蛇にピアスの小説あらすじ・感想|金原ひとみ 【芥川賞・すばる文学賞】

蛇にピアスってどんな物語なの?あらすじは?

蛇にピアスをすでに読んだ人の感想が知りたい!

このような疑問に答えます。

先日僕はこのようなツイートをしました。

この記事では、蛇のピアスを読了した僕が、率直な感想や読みどころ等をまとめています。

この記事を読むメリット

・『鍵のない夢を見る』を読む前に、あらすじを知れる!

・既読者のさまざまな感想が知れる!

・これから読む人は、スムーズに読書できる!

それでは早速解説していきます。

結論:衝撃作なので読むべき!

おすすめ度は僕の中でかなり高いです。

その理由は、114ページという短さの中に、若さ故の情熱や人間の暗部が、驚くべき描写力で描かれているから。

最初から最後まで読むと、

人間の身体ってなんでこんなおかしいの?

死ぬってなんだろう?

痛みによる快感ってなに?

純粋な愛って報われないの?

こんな大きな疑問にぶち当たります。

なお“蛇のピアス”は金原ひとみさんのデビュー作で、すばる文学賞と芥川賞を受賞しています。(若干19歳・20歳というから驚きです)

こんな人におすすめ

・アンダーグラウンドな小説を読みたい方

・強く心をうつ小説を読みたい方

・過激的な表現の裏側に、若さ故の“ピュアな心”を感じたい方

・なにか平凡な世の中に対する鬱憤があり、衝動を持つ方

・1日で読める

蛇にピアスはタトゥーやピアッシング、SMなど刺激的な言葉のオンパレードで、性的描写も多数あります。

好き嫌いが分かれる小説かもしれませんが、主人公のルイに共感をもつ若者はかならずいます。

書くいう僕もものすごく、共感する部分だったり、憧れを持ったりした読者のひとりです。

過激ですが、過激な部分を取り除いたら、本当に純粋な恋愛物語とか青春物語として読むことができますよ。

主な登場人物

ルイ・・・東京・渋谷の街をふらつく19才の少女。アマのスプリット(下の先端が二股に割れている)に魅了されて、身体改造に興味を抱く

アマ・・・スプリットタンの持ち主。通称、蛇男こと。ルイと同棲する。ピアス、刺青と身体改造をしまくる。外見とは裏腹にルイのことを本気で愛するビュアな男

シバ・・・パンクな店、Desireで彫物師をしている。刺青や舌ピなど身体改造をする。残酷なサディスト。

蛇にピアスの個人的感想【3つにまとめたよ】

それでは蛇にピアスの個人的感想をご紹介しましょう。

01.ハードな題材

02.身体改造

03.ルイとアマの関係(アマの魅力)

それぞれ解説していきますね。

01.ハードな題材

蛇にピアスは、身体加工による痛みと快楽、暴力、殺人、死への願望、アブノーマルなセックスといった、一般の人ならちょっと眉をひそめるような題材が扱われています。

使われる言葉も、一般的な小説では使われないようなワードが頻出します。

・エクスタシー

・膣

・粘膜

・残酷

・刺青

・スパンキング

・アナル

・SM

とはいえ、このハードな題材は、『蛇にピアス』という小説の極々、表層の部分でしかありません。

物語を読み進めていくうちに、もっともっと深いところに、『性や死、痛み、快感をもつ“人間”という不可解な生き物』を感じる瞬間があります。

ぜひ皆さんも読みながら、その感覚に浸ってください。

02.身体改造

「君も、身体改造してみない?」

男の言葉に、私は無意識のうちに首を縦に振っていた

蛇にピアスは、ピアスやスプリットタン、刺青、根性焼きなど、親から与えられた身体を傷つけ、“改造”した登場人物たちばかり出てきます。

シバさんの顔は瞼、眉、唇、鼻、頬にピアスが刺さっている。こんな武装されたら、表情なんて分からない。それに、シバさんの両手の甲は一面ケロイドに覆われていた。一瞬傷かと思ったけど、チラッと観察するとそれが直径1センチ程の丸であることに気づいた。根性焼きでケロイドを施したんだろう。

上記はサディストの彫物師であるシバさんを描写した箇所です。

アマは左眉に三本4Gの針型のピアスを刺し、下唇にも同じようにピアスを刺している。それだけでも目立つというのに、タンクトップからは龍が飛び出し、真っ赤な髪はサイドが短く切り込まれていて、太いモヒカンみたいな形。

こちらの描写はスプリットタンをもつ男、アマ。

周りにこんな人がいたら、正直、怖いですよね。

それになんでわざわざ身体を痛めることなんてするの?みたいなこと思っちゃいます。

でもルイはこう言い放ちます。

初めてのアマのスプリットタンを見た時、明らかに自分の中の価値観が音を立てて崩れるのが分かった。何がどう変わったかは変わらないけど、私は一瞬にしてあの舌に魅了された。でも魅了されたけど、それでも私もやりたいと思ったわけじゃない、どうしてこんなに血が騒ぐのか、その理由を知りたいくて今スプリットタンに向かってひた走っているような気がする

小説を読めば分かると思いますが、ルイは家庭環境になんの支障もないごく普通の子。なので感覚としては僕たちに近いわけです。

でも、「価値観が崩れる」「舌に魅了された」とあるように、自分の内側にある“知らない部分”が騒ぎ、疼いて、自分の世界とは違うはずの“身体改造”へ興味を示すわけです。

ゆっくり歩く私の足に、子供がぶつかった。私の顔を見て、素知らぬ顔をするその子の母親。私を見上げて泣き出しそうな顔をする子供。舌打ちをして先を急いだ。こんな世界にいたくないな、と強く思った。とことん、暗い世界で身を燃やしたい、とも思った。

身体改造は、遺伝的な繋がりを断ち切りたいや、日常生活を拒絶したいという衝動が根本にはあります。

あるいは、自分を変えて他人に認められたい(承認欲求)や、自分をとことん貶めたい、痛めつけたい(マゾヒズム的な欲求)から発するともあります。

でもそれ以上に、言語化できない“なにか”に誘惑されて、「暗い世界へ」と足を踏み入れてしまうわけで、蛇にピアスでは、その過程を詳細に追っていくわけです。

03.ルイとアマの関係(アマの魅力)

蛇にピアスは、“ルイ”と“アマ”という二人の関係性を軸として読むと、ものすごく純粋な恋愛物語の体裁になっています。

アマは世間的に見たときに外見的には”異常”と言われるかもしれません。

しかし、ルイに対する気持ちはとことん“ピュア”であり“正常”です。

サディストのシバさんに比較すると、セックスも至ってノーマル。

ルイもアマの愛を真正面から、受け入れようとします。

アマはいつも間抜けなバカ男で、私の隣で笑っている。アマはベットのなかで私のキャミソールをタクシ上げ、乳首を吸った。次第にその口が脱力し、そのままアマが寝息をたて始めると私はキャミソールを下ろし、電気を系して目を閉じた

まるで母と子供のような関係性です。

とは言え、アマには恐ろしい暴力性が秘められています。

例えば、ルイがあるチンピラたちに絡まれた場面。

アマは彼らを全身血まみれになるほどの殴打を加えた、2本の歯を引き抜きます。(これは物語後半のプロットに大きな影響を与えるシーンになります)

コントロールできないんだよ。俺って結構温厚な方だと思うんだけど、一回殺してやる、って思っちゃうと本当に殺すまでやらなくちゃって気になっちゃうんだ

コントロールできないほどの暴力性を持ちつつ、彼女には心の底から優しい、、、これも登場人物としては本当魅力的ですよね。

そして何と言っても無邪気なところがまたいい!

正直、僕は蛇にピアスの登場人物のなかで、ルイというよりは、アマの方を好きになって共感しました読者です。

感想まとめ→蛇にピアスは“人間とは?”を問い直させる作品

僕の出したまとめはここに行き当たりました。

人間って小説を読むたびに奥が深いな〜って思います。

ほんとなんなんでしょう?

僕たちは人間でありながら、人間についてほとんど知らないってことが、なんかとても悔しいようで、面白い部分なわけです。

蛇にピアスを読むとこんな感覚をついつい覚えてしまうような読了感があります。

以上です。

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