森田はハンドルを切り損ね、電柱に激突してしまいました。
森田は頭から血を流して気絶していましたが、岡田に呼びかけられて目を覚ましました。しかし
「岡田君・・・来てたの?・・・そうだ、借りてたゲームを返さないと・・・」
と呟いていました。どうやら記憶が混乱し、高校時代に戻ってしまっている様でした。
その時、森田は駆け付けた警官達に車から引っ張り出されます。
警官達に抱えられた森田の姿に目を向けた岡田はギョッとします。事故で森田の右足は引き千切れ、膝から下が無かったからです。
それでも、森田はそんな事には気づかない様子で、ずっと
「お母さん、麦茶二つ持ってきて・・・」
と呟き続けていました。
森田はいつまでも、まだ岡田と仲が良かった頃、夏の昼下がりに二人でゲームをしていた時の幻覚を見続けていました・・・

映画『ヒメアノ~ル』の監督

本作は吉田恵輔が監督をつとめています。

愛しのアイリーン、銀の匙 Silver Spoon、麦子さんとが作品として有名ですね。

映画『ヒメアノ~ル』の感想

恋愛映画・スリラー映画は混じった要素

この作品は、ひょんな事から絶対に無理だと思っていたような相手に一目ぼれされるコミカルな恋愛映画と、目をそむけたくなるほど凶暴な殺人シーンが続くスリラー映画の側面を併せ持っています。

この二つが合わさる事で、恋愛(と言うか、大人同士が付き合い、肉体関係を含めて愛し合うと言う行為)の生々しさが際立った感じがしました。

岡田は、真面目でお人好しだけれど、ユカの過去の恋愛遍歴を聞いてスネたり、大人のおもちゃをユカに使ってもらおうとしたりと、気が小さくて女性心理に疎い一面が見えました。

ユカは可愛らしけれど、男性には意外と積極的で大胆になれる面があったり、安藤は人付き合いが苦手で奇妙な行動も多いが、岡田やユカを守るためには体も張る、意外に頼もしい一面を持っていたりと、結構複雑なキャラクターが描かれてしました。

その中でも特に異彩を放っていたのは、血も涙もない殺人鬼となった森田でした。

そんな、人を殺す事に何の躊躇もない森田ですが、犬を車で轢くのを回避する為にハンドルを切り損ねて事故を起こし、大怪我をして警察に逮捕されてしまいます。

実は過去のシーンを見ていると、昔は森田も犬を飼っていた事が分かる個所があります。

人の心を失くしてしまった原因は壮絶ないじめである事

人間には何の情も持てなくても、犬の命は奪えなかった事

森田はまさに殺人鬼、サイコパスで、見るに堪えない程残虐なシーンも多かったです。しかし、同情できる部分や優しさが垣間見える部分があった事は救いでした。

それに、河島以外の殺された人たちは本当にかわいそうですが、しかし、少しだけ態度が偉そうなのが鼻についたり、自分勝手な一面が見えたりもしていました。
残虐な森田の行動に、実はちょっと共感してしまう。エッチなシーンについつい目が行ってしまう・・・見ているうちに自分の中のエゴや生々しさ、凶暴性に時として気付かされる作品でした。

 

映画『ヒメアノ〜ル』のレビュー

 

 

 

https://twitter.com/kurakodesu/status/1351761936514338816

 

 

https://twitter.com/msmlinu/status/1350749689713356800
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この記事を書いた人

読書好きブロガー。とくに夏目漱石が大好き!休日に関連本を読んだりしてふかよみを続けてます。
当ブログでは“ワタクシ的生を充実させる”という目的達成のために、書くを生活の中心に据え(=書くのライフスタイル化)、アウトプットを通じた学びと知識の定着化を目指しています。テーマは読書や映画、小説の書き方、サウナ、アロマです。

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