映画『横道世之介』のあらすじ・ネタバレ!【キャストや配信状況、感想も大公開】

▼この記事はこんな内容が書かれています。
1.映画『横道世之介』の動画配信状況
2.映画『横道世之介』の詳細なあらすじ・ネタバレ結末
3.映画『横道世之介』の登場人物・キャスト紹介
たかりょー
こんにちは、シネコンスタッフ歴5年・年間100作以上映画をみている、ちょ〜映画好きのたかりょーです。

映画『横道世之介』はバブル期1980年代の東京を舞台に、長崎の港町から大学進学のため上京してきた青年・横道世之介が、社長令嬢の与謝野祥子や大学の同級生倉持一平などと様々な出会う、心温まる青春映画です。

主演は高良建吾さんと吉高由里子

今回はそんな『横道世之介』」のあらすじやキャストなどをまるっと紹介していきますね。

目次

映画『横道世之介』の配信状況は?

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映画『横道世之介』の簡単なあらすじを紹介!

日本がバブル景気に沸き立つ直前の頃、大学入学のために長崎から上京した青年 横道世之介。

ちょっと変わった名前と、真っすぐで天真爛漫な心をもった彼はサンバサークルやホテルのバイトをしながらごく普通の生活を送っていました。

しかし、その言動は時として関わる人々の心の奥に刻まれてゆきます。

そして、十数年後、その人達は様々な時を過ごし、その合間のふとした瞬間に世之介の事を懐かしく思い出して一様に笑顔を浮かべるのでした。

『横道世之介』のキャスト・登場人物を大公開!

横道世之介(演:高良建吾)

バブル直前の1987年、法政大学に合格して長崎から東京へ出てきた青年。

素直でお人好し、ちょっと強引で空気を読めないところもあるが、誰からも好かれる性格。

専攻は経営学。サンバサークルに所属し、先輩の勧めでホテルのボーイのバイトもしていた。

後の職業はカメラマン。

2003年、新宿駅でホームに落ちた女性を助けようとして電車にひかれ亡くなる。享年35歳。

与謝野祥子(演:吉高由里子)

幼馴染の紹介で世之介と知り合い、世之介の人柄に惚れ込む。父 広は残土処理業者をしており、実家は超大金持ち。

横道と付き合っている頃は「ごきげんよう」をはじめとして上品なお嬢様言葉を使っていたが、2003年には少しワイルドな感じになっていた。

天然気味でとても明るい。出会った当初、世之介の言動に一々大声をあげて笑っていた。

腹違いの兄がいる。

1980~90年当時は知名度の低かった貝アレルギーの持ち主。

世之介の実家に行った時に難民と出会った事がきっかけで貧困の問題に興味を持ち、2003年には国連関係の仕事で世界を飛び回っている。

倉持一平(演:池松壮亮)

世之介の大学の同級生。入学式の時に隣に座った事が縁で世之介と知り合う。

第一志望の早稲田に落ちて法政大学へ来たが諦めきれず、編入試験を受けようと思っていた。

「こんなところで人生決めるわけにいかない」が口癖。

お調子者な一面があり、たまに失敗する。

サンバサークルに所属していたが、同級生の阿久津唯を妊娠させ、大学を辞めて結婚する。同時に不動産屋に就職した。

十数年後、ガソリンスタンドの店員と付き合う中学生の娘 智世に頭を悩ませる事となる。

阿久津唯(演:朝倉あき)

世之介や倉持の大学の同級生。彼らと同じサンバサークルに所属していた。

初対面でつけまつげを倉持にからかわれて泣いていたが、出産を機に達観して肚がすわった。そのせいか、娘が中学を出たら同棲すると言っても夫(倉持)ほどには動じていない。

加藤雄介(演:綾野剛)

世之介の大学の同級生。人懐こい世之介に声をかけられ、成り行きで友達になる。世之介とは一緒に教習所へ通ったり、クーラー目当てで部屋に入り浸る世之介を快く受け入れたりしてくれた。いわゆるイケメンの部類で女の子からモテるが、実はゲイ。(ただし、世之介はタイプではなく、純粋に友人として付き合っていた)

小沢(演:柄本佑)

世之介と同じ地元の同級生で同時期に上京してきた。アナウンサーを夢見て、マスコミ研究会に入り芸能界に関りを持つようになる。学生ながらサークルを立ち上げたり、芸能事務所巡りをしたりして垢ぬけていった。(2003年の姿は出てこない)

片瀬千春(演:伊藤歩)

世之介が片思いする大人の女。お金持ちの男性目当てにあちこちのパーティーへ顔を出すパーティーガール(小沢は「娼婦みたいなもの」と陰で言っていた)。洗練された雰囲気だが、実は東北地方の田舎出身。身内と喋る時には東北弁が出る事もある。

後にラジオのDJとなるが、東北出身のせいか「午後五時」と言うのが苦手。

映画『横道世之介』の詳細あらすじとネタバレ!

続いて本題である映画の詳細をご紹介していきますね。

※以下はネタバレの可能性ありです。

あらすじ・ネタバレ1【世之介、上京する】

1987年の春、新宿駅に一人の青年が降り立ちました。

青年の名は横道世之介、法政大学に合格し長崎から上京したばかりでした。

さっそく下宿先のアパートに向かうと、隣の部屋からはずっと目覚まし時計の音が鳴り続けていました。不審に思って隣を訪ねてゆきますが、誰も出てきません。

もう一つ隣の女性に聞いてみると

「この部屋の目覚まし時計、ずっとなり続けて止まる気配がないの。住んでる人はもう死んでるかもね」

と言われて不安になってしまいます。

大学の入学式で、世之介は隣に座った倉持一平と親しくなります。

倉持は本当は早稲田大学に入りたかったらしく

「こんなところで終わるわけにいかないんだ」

が口癖でした。

ある日、世之介はたまたま知り合った同級生 阿久津唯に頼まれて一緒にサークル周りをしていた時、倉持と再会します。

会ったばかりだと言うのに、倉持は唯の付けまつげを変だと笑ってしまいました。その事で唯は気分を害し、泣き出してしまいます。倉持が慌てて謝っても、唯の機嫌が治る事はありませんでした。

泣き続けている唯と、どうしていいか分からない世之介と倉持はいつの間にかサンバクラブのメンバー達に囲まれており、成り行きで入部してしまいます。

数日後、世之介は同郷の幼馴染 小沢と従兄弟の清志の部屋を訪ねていました。

小説家を目指している清志は、退廃的な雰囲気をまとった人間に憧れているようで

「若いうちは踊るんだ。理由は考えなくていい。とにかく踊るんだ」

と、達観した風な事を二人に言いました。

小沢は「あ、はい」と取り敢えず分かったような返事をし、清志に合わせて踊り出しました。世之介も誘われますが

「大丈夫、俺は踊っとるよ」

と返事をするだけで、二人を眺めて座っているだけでした。

あらすじ・ネタバレ2【倉持と世之介】

夏休みになり、世之介・倉持・唯はサンバサークルの合宿で清里にやって来ていました。

夜、皆が入った後の風呂掃除をしていた世之介と倉持は、いつの間にか好きな人の話をしていました。

そして、話の流れで倉持は唯と付き合っている事を明かします。

初対面の時に唯を泣かしてしまった倉持は、何とか名誉を挽回しようと何度も彼女をお茶に誘っている内に親しくなってゆきました。そのうち、倉持は本棚を組み立てに唯の家に行き「ミラクルが起きて」キスをして、そのまま付き合っていたのです。

話を聞いていた世之介は、ただ呆気に取られるばかりでした。

 

そして16年後の2003年。

スーツ姿の倉持はとあるガソリンスタンドにいました。

そのスタンドで働いている青年と倉持の一人娘が付き合っており、話を付けに来たのでした。

青年は金を溜めて整備工場をもちたいと言いましたが、倉持は承知しませんでした。

「トモヨ(智世)は中学を卒業したらお前とアパートを探すって言ってるぞ。でも、あの子は、まだこれからなんだ。色々な経験して自分の人生を考えさせる時間をやってくれよ!」

事前に唯から注意されていたにも関わらず、倉持はついつい声が大きくなってしまっていました

―その日の夜、唯が昼間に久しぶりに大学校舎を見て、世之介の事を思い出したと話し出しました。

「懐かしいなぁ~。そう言えば、俺達が付き合ったのって世之介がきっかけなんだよ」

険しい表情をしていた倉持でしたが、世之介の事を思い出して思わず笑顔になっていました。

あらすじ・ネタバレ3【千春、加藤、そして祥子と世之介】

世之介はサンバサークルの先輩に誘われてホテルのボーイのバイトを始めました。

ある日、小沢と喫茶店で待ち合わせをしていました。モデルやタレントとの卵が集まる店で女性客が多く、男一人で垢ぬけない世之介は居心地の悪さを感じていました。

マスコミ研究会に入った小沢は洒落た感じのジャケットを着込んでおり、今日もイベントやサークルを立ち上げる為に先輩とモデル事務所をまわって来たと話していました。

そんな時、女性客の中でひときわ目立つ一人を見つけ、小沢が慌てて挨拶をしに行きました。

世之介が誰か訪ねると、小沢は

「あの人は色々な男と知り合いになって、あちこちのパーティーに顔を出している、いわゆるパーティーガールだな。名前は片瀬千春っていって、ちょっとした有名人」

と答えてくれました。

その時、急に千春が世之介に近づいて来て

「ねぇ君、ちょっとバイトしない?」

と話しかけてきて、そのまま「借りるわよ」と世之介を連れて行ってしまいました。

世之介が連れていかれたのは、ホテルのラウンジでした。

千春と世之介の前には、スーツを着た代の男性がいました。

「仕事がこうなってしまった以上、お前を今すぐ幸せにする自信はない。しかし、どうせ不幸になるなら、俺はお前と一緒にいたいんだ…」

汗だくで話す男でしたが、千春は至って冷静でした。

「弟の前でそんな話しないでーはい、この書類に判を押してね」

と事務的に話を進め、帰る時には男の持ち物だった高級車に乗り込んでいました。

「次に会う時までに、イイ男になっていてね。私が惚れるようなイイ男」

そう言って千春は去って行きました。

 

それ以来、世之介の心に千春の姿が焼き付いてしまいました。

友人達に千春の事を話そうとしますが、面倒くさがって誰も聞いてくれませんでした。

そんな時、人違いで同じ教室にいた加藤 雄介に声を掛け、やっと話を聞いてもらう事が出来ました。

そして、二人は友達となり、一緒に車の教習所に通ったりしていました。

やがて世之介は加藤から、ダブルデートに誘われます。

当日、加藤の相手である戸井睦美だけが先に来て待っていました。

そして時間ちょうどに運転手付きの車に乗って表れたのが睦美の幼馴染 与謝野祥子でした。

祥子は世之介が「横道 世之介です」と名乗った瞬間に爆笑したのを皮切りに、バーガーショップで世之介の話を何度も大笑いしながら聞いていました。

 

数日後、クーラーのない部屋で汗だくだった世之介は、突然訪ねてきた祥子にプールに誘われます。

祥子と共にやって来たのは貸し切りのプールで、祥子の兄(ただし腹違い)やその友人、そして先日会った千春も来ていました。千春も世之介がそんなところにいる事に驚き

「貴方、本当に祥子さんと付き合っているの?」

と聞いてきましたが、世之介は照れて笑うだけでした。

優雅にプールの周りで談笑したり、シャンパンを飲んだりする人達をよそに、実家近くの海で鍛えた豪快なクロールで泳ぐ世之介。

その姿に祥子は狂喜していました。

そして、祥子は世之介が帰省する時に一緒に実家に行きたいと言い出します。

いきなりの申し出に世之介は戸惑いながらもOKしました。

 

帰省する前日、世之介は加藤の部屋でビデオを見ていました。

画面には、世之介達が先日参加したサンバパレードの様子が映し出されていました。

世之介は、自分が日射病で倒れるシーンを何度も巻き戻しで見ながら

「覚えていないけど、この時“俺に構わず行ってください”って言ったらしいんだよ」

と自慢げに加藤に話していました。

その日の夜、世之介は出かけると言う加藤に強引にくっ付いて行きました。

二人がやって来たのは夜の公園でした。

「こんな夜の公園はヤンキーとかがいるらしいから帰ろうよ」

と言う世之介に、加藤が突然告白します。

「俺、男の方がいいんだ。この公園は、そういう連中が刺激を求めて集まる場所なんだよ」

世之介は一瞬驚きましたが、すぐに受け入れて

「じゃ、俺はここで待っているから」

と近くにあった花壇の淵に座りました。

ゲイである事を知られ、拒絶されるかもしれないと覚悟を決めていた加藤は拍子抜けします。横に男がいると誰も声を掛けてこないと思い、世之介を帰そうとしますが、本人

は「いいから、いいから」と聞き入れません。仕方がないので、加藤は隣に座り、世之介の西瓜を分けてもらって食べ始めたのでした。

 

そして2003年

パートナーとワインを飲んでいた加藤は突然笑いだします。

「今日、汗だくの人を見かけて“誰かに似てる”と思ったんだけど、やっと思い出した。世之介だ」

世之介の事を知らないパートナーは怪訝な表情になりましたが

「面白い奴でさ・・・そうか、お前は世之介の事を知らないんだな。あいつの事を知ってるってだけで、何だか得した気分になるよ」

と、加藤は世之介の事を思い出して笑い続けていました。

あらすじ・ネタバレ4【世之介の帰省】

世之介が長崎の実家に帰ると、一足先に祥子が来ていました。

祥子はすっかり世之介の両親と打ち解け、母親と一緒に料理を作ったり、夜は野球中継を一緒に見て盛り上がったりしていました。

次の日、世之介と祥子は近くの海に出かけました。

そこには世之介の友人や元カノ さくらも来ていました。

海水浴中、さくらと世之介は二人きりになった時もありましたが、話が盛り上がりかけた時に祥子が

「あっちにサザエのつぼ焼きがありますよ~!」

と声を掛けてきて話を中断され、深く話し込むまでには至りませんでした。

 

その日の夜、世之介の祖母の家に水ようかんを届けに行った帰り、二人は夜の海を見に行きます。

海を見ながら祥子は、昼間に海水浴に行った時に世之介が余りにさくらばかり気にかけていたので寂しかった、話し込みそうになった時に声を掛けたのは「悲しい」と言う意

思表示だったと告白します。

そんな祥子の女心に全く気が付いていなかった世之介は慌てて謝り、二人はいい雰囲気になります。

しかし、世之介がキスをしようとした時、祥子が暗闇のなかでうごめく多数の人影に気付きます。

その時、警察のサーチライトが浜辺を照らし出しました。

人影はベトナムから漂着した難民達で、サーチライトに照らされて一斉に逃げ出しました。

世之介達も逃げようとしますが、難民達の中に赤ん坊を抱えた女性を見つけた祥子は世之介の手を振り払って女性に駆け寄り、赤ん坊を受け取っていました。

結局、二人は警察に身柄を拘束されてしまいました。取り調べを受けた後、祥子はパトカーに乗せられてホテルに送り届けられ、それっきり二人は言葉を交わすことなく、

別々で東京に戻ってゆきました。

 

数日後の夜、祥子が世之介の部屋にやって来て、あの時の赤ん坊が無事だったと教えてくれました。

「今回の事で、自分の無力さを痛感しました」

そう言って祥子はいきなり世之介に抱き着いてきました。

世之介も祥子を抱き締めようとした時、電話がなり出しました。

それは長崎の母親からで、祖母が亡くなったと言う報せでした。

 

再び帰省した世之介が両親達と祖母の遺品を整理していると、さくらが訪ねてきました。

さくらは世之介の祖母と気があい、世之介と別れた後も編み物を習っていたのです。

さくらを家まで送っていく途中、世之介が祖母の葬儀で皆が泣いていた事を思いだし

「俺が死んだ時も、皆あんなふうに泣いてくれるのかな・・・」

と呟くと、さくらは

「アンタの事を思い出すときは、みんな笑うんじゃないかな」

と答えてくれました。

 

祖母の葬儀や遺品の整理を終えて東京に戻った世之介は、自分が不在の間に倉持と唯が大学を辞めた事を知ります。

慌てて倉持の所に行った世之介は、唯が妊娠したので大学を辞めて働くと打ち明けられます。

「妊娠はうっかりかもしれないけれど、ちゃんと腹を割ってお互いにこれからの事を話し合わないと。産まれてくる赤ちゃんは必死なんだからな。俺にできる事は何でもす

る。遠慮なく言ってくれ」

と励まされた倉持が

「じゃ、金を貸して」

と冗談半分で世之介に言うと

「いいよ、どうせあんまり使わないし」

とあっさり了承していました。

 

数日後

ホテルでのバイト中、世之介は客として来ていた千春と再会します。

千春は自分の母親と一緒でした。

東北弁丸出しで田舎者だとすぐに分かる母親を見られて千春は狼狽しますが、世之介は

「千春さんの友人、横道世之介です」

と別に気にした様子もなく千春の母親に挨拶をしてくれました。そして

「また今度ゆっくりね」

と、その場から早く立ち去りたい千春が言った社交辞令を

「いつにします?ゆっくり会うの」

と真に受けて聞き返していました。

 

そして時は流れ、2003年

深夜ラジオのDJとなっていた千春は、リスナーからの

「年上の女性をデートに誘いたいが、上手くいかない」

と言う悩み相談に答えていました。

番組ディレクターは、その質問を受けてから千春の様子が何処となくおかしい事に気付きます。

そして番組が終わった時、千春は少し不機嫌な様子でした。

しかし、番組の途中で読み上げた

「今日、今日午後五時ごろ、新宿駅で起きた事故の続報です。ホームで転倒して線路に落ちた女性を助けようとして電車にひかれた韓国人留学生パク・ソンジュンさんとカメ

ラマン 横道世之介さん35歳は、運ばれた先の病院で死亡が確認されました」

というニュースが原因だとは誰も知りませんでした。

あらすじ・ネタバレ5【あの頃、そして今】

世之介が参加したサンバ大会の会場に、大声で声援を送る祥子の姿がありました。世之介の出番が終わった後も祥子は

「素敵でしたわ~。あんなアクティブでアグレッシブな世之介さんは初めて見ました」

と感動を隠せない様子でした。

そして、世之介を食事に誘います。

しかし、世之介はその後に引っ越しの手伝いをする約束をしており、次の日曜に変更となります。

世之介が引っ越しの手伝いを約束していたのは倉持でした。

二人で引っ越し先のアパートに荷物を運び込んでいる最中、倉持は急に泣き出します。

「世之介、今日はありがとう。俺、お前しか引っ越しを頼める奴がいなかったんだ・・・俺さぁ、とにかく唯と一緒に頑張ってみるよ」

世之介は、黙ってその言葉を聞いていました。

 

次の日曜日

世之介は祥子がやって来るのを部屋で心待ちにしていました。

しかし、迎えに来たのは上品な感じの女性でした。

その女性に連れられて行ったのは、祥子の家でした。(迎えに来た女性は祥子の母 佳織だったのです)

客間に通された世之介の前には強面の男―祥子の父 広が座っていました。

「祥子とはいつから付き合っているんんだ?」

「大学では何を学んでいる?将来の見込みはありそうなのか?」

次々と質問された世之介は、動揺して上手く答える事が出来ずにいました。

しかし、横にいた祥子が

「世之介さんは私が会った中で一番見込みがあるんです!」

と、珍しく激しい口調で断言すると、広は

「だったら、それでいい」

とだけ言って部屋を出てゆきました。

部屋で二人になった時、祥子は徐にカーテンに隠れて

「世之介さんは、私の事をどう思ってますか?」

と聞いてきました。世之介は照れながらも

「・・・好きだよ」
と答え、二人は正式に恋人として付き合う事となります。

 

その年のクリスマス、二人は世之介の部屋でパーティーをして祝いました。

ケーキを食べ終わって、祥子がケーキの包み紙に「ベルサイユのばら」のキャラクターを描いている姿を眺めていた世之介は、窓の外を見て大声を上げます。

外には初雪が積もっていたのです。

二人は外に出てはしゃぎまわり、やがて立ち止まって、どちらからともなくキスをしたのでした。

 

次の日から世之介は帰省、祥子はスキー旅行に出かけました。

やがて東京に戻って来た世之介は、祥子が骨折したと聞いて病院に駆けつけます。

ベッドの上で祥子は

「心配いりませんわ」

と明るく笑っていましたが、世之介に

「心配させてよ!もし俺がケガをしたら、祥子さんに一番に連絡するから!」

と言われて感動し、突然

「私、今から世之介さんを呼び捨てにします」

と宣言します。そして、お互い「世之介」「祥子」と何度も呼び続けていました。

あらすじ・ネタバレ6【2003年】

2003年。海外から戻った祥子は久しぶりに実家に帰ってきました。

実家で迎えてくれた母 佳織は、祥子宛の手紙を渡してくれました。

それは世之介の母からでした。

暫く前、急に世之介の事を思い出した祥子は実家に連絡を取っていたのです。

中には便箋と共に何枚のも写真が同封されていました。(包んであったのは、クリスマスに祥子がベルばらのキャラクターを落書きしていたケーキの包み紙で「祥子以外開封

厳禁」と書かれていました)

倉持の娘 智世が産まれたばかりの時の写真、ピンボケや露出過多の写真にまじって、ポーズをとる祥子の写真もありました。

それから暫くして、祥子は睦美(世之介と出会うきっかけを作った幼馴染)とその娘 愛と食事をします。愛は国連関係の仕事で世界を飛び回る祥子に興味津々の様子でした。

色々な質問をされる中で、祥子は

「一番最初に好きになった人の事、覚えてる?」

と聞かれます。祥子は暫く考えた後

「覚えてるよ・・・普通の人だった。本当に、普通の人・・・」

と答えました。

その帰り道、祥子はタクシーの窓からぼんやりと街を眺めていました。

その時、ふと行き交う人々の中に連れだって歩く大学生時代の世之介と自分の姿を見た気がして、思わず笑顔になり、涙を流していました。

 

退院した祥子は、世之介の部屋で二人きりの時間を過ごしていました。

その時、世之介から相談を受けます。隣の、一度も姿を見た事が無い住人宛てのチョコレートが間違って郵便受けに入っていたのだが、どうして良いか分からないというので

した。

話を聞いた祥子は、世之介と共に隣の部屋を訪ねてゆきました。

思いがけず、隣の部屋は無人ではなく、孤独死もしていませんでした。

住んでいたのは室田と言うカメラマンで、それをきっかけとして世之介はカメラに興味を持ち始めます。

そして、室谷から借りたカメラで生まれたばかりの倉持の娘の写真などを取り始めました。

やがて、祥子が二週間のフランス留学に行く事になりました。

バス停まで見送りに来た世之介は別れる直前に祥子の写真を撮ります。祥子が

「写真が出来たら、一番に見せて欲しい。世之介の作品を見る最初の女になりたい」

と言うと、世之介は

「分かった。帰国するまでに現像して、押し入れの奥に仕舞っておく」

と約束してくれました。

空港に向かうバスに乗り込んだ祥子は、バスが走り出した直後に大声で

「世之介、大好き!」

と叫びました。

祥子を見送った世之介は、時々興味を引かれたものをカメラで写しながら帰って行きました。

シャッターを切るうち、世之介は段々と楽しそうな表情になり、やがて駆け出したのでした。

 

―世之介の母から祥子に送られた手紙―

与謝野祥子様

先日はお電話、ありがとうございました。

電話でお話したもの、送りますね。

世之介が亡くなってから3ヶ月がたちました。

勿論一人息子を亡くして悲しいですが、泣いてばかりもいられませんものね。

それに、泣いていると世之介の顔が浮かぶんですよ。いつも呑気だったあの顔が。

変な話かもしれませんが、世之介と出会えた事が一番の幸せだったと最近思うんです。

お時間があったら遊びに来てください。二人で、世之介の思い出話でも出来たらと思います。

きっと、笑い話ばかりになりそうね

映画『横道世之介』の感想!

高良健吾さんと吉高由里子さんの演技の幅に驚かされる

世之介役の高良健吾さんと、祥子役の吉高由里子さんは「蛇にピアス」でも恋人役で共演しています。

荒々しく、痛々しい感じさえした前の役とは打って変って、今回の二人は初々しい恋模様を演じており、その演技の幅広さに驚かされます。

作品中で加藤が

「世之介を知っていると言うだけで、かなり得した気がする」

とパートナーに言うシーンも心に残りました。

誰にでも、後で懐かしく思い出す友人はいるかもしれませんが、思い出すと必ず笑顔になるような人物と出会うのは奇跡に近い事だと思います。

更に、他人を助けて亡くなってしまっていると言う展開が、何とも意外で衝撃的でした。

何処にでもいそうで、実は滅多にいない好青年 横道世之介の物語。

この作品を見終わった時の爽やかさ、卑怯なくらいの切なさは格別です。

見ていた気持ちがあつくなる

華やかな時代を生きた若者たちが、十数年後にその時代を振り返った時、ある一人の青年がその記憶の片隅にいた・・・

ごく普通だけど、何処か憎めず、常に真っすぐな青年 横道世之介を、十数年後に語られる時の様子も交えて描いています。

何処にでもいそうだけれど、友人 倉持が人生のターニングポイントで悩んでいる時に

「ちゃんとしろ。赤ちゃんは必死なんだ」

と力強くアドバイスをしたり、加藤がゲイだと告白しても態度を変える事も無かったり、要所要所でカッコいい、真っすぐな態度を取り続けます。

これは現実には結構難しい事で、見ていて気持ちが良くなりました。

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この記事を書いた人

読書好きブロガー。とくに夏目漱石が大好き!休日に関連本を読んだりしてふかよみを続けてます。
当ブログでは“ワタクシ的生を充実させる”という目的達成のために、書くを生活の中心に据え(=書くのライフスタイル化)、アウトプットを通じた学びと知識の定着化を目指しています。テーマは読書や映画、小説の書き方、サウナ、アロマです。

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