読書感想文を書こうと思ってるんだけど、カラフルの全体のあらすじを知りたい!できたら、感想もふまえて教えて欲しい!
このような要望に答えます。
先日僕はこのようなツイートをしました。
#読了
森絵都さんの #カラフル 最高でした😌
最後の結末まで、ぐいぐい引っ張るストーリーの展開力は、さすがですカラフルは、読書感想文を書くのに最高の題材ですよ😊
面白いだけでなく、多くの学びをえられますから
ぜひみなさんも読んでみてください😌#読書感想 #読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/X65RLBMV6G— たかりょー|読書大好き・書くこと大好き (@RyoooooTaka) January 20, 2020
この記事では、カラフルを読了した僕が、読書感想文をすぐにかけるように、全体のあらすじや感想をご紹介しています。
この記事を読むメリット
・カラフルを読まなくても、大体のあらすじを学べる!
・読書感想文を書くための参考になる
・記事を読み終えた後は、カラフルの内容を知れた気分になれる
それでは早速解説していきます。
結論。カラフルは読書感想文にもってこいの作品

・小中学生にも読み易い簡単な文体
・単純に面白い!
・人生で大切なことをたくさん学べるから
・スイスイ読めて、読書が遅い子でも、1週間もあれば読めちゃう
・産経児童出版文化賞という児童文学の賞を獲得してるから権威性もバッチリ!
小中学生にも読み易い簡単な文体
小説と聞くと、
・堅苦しくて文章で書かれていて読みにいく
そんなイメージをお持ちかもしれません。
でもカラフルは、“語り口調”で書かれているので、すごく親しみやすい文章になっています。
例えば、「おいおいマジかよ!」みたいな普段僕たちが使っている言葉が出てくることもあります。
単純に面白い!
カラフルは読みやすいだけでなく、とにかく面白いです。
“起承転結”がはっきりしている物語の構造、キャラクターの魅力、教訓となる言葉の数々。
いろんな面でぜひオススメしたい一冊です。
読書感想文を書くうちに、人生で大切なことが学べる
カラフルの物語で学べることは、
ということ。
これを主人公である『ぼく』を通じて学ぶことができます
カラフルの登場人物
- ぼく:本書の主人公。一度死んで魂になったが、もう一度生き直すチャンスを与えられて「魂のホームステイ」に出かける。
- プラプラ:天使であり、ガイド。現在は「僕」を担当している。美形の優男ホームステイする人間や家族、周囲の人間関係についてレクチャーしてくれる。神出鬼没でざっくばらんな性格。
- 小林真:「ぼく」の魂のホームステイ先。中学3年生。服薬自殺を図り、現在、意識が戻らず危篤状態。見た目がイマイチな上、背が低いのがコンプレックス。しかし絵を描く才能は両親や友達からも一目置かれている。
- 父親:真の父親。屈託のない笑顔で元気・明るい父親。勤めている会社の不祥事でポストが空き、昇進した。
- 母親:真の母親。最初はすごく優しそうな母親だったが、家族に秘密にしていることがある。
- 小林満:真の兄。大学受験を控えた高校3年生。スカした性格で真にとことん嫌味をいう。ある事件がきっかけとなり、進路志望を大きく変更する。
- 桑原ひろか:真のひとつ下。中学2年生。真の初恋の相手。色っぽい女の子で援助交際をしている。暗い真を明るくしてくれる子
- 佐野唱子:真の同級生で美術部員。真の雰囲気が変わったことに気づいて「ぼく」を慌てさせる。
【30秒で知れる】カラフルのあらすじ、簡略バージョン
抽選に当選し、もう二度と生まれ変わることができなかった魂だが再挑戦のチャンスが与えられたという。
ホームステイ先は小林真。自殺を図った彼にいったい何が起こっていたのか…
そんな小林真として快適に暮らす工夫を始めたぼくは、少しずつ見る景色、イメージの色合いを変えていく。
カラフルのあらすじ【序幕】
「おめでとうございます、抽選に当たりました!」
死んだはずの『ぼく』の魂のもとに、プラプラと名乗る、見ず知らずの天使が現れた。
「あなたは前世で大きな過ちを犯して、死んだ罪な魂です。通常ならばここで失格!輪廻のサイクルから外されるのですが、しかし、ラッキーなあなたの魂は、抽選で当たったので、なんとセカンドチャンスが与えられます」
セカンドチャンスの要点をまとめると以下の通り。
2.再挑戦とは、ぼくが前世で失敗した下界(冒頭の部分のやりとりは全て上界)でもう一度“修行”を積んでくること
3.修行とは、ぼくの魂が、期間限定で、外界にいる誰かの体を借りて過ごすこと。
4.借りる体については自分で決められない。万物の父・プラプラのボスが指定する。
5.この修行を、天使の業界では、“ホームステイ”と言う
6.ホームステイは、当たり外れがある。良い家庭か悪い家庭。それはぼくには選ぶことができない。
7.じゃあ何が決めるのか、、、それは前世で犯したぼくの過ちの大きさによって決まる
8.困った時にはプラプラに声をかければ、助けてくれる(とはいえ彼の気分次第)
9.修行が順調に進めば、徐々に前世の記憶を思い出す。前世の過ちの大きさを自覚すれば、輪廻のサイクルに復帰できる。つまりぼくのホームステイ先から離れて昇天する
前世の記憶のない「ぼく」は、小林真という3日前の服毒自殺を図った中学3年生。
学校でのいじめなど、中学3年生の真には耐えきれないほどの色々な原因が積み重なった上での決断だった。
カラフルのあらすじ【設定・説明】

病室
病室で目をさますと、本当に小林真になっている。
薬の匂い、布団のリアルな感触。
ぼくは病室のベットで横たわっている。
「真が生き返った!」
真の父親と母親は、ご臨終と言われた真が奇跡的に蘇生したことに、小躍りし、大喜びしている。
かたや兄の満は肩をいからせ、スカしながらも、充血させた目でこちらを睨んでいる。
それから1週間、父親と母親は懸命に真を看病し、兄貴は喋らず黙々と夕食のセットや後片付けをしてくれる。
印象はそれぞれ違うけど、この三人の家族に共通していえるのは、彼らが真のことを心から思ってくれているらしい、ってこと、、、彼らのとっての真は本物のファミリーなんだ。
これが入院生活で学んだことだ。
自宅での歓待⇦ぼくが疑問をもつ
退院の日は爽やかな秋の昼下がりの日曜日。
小林家に到着すると、そこで待っていたのは、豪華なご馳走と家族愛。
ぼくはその心づかいに感動する。しかし、一方でこう思う。
わからないのは、こんないい家族に恵まれて、なんだって真は自殺なんてしたんだろう、という点だった。
プラプラの教え【ファミリーの正体を知る】
こんな愛情深い家族に囲まれて過ごしているのに、なんで真は自殺なんかしたのか。
そんな疑問をもつ真の前に現れる、天使プラプラ。
君がまだホストファミリーの正体を知らないからだよ
と言い放つ。
ホストファミリーの裏の姿とは、以下の通り。
・父親→利己的な人間
・母親→不倫する女
そしてプラプラは、小林真の自殺の引き金になったある1日(9月10日)について語る。

真は以下の現場を続けざまに見てしまいます。
- 塾の帰りに初恋のひろかが中年の男と援助交際した現場を目撃
- ホテルの出入り口からフラメンコ教師と肩を抱き合って出てくる母親を目撃
- 社長と数人の重役が悪徳商法の容疑で謙虚、父親は舞い上がる。上層部のポジションが空き、平社員から部長に昇進したから。不祥事に心を痛めるどころか、上司の不幸を喜び、自分の出世のことだけしか考えていない
そして、鏡にうつる真の顔は、目が細く、鼻が低い。そして唇はちんまりして、影の薄い貧相な顔つきに気づく
兄は無神経野郎で、背の低さにコンプレックスを抱えていた真を見るなりからかったり、嫌味を言ったりする。
結局、ぼくは
「一体さっきまでの家族団欒はなんだったんだ?」
「今となっちゃ、なんで真がこれまでいきてこれたのか不思議なくらいだよ」
と思うわけです。
あ、ひとつ忘れてた。小林真は現在、中学3年生だ、、、つまり君は、半年後に高校受験をひかえている
中学校に通いはじめる
プラプラから、家族みんなの“裏”の姿を聞かされたことから、これまでのように、表向きだけの“温かい家族像”を描けなくなったぼく。
家の中でだらだら過ごしていた日々は過ぎ、とうとうある日、真が通っていた中学校に行くことなる。
学校に行くと、クラスの生徒から、白々しい態度を取られる。
自分の世界に引きこもりがちだった真には「本当の友達」と言える人物はいなかったのだ。
美術室
プラプラから聞いた情報で、真が熱心な美術部員だと知る。
ぼくは美術室に向かい、真が描いていた絵のキャンバスを取り出し、イーゼルにのせる。
最初は見ているだけだったが、徐々に、絵の続きを描きたいという意欲が湧いてくる。
やがてぼくは木製パレットに油絵の具を並べ、未完成の続きを描きはじめた。最初は見よう見まねだったのに、次第に筆がすべりだし、いつのまにか無心で絵の世界に遊んでいた。
学校のざわめきからひとり抜け出し、満ち足りた静けさのなかで、絵と向き合う時間を過ごすぼく。
孤独だった真がなぜ熱心に美術室へ通うのか、その理由がぼくにわかるような気がする
そして、ぼくは真の描きかけの油絵を描きはじめることになる。
カラフルの主な登場人物たちに出会う

桑原ひろか
よく美術室に遊びにくる少しぽっちゃりとした女の子。真の初恋。ほおをつけるようにしゃべりかけてくる喋り方には、どこかつやっぽさや色気のある。だが大人というわけではなく、まだまだ幼さが残る少女。ぼくはひろかに恋をしてしまう
佐野唱子
同じ美容部員のチビ女。うるさい女でぼくには“ウザい”存在だが、変に鋭いところがある。(だが今後の物語の重要なキーマンとなる人物役割を演じる)
担任の沢田
高校に受かるのが危ぶまれる
放課後の仄暗い職員室。ぼくと沢田は今、真をめぐる深刻な問題に頭を痛めている。
中間試験の三教科平均が35点、5教科におよんでは31点、という浮世離れした成績不審についてだ。
そして、担任の沢田からある事実を聞かされるぼく。
これじゃあおまえ、まじめに高校、あぶないぞ
受験勉強をこのままのうのうとしてると公立高校に受かるのは難しい。
無難は私立で単願。それなら受かると沢田は言う。
じゃあ、ぼく単願にします
ぼくは沢田に対してそのように伝え、家に帰った後に、母親にも報告する。
カラフルのあらすじ【物語が動き出す】

満が大学の志望をかえて医学部に
ある夕食の時間。
父親から私立から公立に行ってほしいと持ちかけられる。
その理由を父親はこう語る
じつはな、充が大学の脂肪を変えて、医学部に入りたいと言い出したんだ
あのとおり、充は朝から晩まで勉強しているし、このごろはとくに躍起になってがんばっている。父さんたちもなんとか希望を叶えてやりたいんだ
とはいえぼくが住む家は決して金持ちじゃないから、金銭的に余裕がない。
だから、ぼくを私立に通わせながら、満を医学部に通わせるというのは学費が馬鹿にならず、現実的には難しい。
考えてみるよといい、ぼくは部屋に戻る。
母親に対する軽蔑
プラプラかの情報でフラメンコと不倫をしていた母親。
ぼくは母親に対して、露骨な嫌悪感をだし、拒絶を繰り返す。
見ず知らずのおばさん
不倫していた人妻
汚らしい中年女
無情なまでに母親に対して冷たい振る舞いを続けるぼく。
父親から公立学校に行ってほしいという希望を聞かされた晩、とうとうぼくはフラミンゴの講師と不倫していた事実を、皮肉交じりに、母親へぶつけます
フラメンコの先生は元気?
母親の顔を見あげて、にっと笑いかける。
その瞬間。霜がおりるように母親の表情が凍りついていくのがわかった。まぶたが、ほおが、唇が、すべてが動きをなくしていき、ただ瞳だけがいつのまでもそわそわとうろたえている。みにおぼえのある人間のリアクションだ。
ひろかに対して募る思い【援交現場を目撃】
母親に対する軽蔑は増す一方で、ひろかへの想いはどんどん募っていく。
月も星もない11月の夜のこと。事件がおきる。
雨の降るなかで、ぼくはホテル『ららばい』から中年の男と出てくるひろかを目撃。
ぼくは唖然と立ち尽くす、、、みたいなことはせず、意をけっして、中年の男からひろかをさらう。
近くのドーナツ屋に入ると、
「ひろかの愛人だよ」
こともなげに言って、ココナッツドーナツに手を伸ばす。
「前に街でスカウトされたの、愛人になりませんか。って。それでお金のこととか交渉して、そういうことになったの」
中学2年生。この若さで体を使い、お金を稼いでいることに対して、ぼくは愕然とする
「だってね、ひろかのほしもの、みんな高いんだよ」
「きれいな服とか、バックとか、指輪とか、ひろかがいいなって思うもの、みんなすごく高いの、、、でもねひろかが三回くらいエッチすれば、買えるの。へへ」
素敵な服を着るために、お気に入りの服を着るために、自らの体を売るひろか。
口調や振る舞いなどは大人びているように見えても、心の中や思考回路は単純で子供じみている。
ぼくの懸命な説得も聞かず、ひろかは中年の男の元に戻っていく。
暴漢に殴られる
底冷えする夜の街を歩き、さびれた公園につくぼく。
身体が震え、鈍痛が続く頭痛と、身体が震えるほどの悪寒。そして吐き気までもよおしている。
いろんな問題を抱えながら、気力がなくなったぼくは、真の家まで歩く気力がなかった。
ひろかのこと。母親のこと。父親のこと。意地悪な兄貴に、伸びない身長。学校での孤独。そのうちのなにが最も真を追いつめたのかなんて、そんなのぼくにもわからない。たぶんそのぜんぶがからまりあって毎日がどんどん重たくなり、その重たい毎日が積みかさなってさらに重くなり、とうとう一歩も動けなくなっちゃったんだ。
多くのことに絶望して、体力も気力もなくなったぼくは、その夜は公園で野宿することに。
意識が朦朧としてくるなかベンチに横たわり、意識を失うようにして眠る。
そこで事件が起きる。傘の柄でなぐられたような衝撃があり、
同じ頭痛でも、さっきまでの鈍痛とはまったく種類が違った、、、頭の皮膚を引き継ぎられるような激痛。ハンパじゃない痛みが頭蓋骨の内側でなく、外側で炸裂している。
暴漢にぼくは襲われたのだ。そして大切なスニーカーまで盗まれる始末(このスニーカーは真の貯金で買った2万8000円のお気に入りのスニーカーである)
悪漢たちは警察が気配に気づきとそそくさと退散をする。
町の救急病院に入院する←佐野唱子の打ち明け話
暴漢に襲われた夜、なかなか帰らないぼくを母親が心配し、満に頼み込んでぼくの探索に出かける。
偶然、意識を失っているぼくを満が見つけた。
そして満の呼んだパトカーでとなり町の救急病院に運ばれ、傷の手当てなどを受けて、入院することに。
入院から5日後、体力もほぼ回復して、歩けるほどに。
すると佐野唱子が見舞客にくる。
彼女はあれこれ、いつものようにとうとうとまくし立て、立て板に水状態。
うんざりしたぼくが「帰れば」というが、唱子は帰らない。
話はこれからだもん
そして唱子の打ち明け話が語られる。つまり、なぜ小林くんが変わったかを語るのである。
小林くんが変わったわけ。ほら、恋すると人は変わるというでしょ?もしかしたら小林くん、それだったのかも、って。桑原さんへの恋が小林くんを変えたのかもしれない。そしたらね、もしそうだとしたらあたし、もうあきらめるつもりだった、小林くんが二度ともとの小林くんにもどらなくても、きっぱりあきらめようって、覚悟して今日は、それたしかめにきたの
ぼくは唱子を気の毒に思う。

唱子は真のことを一番近くでみて、どんな子だったのか、彼女なりの印象を語る。
「あたしの知っている小林真くんは、いつも一番、深いところを見つめていた」
「うるさい教室でも、埃っぽいグランドでも、子供みたいに騒ぐ男子たちのそばでも、小林くんだけはいつも静かに、世界のうんと深いところを見つめてた。だれにも見えないものが、小林くん
するとぼくは嘲笑うよう言います
「ポエムだな」
「ふざけてるのはあんたのほうだよ。あんたの言うような中学生は、この世に存在しない、、そのままの意味だよ。あんたには悪いけど、小林真はもともとふつうの男だったんだ。純粋でも透明でもない、ふつうの中学生。もちろんメルヘンの世界なんかじゃなくて、ここ、あんたらとおなじこのめちゃくちゃな世界に生きていた。なのに、あんたをふくめて、みんながいろいろ決めつけるから……
一方的に美化していた唱子に対して、暴言にも近い言葉を言います。
エロ本も見れば、背が低いと言うコンプレックスを気にして、背が高く見えるようなブーツを買って、、、
こんなふうに女とふたりきりになれば、下心も怒るし、むらむらもする
気が違ったのか、ぼくは唱子にひどい仕打ちをする。つまり桜色の唇にキスをしようとするのだ。
同然、唱子は逃げ出し、病室を後にする。
ぼくは健気に思い続けていた幼い少女の夢をぶち壊してしまったのだ
母の手紙
ぼくは母親から便箋8毎にも及ぶ手紙を受け取る。(P126 〜)
その内容は14年間、絵の上手い息子を誇りにしてきたこと。
そしてなぜ自分は浮気をしてしまったのかを綴ったものだった。
自分自身に失望していた私を、フラメンコは励まし、鼓舞して、生きていく活力を与えてくれた。私が家の中で沈み込んでいる時、それでも外に出れば灼熱の太陽が輝いているのだと教えてくれたのです。
ここでいうフラメンコとは不倫相手のことでもある。
全ての手紙を読んだぼくは、言葉の節々に言い訳がましいところが目についてしまい、まったく母親を許す気持ちはおきない。
露骨な嫌味は少なくはなるが、つっけんどんな態度は崩さず、ぎくしゃくした親子関係は続く。
カラフルのあらすじ【展開】

ぼくのなかにあった小林家のイメージが少しずつ色合いを変えていく。
それは、黒だと思っていたものが白だった、なんて単純なことではなく、たった一色だと思っていたものがよく見ると実にいろんな色を秘めていた、という感じに近いかもしれない。
黒もあれば白もある。
赤も青も黄色もある。
明るい色も暗い色も。
きれいな色もみにくい色も。
角度次第ではどんな色だって見えてくる
結論だけ先にいっておくと、ぼくの思い込みや勘違いで、父親・母親・兄貴の性格を決めつけていたのです。
彼らは心から真のことを思っていたんですね。
クラスメイトの反応が変わる←早乙女くんとの
暴漢に襲われて入院していた僕は退院後、学校に通い始める。
そこでぼくは驚く。
クラスメイトの反応が違ったからだ。「ひさしぶり」や「もういいの?」という優しい声もかけてくれる。
そして何より、早乙女くんと言う本当の友達ができるのだ。
気さくに声をかけてくれる早乙女くんとぼくは靴屋に行ったり、受験勉強を一緒にやったり…交流を深めていく。
父との川釣り←名シーンです
12月に入ったある日の朝、父親から気分転換に川釣りに誘われる。
そこでスケッチもしたらどうだと。
はっきりとした返事をせず、曖昧に答えていたら、いつの間にか決定事項になっていた。
当日、鋭いぼくは父親が単に川釣りに誘った訳ではなく、
父さん、真と話がしたくてここに来た。これまでは真が自分から話をかけてくれるのを待つもりでいたんだが、この頃思うようになったんだ。もしかしたら父さん、待ってるんじゃなくて、逃げてるだけなのかもしれん、ってな
その後、父から家族の知らない一面・多くの真実を聞かされることになる。
例えば
母さんには、こう、チャレンジ精神ってのがあるんだな、、、長唄だとか江戸芸かっぽれとか、どんどん新しいことにチャレンジしていく前向きな姿勢。
習いごとだけじゃない。パートの仕事だって母さんは生き生きやっていた。笑顔を絶やさず、習いごとと同じくらい楽しそうに、な。おかげで父さん、失業中はずいぶん救われたよ。
バイタリティ溢れ、イキイキと明るい母親。
いつも辛気臭いイメージだった『ぼくにとっての母親像』とは、かけ離れた人間性。
さらに父は自分の過去の話もする。
悪徳商法で捕まった上層部に同情しない。
自分の出世のことだけしか考えていない利己的な性格。
こういったものは全て“誤解”であったことを知らされる。

父親の話を聞いたことで、これまでぼくが勝手に描いていた家族像は、崩壊する。
この原因は、人間とは“誤解する”生き物だから。
小林真に限らず、この地上ではだれもがだれかをちょっとずつ誤解したり、されたりしながら生きているのかもしれない。それは気が遠くなるほどさびしいことだけれど、だからこそうまくいく場合もある
満の優しさ
父親はさらに話を続ける。
気づいていたか?満がいきなり医者になりたいって言い出したのは、あの病院でおまえが一命をとりとめた直後のことだぞ
ぼくは混乱する。
なぜなら、背が低いことをバカにし、ことあるごとに真を軽蔑した態度や発言を繰り返していた“満像”とはまったく違うものだからです。
そんな満が、真の自殺未遂と奇跡的に生還が原因となっていたとは!
その真相を知りたいぼくは満に尋ねる。
「医者になろうと決めたのは、ぼくの自殺が原因?」
「べつにおまけは関係ない、おまえの主治医の影響だよ」
いつもの嫌味っぽさを崩す事なく、ぼくの質問に答える満。

物心ついた時からそばにいたくずで、不細工で、頭悪くて、いくじなしで、病的な内弁慶で、友達もできない、だから年中おれのあとばっかついてまわってた、世話のやける、目の離せない、14年間、全く目が離せなかった弟が、ある朝、なんてことないふつうの朝に、突然ベッドの上で死にかけてた。しかも自殺だ。自分で死んだんだ。どんな気分になるか考えてみろ!
カラフルのあらすじ【結末】

ぼくの疑問「これでいいのか?」
すべてがひと段落ついたように見えたが、ぼくのなかで疑問が残る。
父親。母親。満。ホストファミリーとの関係が好転すればするほど、ぼくはなんだかうしろめたい思いにかられてしまう。真の代わりに高校に通いたい、友達も作りたい、絵ももっと描きたい、と意欲が高まれば高まるだけ、本物の真にすまない気分になって来る。だって誰かの人生を、だれかほかのたつがやりなおすなんて、しょせんは無理な話だから
誰かの人生の“代わり”を、自分が演じるなんてことはできない。
一人の人生は、その人自身の人生であって、代わりなんてない。
いまの自分の状況に徹底的に懐疑的になるぼく。
プラプラへの相談
真の人生を、自分が代わりに勤めることに違和感を覚えたぼくは、プラプラにその気持ちを伝えます。
この家の人たちに本物の誠を返してやりたいんだ。
その言葉を待ってましたとばかりにプラプラは語ります。
小林真の魂を呼び出す方法がないわけじゃない、、、ただし、ひとつ問題がある、、、君が邪魔なんだよ、真の魂がその体にもどるためには、まず君の魂がそこからぬけなきゃならない。
ぼくは、そもそものルールを思い出す。
前世でのあやまちを思い出さないといけないんだ。
24時間以内に解決を
プラプラは、ぼくの言葉を受け止めてある条件を出す。
それは24時間以内に前世でのあやまちを思い出せば、ぼくは輪廻のサイクルに戻ることができる。
そしていまぼくが乗り移っているその体には、本物の真の魂が戻るようにできると。
そんな時間制限があるなかで探すなんて無理だという真にプラプラは言い放つ。
しっかりと目を開け。ちゃんと見ろ。ヒントはいたるところにある。
前世のあやまちを探しまくる
プラプラから話を聞かされたぼくは、真の部屋のあちこち、学校のいたるところ(教室、体育館、倉庫、放送室、男子便所等)を探す。
しかし、ぼく目に入る風景は、なんの代わり映えのないいつもと同じ風景ばかり。
タイムリミットまであと約17時間、約15時間、約9時間弱、、、時間だけがすぎていく。
そして思い当たるところが1箇所だけに絞られる。
美術室だ。
美術室(雷鳴がとどろくなか、現れた人物とは?)
ヒントがあるとしたらここだろう、とじつはひそかに思っていた。だからこそ、なんとなく怖くてあとまわしにしていたのだ。
美術室に向かうぼく。
外では、雷音の凄まじい音がと響いている。
真っ暗な部屋で「キャー」と女の悲鳴が上がる。
声の正体は唱子だ。そう、すべての鍵はこの唱子という人物が握っていたのだ。
唱子の告白
入学した時から私外れてた小学生の頃とは全然違くてクラスメイト達がみんなおしゃれで大人に見えた新しい友達に合わせるの大変だったテンポが違うってよく言われたのそばにいると鬱陶しいってもっと具体的に教えてって言ったらベタベタしつこいって無視されたり上履き隠されたりするようになってでも私絶対になりたくなくってなかっなかったら可愛くないってもっといじめられてその頃小林くんもよく廊下で追いかけ回されてたんだ大勢に囲まれてプロレスの技をかけられたりズボン脱がされそうになったり男の子たちのいいおもちゃだったよねでも小林くん泣かなかったから仲間だと思ったんだよ泣かないだけじゃなくて小林くんは私よりずっと平気そうにみえたの無表情で静かな目でいつもじっとこらえてた嵐が過ぎるのを待っている植物みたいねなんであんな風にいられるんだろうって私いつも不思議だったんだ笑を描いている小林くん見てたら何となくわかったそっか小林くんは自分だけの世界を持ってるんだって
唱子も、真と同じくいじめられていた。
そして真に対して、仲間意識を持つようになった。
いやそれ以上に、深い深い底に隠れて、自分の世界をもっていた真への強烈な憧れがあったのだ。
そして、唱子は気づいていたのだ。真がたとえ変化していたようにうつっても、根っこの部分だけは変わっていないことを。
だって、小林君の描く絵は変わらなかったもの。そう、小林くんの絵。その独特の色づかい、筆のタッチや、キャンバスに向かう目つきまで、やっぱり小林くんは小林くんだったよ。
唱子の言葉によって、ぼくの瞳に映るすべての世界が、色あざやかな光彩を放ちはじめる。
結末
ぼくは殺人を犯したんだね。
自分を殺した。
ぼくはぼくを殺しだんだ。
プラプラは声高々にさけぶ。
ピンポーン
その声と同時に、天と地の闇が一瞬のうちに光に変わる。
自殺以前のぼくの記憶が、くるくると回転していくような感覚のなかで、鮮やかに、思い出される。
再挑戦に成功したぼくは、『本来のぼく自身=真の肉体』にもどる。
プラプラは最後にこんなことを言う。
ホームステイとは、単なる魂の修行ではなく、あなたのようにいちど自分を捨てた魂が、もういちど自分にもどれるかどうかの、テスト期間のことなのです、、、あなたがたご自身がつまずいた場所で、あなたがたご自身の問題を、あなたがたご自身がもう一度見つめ直していく……とまあ、、どうです。実に理にかなった話ではありませんか。
そしてハッピーエンドで、幕は閉じます。
まとめ
カラフルはすごくスイスイ読めるのに、最後にはどんでん返しがあって、最高の読了感を味わうことができます。
もちろん、読書感想文で利用するのはもちろんのこと、純粋に読書を楽しむだけでも、オススメの作品です。
ぜひお時間があれば読んでみてくださいね。