1.映画『パンとバスと2度目のハツコイ』の個人的な感想レビュー
2.映画『パンとバスと2度目のハツコイ』のツイッター感想まとめ
映画のあらすじ・内容要約
キャッチコピー『スキにならずに、スキでいる。』
「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」
パン屋で働く市井ふみ(深川麻衣)は恋人からプロポーズされたものの、独特の価値観に阻まれて結婚に踏み出せずにいる。
結局彼女は、2年付き合った恋人からのプロポーズを断る形になる。
そこにあらわれたのは、バス運転手として働く中学校時代の初恋相手の湯浅たもつ。
きっかけはふみのささやかな楽しみである、バスの営業所の前で洗車を眺めていたことで、そのバス会社にたもつは勤めていたのである。
ある日、ふみは勤務先のパン屋でたもつに突然声をかけられる。
ひさしぶりの初恋相手との再開に気分は上々。
たもつとふたりで飲みにいく約束をして、当日ふみはちょっとおしゃれをしてでかける。
だがしかいふみは食事の最中たもつから思わぬことをきかされる。
それも彼はバツイチ子持ちで、現在は別れた奥さんに未練タラタラだということ。
それも奥さんに浮気をされていたのだ・・・
恋愛に問題あり!?のふたりが織りなす、コミカルでありながら、「好きってなんだ?」「結婚ってなんだ?」と考えずにはいられないほど学びのあるラブストーリー
『パンとバスと2度目のハツコイ』はこんな人におすすめの作品です
・結婚になかなか踏み出せない
・恋人のことを「好き」という実感があまりわかない・・・これって病気なのかな?
・結婚の決め手って結局なんだろ〜とよく悩むことある
・ゆったりしたテンポの恋愛映画・ヒューマン系の作品がすき
『パンとバスと2度目のハツコイ』ならでは3つの魅力【映画をまだ見てない人へ】
この章では『パンとバスと2度目のハツコイ』の映画として魅力を3つに絞ってご紹介しますね。
・結婚できない女性の悩みを丁寧に描いている
・緩やかに流れるストーリー+ちょっぴり自己省察できる作品
・元乃木坂46深川麻衣さんの映画初主演作品←いい雰囲気をもった女優さんです
それぞれ詳しく説明していきましょう。
結婚してない女性の悩みを丁寧に描いている
本作は、「女性の、等身大の悩み」を描いています。
女性の悩みは数多くありますが、やはり恋愛や結婚は上位にくるテーマ・ワードだと思います。
この作品においても、「結婚」あるいは「好きとは?」という普遍的なテーマを扱っていて、もしかしたら、女性なら誰しも心の奥底にひめている考えを、映画という装置をもちいて、私たちの前に描いてみせています。
例えば、
・自分のスキにいまいち自信がもてない。スキじゃないってわけだけど、スキってわけでもない
・その人の魅力の本質を知ってしまっても、憧れ続けることってできるの?
・プロポーズを受けて、結婚する。それって果たしてほんとに幸せに一番近いの?
・付き合ったり・結婚したりしてないからこそ、一緒にいられるってことあるのかな?
・どうやったらずっと一人の人をスキでいられるのかわからない
みたいなことです。
上のことって、あえて女性と限定しましたが、もちろん男性にもあてはまることです。
また『パンとバスと2度目のハツコイ』=「こじらせ恋愛映画」というふうに語られていますが、描いていることが多いですが、個人的には誰しもが恋愛のときにおちいる矛盾だったり、壁だったりすると思います。
緩やかに流れるストーリー+ちょっぴり自己省察できる作品
映画としては、ハリウッドのような起承転結がはっきりして、最後にどっとカタルシスがくる・・・みたいな作品ではありません。
へんに助長的な説明や台詞もありません。
ゆったりと日常が流れていき、登場人物たちの心の状態や関係性などを主眼に描かれていて、ちょっとした仕草や、何気ない会話の節々に、映画の骨子が詰まっているのが特徴的ですね。
なので、ある意味、集中してみないと、映画としてのメッセージを逃してしまうかもしれないので注意が必要。
とはいえ、あくまでなにかを問いかける作品というよりかは、登場人物たちが写し鏡となって、僕たち自身の価値観などをかえりみれる作品です。
つまり、空白部分がちゃんと残ってるからこそ、想像の余地があって、今一度自分と向き合いながら、自分がどういう人間なのかを考え直せる作品でもあります。
元乃木坂46深川麻衣さんの映画初主演作品←いい雰囲気をもった女優さんです
ヒロインの市井ふみ役を演じているのは、本作が映画初主演となる元乃木坂46の深川麻衣さんです。
風貌はとくに可愛いって感じでもなく、どこにでもいそうな女性感がでてて、演技も自然でしたね。
街を歩いていれば、なんかいそうな雰囲気も、等身大の女性っぽさがあって、僕は好きです。
ちなみに僕は乃木坂46のことを全然知らなくて、深川さんは映画の女優さんのイメージが強いです。
世間的には演技がぎこちない?みたいな評価がなされてるっぽいですが、僕は変に飾らない演技がいいなと思いました。
映画『パンとバスと2度目のハツコイ』の感想・個人レビュー
感想01/スキってなんだ?と改めて考えさせられました
『パンとバスと2度目のハツコイ』ってどんな作品かと一言でいうならば、「人を好きになることとは?」をしっかりと見つめ直せる作品。
登場人物はそれぞれ「好き」をめぐりいろいろな事情を抱えています。
たとえば、ヒロインのふみは、2年つきあっていた彼氏にプロポーズされたものの、「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」という異常な?”好きの価値観”に邪魔されて、結婚に踏み出せず別れてしまいます。
また、ふみの初恋相手たもつは、浮気されたにもかかわらず離婚した元妻を諦められず、なんとかよりを戻そうと虚しい努力を続けています。
あきらかにふたりは、一般的な“好き合う”とは異なった関係に悩んでいるわけです。
具体的に“好き合う関係”とは、恋愛をしている男女が「あなたのことがすき」「うん、僕・私もあなたのことが好き」というふうに、”愛す”と“愛される”とが等しい関係、あるいは同じ熱量で好きを与え合える関係、のことをさします。
ではふみとたもつのどういうところが一般的な“好き合う”とは異なっているかというと、
ふみなら、「わたしがあなた(婚約相手)を好きなのかがわからない」「あなたをずっと思い続けられるなんて約束できない」という不均衡をもっています。
たもつなら、「おれはお前(元妻)を諦められない」「お前じゃなきゃだめなんだ!」という不均衡な関係に立たされています。
さてここで考えるべきは、そもそも”恋愛関係”=”好き合う関係”になることってとても難しいことなんだということです。
というのも恋愛って、
1.まず自分が相手を好きという感覚をきちんともっている
2.同時に相手も自分を好いている
3.2を自分自身でも認識している
が成立していなければならないからです。(この他にも複雑な条件はあるかもしれませんが…)
もし上の3つの状況が成立しないならば、以下のようなことになります。
「こんなにも相手のことが好きなのに、全然私のことを好きになってもらえないじゃん」
「好きと思ってだったけど、なんか気持ちがさめちゃった」
「彼、私のこと好きなのかしら?思わせぶりな態度だけど、あれなんなの?」
「思いはあるけれど、相手に好きがうまく伝わらない」
『パンとバスと2度目のハツコイ』の登場人物ふたりも、上記でお伝えした3つの条件がなく、恋愛関係が成立していないのです。
感想02/結婚の決め手になるものなんだろって?考えました
『パンとバスと2度目のハツコイ』は「結婚」についても考えさせられます。
普段はあまり考えないんですが、この作品をみたことで、世のなかには結婚した夫婦っていっぱいるけど、ふたりが結婚したときって、なにか明確な理由って結婚したんだろうとか?なんて考えてしまいました。
たぶんお金とか、安定とか、世間体とか。いろいろとあるんです。
でも個人的に、結婚する上で一番大切な「ずっと好きでいられる」ってことは、結構おざなりになってるんじゃないかと思います。
そのときはたしかにスキなのかもしれないけれど、「10年、20年後もずっと愛し続けられますか?」ってなると、「そんなんわかんないじゃん」ってなって、思考停止状態になるのが一般的ですよね。
という意味で、ふみが「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」とい考えるのは、結婚の決め手を「ずっと好きでいられる」に重きをおいた発言なんだろうか??と思いました。
世間体にはふみの発言は「理想論だよ」と片付けられてしまうのかもしれませんが、ぼくは「まっとうだし、しっかり考えないといけないんじゃない?」と思ったりもしました。
感想03/ふみは真面目じゃなくて、めっちゃ自分勝手!なんだ
個人的に映画って、自分と重ね合わせて、「あっ、その気持ちわかるわ〜」と共感すると、人一倍その映画を好きになったり、物語を楽しめたりすることがあります。
僕は男ですし、ふみとは性別が違うんですが、彼女の結婚に対する『私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない』という価値観。
これにめっちゃ共感できちゃうんですよね。
どうしてかというと、結婚が人生において重要な決定事項だから、、、みたいなことじゃなくって、もう僕という人間と、ふみという人間の“性質”が似てるからなんです。
つまり、僕という人間は、好きな人に受け入れられたいな〜と望みながらも、かといって、自分自身が好きな人を受け入れ続けることはできないかも。。。という一言でいうと、自分勝手な性格なんです。
たぶん、ふみの理想の恋愛状態って、『私はスキになるけど、私のことはスキにならないでね。なぜなら、スキになられると、私がスキと思えなくなるから』なんだと思います。
つまりキャッチコピーにあるように『スキにならずに、スキでいる。』といった、と〜〜っても自分勝手な状態なんです。
ぼくは、ふみの気持ちがもう痛いくらいわかってしまって、それはそれはもう恐ろしい限りなのですが、ある意味で、愛の本質をついているというか、僕の思想としてある『愛を所有ではなく、自己実現の一部と考える』的なところに合致する感じはありますね。
感想03/モヤモヤ系の作品ではあります。。。
みなさんも映画をみていると思わず、こうさけびたくなるはずです。
「あ〜モヤモヤする!」
そもそも、モヤモヤってどんな心の状況かといえば、物事が曖昧で、漠然としてて、な〜んかしっくりこない状態。
あるいは、明確な理由はないけれど、心がへんにざわついている状態。
本作ではふみとたもつの関係にモヤ!とします。
まずふみ。
彼女はプロポーズを受けた男性と結婚しとけば幸せになるのに、へんな価値観に邪魔されて、別れることになる。
そこに初恋のたもつがあらわれて、恋人ではない友人関係として
「初恋相手は、今でも相変わらず魅力的だぁぁぁぁあ!!」
って叫ぶくらいなのに、なかなか恋人になるまでにはならない。
それはたもつにも原因がある
彼は妻に浮気されたにもかかわらず「別れたくない」という思いを強くもちながらも、「〇〇のことを考えた時に、わかれたほうが〇〇が幸せになる」とわけのわからないことを言い出す。
とはいえ、いまだに妻のことが忘らずに、復縁を目指している。
モヤっとしますよね。
あと映画ないで発せられる
「片想いだからずっと好きでいられる」
「結ばれないと嫌いになるほどその人を知れない」
という言葉、これはなるほどって思いなが、すごくモヤモヤします。
映画を見終わったあとは心がスッキリする
ラストシーン、僕はめっちゃすきでした
早朝。太陽の光が地表に届き、世界は一面に青い光に照らされている。
「付き合う?」というふみの質問に、たもつは「そうだな」と返す。
ふみは「好きにならないでね」といい、付き合うかどうかはっきりしないまま、ふたりは歩き出す。
ふみはたもつに近づき、腕を組みにいくかにみえて、軽く体をたもつにぶつけてエンディングへ。
いろいろと考えさせられる作品ですが、全体はコミカルで、決して重たくないです。
突然丘の上で叫んだり、なんだそれ?みたいな言動や行動があったり。
最後の言動とは裏腹にふたりは、ふみはおそらく、片思いでないとスキと思い続けられないのだから、ふたりは付き合うことはないんだろうけれど、爽快感があって