映画『RED』のあらすじ・感想【キャスト紹介からレビューまで】

▼この記事はこんな内容が書かれています。
1.映画『RED』の簡単なあらすじやキャスト
2.映画『RED』のたかりょーの個人的感想
3.映画『RED』のレビュー
たかりょー
こんにちは、シネコンスタッフ歴5年・年間100作以上映画をみている、ちょ〜映画好きのたかりょーです。

映画『RED』は直木賞作家・島本理生がセンセーショナルな表現とテーマで新境地を開拓した小説を原作として、「幼な子われらに生まれ」「幸せのパン」「繕い裁つ人」の三島有紀子監督作品です。

映画自体は2020年2月21日に公開されました。

主人公の塔子を夏帆さんが演じ、“過去の男”建築家の鞍田を妻夫木聡くんが、そして塔子の夫村主真役を間宮祥太朗さんが演じています。

 

映画のストーリーとしては専業主婦としてまた母・嫁として何不自由のない幸せな家庭に生きていた女性。

そんな女性が過去に愛した男鞍田と再会し、自分の本能に正直になって、彼女が選んだ道を歩んでいく。。。

といった内容。

 

原作を読んでいて、どちらかという官能的なシーンが多かったので、正直どこまで実写化されるかなと思っていました。(清純派の夏帆さんが主演ということもあって)

でも思った以上に原作に近い形で描かれていた部分もありましたし、全体的に暗いトーンで世界観がちゃんと確立されていたのも、高ポイントでありました。

今回は映画『RED』についてあらすじを踏まえつつ詳しく感想を述べていきたいと思います。

目次

映画『RED』のあらすじ

平凡な結婚、可愛い娘、“何も問題のない生活”を過ごしていた村主塔子。10年ぶりに忘れることができなかった男・鞍田秋彦に再会する。「君は、変わってないな――」鞍田は、塔子の気づかなかった心の隙間に悪魔のように入り込んでくる。

何も問題のない結婚生活を送っていたはずの主人公・村主塔子が、かつて愛した男・鞍田秋彦と再会し、心を揺さぶられるさまを描く

夫とのコミュニケーションや、義母が考える息子の“理想の嫁像”に対して疑問を持ちながらも、そこからはみ出さないように生きていた塔子。そんな彼女が、10年ぶりに会った元恋人・鞍田と再び男女関係をスタートさせる。。

映画『RED』はこんな人におすすめ

・過去の恋愛に溺れていく女性を主人公に扱った作品を見たい方

・どんな選択だろうと自分自身で人生を選択していく女性を描いた作品をみたい人

・ちょっぴり濡場がある作品をみたい人

・原作REDを読んでいる人

映画『RED』の登場人物

村主塔子(演:夏帆)

大学生のころ、按田の事務所でアシスタントをしていた過去をもつ。

一流商社勤務の夫をもち、ひとり娘に囲まれて、何不自由のない幸せな暮らしをおくっている。

母子家庭で育ち、実の父親は別の女と出ていった。

作品中は保守的な位置=理想的な母親を演じようとつとめるが、男によって態度をかえたり、時に人を驚かせるような大胆な行動を取る。

鞍田(演:妻夫木聡)

妻夫木聡くんが演じる鞍田。

かつては結婚している身でありながらも、当時大学生だった塔子と不倫をしていた過去をもつ建築家。

妻と別れてひとり身になった10年後のある日、結婚して家庭をもつ塔子の前に偶然現れる。

寡黙でほとんど周囲に心を開かない。

しかし塔子の前では過去の話をしたり、趣味のはなしたりと自分をさらけだす。

悪性リンパ腫、血液のがんをわずらっている。

小鷹淳(演:柄本佑)

鞍田と塔子がつとめる設計事務所で営業をしている。塔子の同僚。

まわりからはすぐに女性に手を出す「いつもあんな調子」と噂されている軽い男。

ただ塔子に対しては恋愛感情でない、人間的な面白みにひかれ好意を抱いている。

村主真(演:間宮祥太朗)

一流商社勤務で金持ち、根が優しく家族思い。

だが昔の価値観によって、塔子を縛りつけようとする。

例えば、仕事やめたほうがいいんじゃない?最近家のことに身が入ってない。

そんな理由で。

だが、彼自身は子供と妻に囲まれた普通の幸せな家庭に憧れているだけ。

 

決して悪い夫ではないんです。家族思いで、娘のことも、塔子のことも大切に思ってくれている。ただ、価値観や理想の家族像みたいなものを、塔子とは共有することができなくて、少しずつ夫婦としての関係に塔子が違和感を覚えるようになってしまう。誠実な人柄

一人娘がいる金銭的にも姑との関係もそこそこよい平和な家庭。

映画『RED』の感想・考察

夏帆さんと妻夫木くんの迫真演技に注目

映画『RED』は原作的にセンセーショナルすぎたので、映画化するとなるとなかなか難しいともっていました。

性描写も多いですし。

正直夏帆ちゃんのような清純女性だと、そういった場面をうまいこと隠すのかな?と思っていました。

でも結論、生々しい濡場もあって、驚くくらい“女性の欲望・性”をちゃんと描かれているなと思いました。

とくに雨の日にベットで溺れるようにして求め合いまじあうシーンなんかは、結構露骨なセックスの表現をしていて、欲望に溺れている感じがわかりました。

夏帆さんも

「いっぱいいっぱいだったので、考える余裕がなかった。見せなくていけない姿はあるけれど、理屈ではなく無我夢中だった。覚えていないに近い」映画.com

とおっしゃっています。

また夏帆ちゃん演じる塔子が会う男性ごとにいくつか顔を変化させる表情の変化にも注目です。

面と裏の二面性をもつ人物をどちらも演じこなしていたので素晴らしいと感じました。

もちろん妻夫木くんも、按田の無口で誰にも感情を表に出さない部分、また昔は爽やかな男というイメージが合ったんですけど、妻夫木聡くんもめちゃくちゃ男の色気がでていて、素敵な男性を演じていました。

「デリケートなシーンなので試行錯誤しましたね。夏帆ちゃんが夏帆ちゃんじゃなくなることが重要。塔子の魂の叫びみたいなものが見せられればいいなと思っていました。だからできる限り支えになれればなって」映画ナタリー

なぜ塔子は不倫に走ったのか?=塔子の選択のドラマ

個人的に人生とは、選択=選び取っていく行為の過程であると思っています。

この映画では、塔子という一人の女性が、主体的にどう自分の人生を選択していくのかを描いていると思います。

なのであって映画をみて「不倫が悪い」「不倫なんて古臭いテーマだ」などという感想をでは映画の表層部分しかみていないのだと思います。

 

塔子はこれまでは「守り」で常識の範囲内で行動していました。

だがある日、過去に愛した(それも本気で愛した)男が目の前にあらわれます。

それもこれまでよりもちょっと自信をなくした弱みのある男性としてです。

女性とはちょっと弱くなった男にほろりとなるもので、鞍田は塔子の心の隙間に入り込みます。

平和な家庭か、この抑えられない気持ちで=自分の欲望に正直になるか。

彼女は心は揺らぎます。

さてここで重要なのが、作品中は終始、家庭を顧みず、過去の男とばかり過ごしているシーンが多いです。

そうなると「彼女は自分に甘い。家庭もあり、子供もいるから、自分の家庭を大切にすべきだ」という常識を振りかざしてくるやからがいるかもしれません。

が僕はこの作品では塔子の”選択”に注目してみてもらいたいです。

彼女はその場その場で、よりよい選択をしようと悩み葛藤し、もがいてきたのであって、その結果が、自分の本能のままに過去の男といきようとすることであっても、それはすべて彼女なりに責任をもって自分の手で選びとってきた行為なのです。

だからこそ正義か悪かという二元論でかたるのではなく、彼女の選択をありのままに受け入れて、彼女が選択する人生そのものをしっかりと受け止めるべきだと思います。

そうすることで、僕たちは女性が女性としてどう生きるかを見つめ直し、考えることができるんだと思うんです。

僕は個人的に(とても無責任ですが)塔子が鞍田と再会を果たしたことで、本来の自分(=これまで抑圧して表には出さなかった塔子)というものとしっかりと向き合い、心も身体も開放され、自由に、そして美しくなっていく姿にすごく惚れ惚れとしました。

とはいっても、現実問題で考えたら、彼女は不倫という非常識の道に一歩踏みこんだわけなので、その淵におちていくのもひとつの物語なのかもしれません。

うちに隠し持っているものが人にはあるのか?

人は自分の内側になにかしら隠し持っているものがあるんじゃないのかな?とこの映画をみてて思いました。

それは欲望なのか、承認欲求なのか、所属欲求なのかはわかりません。

いずれにせよ、そのかくし持つものはなにかトリガーによって、目覚めることがありうるんですよね。

しかし、もしかしたら踏み込んではいけな領域なのかもしれません。

それは触れてみないとわからないものです。

でも僕は自分のうちに隠し持っているものを暴く・現出させていくことこそ、人が成長していくこと、年をおっていくことなのだと思います。

監督である三島有紀子監督は本作について以下のように語っています。

“人はいつも、自分の内側に潜んでいるものを目覚めさせてくれる誰かを探し求めているのではないか”そんなテーマでした

 

本作の塔子はあくまで保守的な考え方をもちぬしであり、正しい世界の住人であります。

つまり裕福な家庭で、夫に尽くす妻普通の主婦=標準の主婦が主人公なのであり、その彼女が、自分の欲望の世界に気づき、非道徳的に落ちぶれていく作品としてもみることができます。

ところが、ある意味僕は、塔子の成長物語→内部の自分を発見していく過程こそREDだとも思えるんです。

そのきっかけはただ10年前に愛していた男と偶然、パーティーで再開しただけ。

しかしながら、過去とはある意味で冷凍保存された現在であって、きっかけがあれば過去は現在の時間に統合されて、動き出すことがあります。

それは強い印象をもった記憶であるほど、強いインパクトを残していきます。

今回は濃密な恋愛を経験したことで、塔子は自分に気づいていく、それを現在と過去が交錯させながら描いているという意味で、とても面白い作品ともいえます。

映画『RED』のレビュー

https://twitter.com/hoshino33gen/status/1233019514951831552

映画『RED』これ名言

ねえしんくん知ってる?あたしの電話一度も無視したことないの。いつでも家族がうまくいくこと考えてたよ。なにもいえないよ。そのほうがうまくいくから。。全部自分だ。わたしが我慢していれば全部うまくいくとおもってた。なんでだろう。ねえ。しんくんにとって、結婚ってなに?

生涯でただ一人好きになった女性に一緒になったこと

私、按田さんと生きたい

君の顔がよく見える

探してたんだずっと

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この記事を書いた人

読書好きブロガー。とくに夏目漱石が大好き!休日に関連本を読んだりしてふかよみを続けてます。
当ブログでは“ワタクシ的生を充実させる”という目的達成のために、書くを生活の中心に据え(=書くのライフスタイル化)、アウトプットを通じた学びと知識の定着化を目指しています。テーマは読書や映画、小説の書き方、サウナ、アロマです。

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