1.映画『恋の渦』の詳細なあらすじ・ネタバレ結末
2.映画『恋の渦』のキャスト紹介
『恋の渦』は2006年に上演された映画です。
本作を一言で説明するなら「男女の嘘と本音が混じり合ったハラハラ恋愛映画」です。
きっかけは“部屋コン”。
そこに集合したのはに男女9人。
男はやって来た1人の女の子のビジュアルにがっかりする。
うまくいかず合コンは終わりを迎える。
ところがその夜から男女の下心と恋心、本音と嘘が入り乱れる恋愛模様が展開していく。。。
こんなストーリーです。
劇団ポツドールの三浦大輔の戯曲を有名映画監督大根仁監督が映画化した群像劇です。
映画「恋の渦」の簡単あらすじ
チャラ男のコウジは友達のオサムに、彼女を紹介する為にパーティー合コンを企画します。集まったのはいつもつるんでいるユウタとタカシ、女性はコウジと同棲中のトモコと、その同僚のカオリとユウコ、そしてコウジの弟 ナオキとその彼女 サトミでした。
トモコの勧めでユウコをオサムに紹介しますが、男性陣はユウコの容姿を陰で笑い、コウジは
「あんなブスを紹介してしまってゴメン」
とまで言います。パーティーも、オサムが空気に乗り切れず、盛り上がりに欠けたまま終わってしまいます。
しかし、その後オサムとユウコは付き合い始め、タカシはその場にいたカオリに告白し、コウジは知り合いのいない中で寂しそうにしていたサトミを放っておいたトモコにキレるなど、それぞれの物語が展開し始めます。
映画「恋の渦」の詳細あらすじ
映画「恋の渦」のあらすじ・ネタバレ1 【PM8:30】
場面はチャラ男のコウジがオサムを携帯電話で話すところから始まります。
部屋にはコウジと同じようにチャラい友人 ユウタとタカシがいて、もう一人の友人であるオサムを待っていました。
今日はコウジと同棲中の彼女でショップ店員のトモコが、同じ職場のユウコをオサムに紹介する事になっているのです。
3人は自分達と比べて少しダサいオサムを少し下に見ており
「今頃、必死に身障者用トイレで着替えとかしてるよ」
「で、やって来た本当の身障者と喧嘩したりして」
とバカにして笑っていました。やがて、コウジの弟 ナオキとその彼女 サトミもやって来て部屋は賑やかな状態になりました。
そして、その日の主役であるユウコと、その同僚のカオリがやって来ました。コウジ達は、不細工で化粧もケバいユウコをみて密かに笑いを堪えますが、カオリ・トモコ・ユウコは職場の話で盛り上がっていました。
そこへオサムが到着します。他の男達と比べて地味な顔立ちのくせに、髪形はモヒカンと言う、見え見えの無理をしているオサムを見て女性達も引いてしまいます。
すっかり盛下がってしまった空気を察したコウジは、なんとか雰囲気を変えようと猪木や長州力のモノマネを振っていじり出しますが、オサムは妙なプライドの高さを出して乗って来ませんでした。
それでもコウジはしつこくネタフリを繰り返し、とうとうオサムは頭にきてしまいます。
「いい加減にしろよ!何してくれてんだよ。全然面白くねぇんだよ!」
「・・・キレるなよ」
「キレてねぇよ!」(図らずも長州力のモノマネ風になってしまったが、本人は気づいていない)
場の雰囲気は更にシラーとしたものになってしまい、時が止まったように全員身動きもしませんでした。
映画「恋の渦」のあらすじ・ネタバレ2 【AM0:30】
パーティーは盛り上がりに欠けたままお開きとなってしまいました。
トモコは、自分がオサムとユウコの間を上手く取り持ってあげられなかった事を後悔したり、一生懸命に場を盛り上げようとしていたタカシの事を褒めたりしていました。
コウジは最初のうちは興味がなさそうにしていましたが、だんだんと険しい表情になり、突然ナオキの彼女 サトミがつまらなそうな顔をしていたのに知らん顔をしていたとトモコに文句を言い始めます。そんな事には気づかなかったトモコは怯えながらも謝り続けるしかありませんでした。それでもコウジは許そうとせず
「そういう時は気を使って話してやるだろう」
と責め続け、最終的にトモコが
「気を使えなくて申し訳ありませんでした。今後はこのようなことが無いようにします」
と謝るまで解放しようとしませんでした。
一方、ユウタと居候のタカシはパーティーの感想を述べていましたが、その内にあの場にいたカオリの話になりました。前々からカオリに気があったタカシは、話している内に気持ちが盛り上がって電話しますが、話し中で出ませんでした。
同じ頃、ナオキはサトミがシャワーを浴びている間に
「来ちゃダメだって。彼女、フツーに側にいるから」
などとニヤケながら電話していました。
(どうやら電話の相手はカオリで、大っぴらには出来ない間柄の様です)
やがてシャワーから出てきたサトミは、最初のうちはコウジの部屋で放っておかれた事を「気にしていない」と言っていましたが、後になって
「すごい・・・孤独を感じた・・・」
と訴え、ナオキは必死に慰めたのでした。
ユウタと話していたタカシの携帯に突然カオリから
「終電逃したから泊めてくれない?」
と電話が掛かってきます。タカシはすっかり舞い上がって迎えに行き、部屋に連れてきた途端にユウタを追い出してカオリと二人きりになります。
そして、緊張しながらも告白すると、意外にもカオリは「いいよ」とOKし、暫くすると寝てしまいました。その寝顔を見ながら「付き合えるんだ…」と嬉しさに浸るのでした。
オサムは、自分の部屋に戻ると慌てて掃除を始め、暫くするとユウコを部屋にいれました。ユウコは
「家、本当にすぐそこだから。すぐに帰るから」
と最初は恐縮し、オサムもぎこちない動きを繰り返していました。やがて、オサムは横になったユウコに抱きつこうとして驚かれ、一旦は「ごめんなさい!」と離れますが
「嬉しかったです」
と言われ、二人は恐る恐るキスをしたのでした。
映画「恋の渦」のあらすじ・ネタバレ3 【1週間後】
カオリ、ユウコ、トモコの3人がトモコの部屋に集まって話していました。
時おり携帯がなるのですが、カオリは気にする様子もなく出ようとしません。
その内、先日のパーティーの話になり、トモコが
「あの時、ナオキ君の彼女に気を使ってあげなかったって、あとでコウジからすごく怒られた」
と話すと、他の二人は
「何、アンタが怒られたの?」
「あの彼氏もひどくなかった?ゲームばっかりして」
とトモコを擁護するような発言をしてくれました。
そのうち、ユウコは「英会話があるから」とバレバレの嘘をついて帰って行き、カオリも帰ろうとします。
その時、トモコの携帯にタカシから電話が掛かってきました。
「突然だけど、最近さぁ、カオリちゃんと会った?」
「カオリなら、今ここにいるよ」
「本当?!」
それを聞いたタカシは急に慌てだし
「今からそっち行くから。引き止めといて」
とすぐに部屋を飛び出してゆきました。
その頃、コウジはナオキの部屋に来ていました。
「トモコには、もうあんまり魅力を感じない。正直、いつ別れても良いと思ってる」
などと二人が喋っていると、サトミが帰ってきます。コウジは、先日のパーティーで一人にしてしまった事を詫び、ついでに
「ナオキ、すぐに浮気するから気を付けてね」
と冗談と言ったり、何の仕事をしているか聞かれて
「出会い系サイトのサクラ。バカな男に『愛してる』とかメールを送ってんの」
と答えたりしていました。
コウジが帰った後、サトミは急に悲しそうな顔になり
「やっぱり浮気するんだ。身内が言うってよっぽどだよ・・・」
と言い出します。しかし、ナオキがすぐに
「兄貴って頭がおかしいんだよ。虚言癖みたいな?人を不安にして面白がってんだ。母さんは泣いてるし、父さんはとっくに見捨ててる。気にする事ないよ」
とフォローすると、サトミは笑顔になってバイトに出かけてゆきました。
その後ろ姿を見送りながら、ナオキは何処かに連絡します。
帰ろうとしていたカオリは、トモコに引き留められて暫く喋っていましたが、電話が掛かって来ると直ぐに立ち上がり
「ゴメン、用事が出来た」
とすぐに出て行ってしまいました。
その直後、タカシがやって来ますがカオリがいないと知って落胆します。そしてトモコに、自分とカオリがパーティーの日から付き合っているが、ずっと会えていない事を告白します。二人が付き合っていると知ってトモコは驚きますが
「きっと恥ずかしがってるんだよ。カオリは浮気をするような子じゃないから」
と励ましてくれました。しかし、タカシはどうしても自信が持てないようで
「俺ってうざい?」
と何回もトモコに尋ねた上、自分がトモコと二人きりでずっといた事に突然気付き
「ゴメン!こういう事がうざいんだね」
と慌てて部屋から出て行ってしまいました。
その頃、カオリはナオキの部屋に来ていました。
「彼女と住んでいる部屋で、彼女を送りだした直後に浮気って有り得ないよね」
「木を隠すなら森の中。まさかこのタイミングで浮気するとは思わないだろ?」
と二人は抱き合います。
しかし、その最中に突然携帯を取り出し自分の写真を撮ります。
「彼女が浮気を疑ってて、違う証拠に写メ送らされてんの」
ナオキはカオリに説明しながら、それをサトミに送ったのでした。
ユウコはオサムとキスしながら部屋に入り、すぐにやってエッチし始めました。最初は
「オレ、今日バイト休んじゃった。ユウコちゃんと会いたくて」
「友達と会わなくて大丈夫?」
「友達?違うよ。あいつ等は舎弟。いつ切ってもいいんだけどね」
「うわ、そうなったら絶対あいつら路頭に迷う」
と笑っていましたが、ユウコがコンビニ買い物に行く時にお金を渡さなかったり、帰る途中でUターンさせて肉まんにからしを付けさせたり、ビールがないと言って再び買いに行かせたりと、段々とオサムは横柄な態度に出るようなってゆきます。
映画「恋の渦」のあらすじ・ネタバレ4 【3時間後―AM2:00】
部屋に帰ってきたコウジは、シャワーを浴びて、トモコに
「シャンプー、切れそうだから買ってきて。あと、ゴミも捨てといて」
と言って寝ようとしますが、トモコが先に寝入っていて話を聞いていなかった事で再び苛立ちはじめます。トモコの女友達やタカシが勝手に部屋に来たことを思い出し、それをネタにグチグチと文句を言い始めます。遂には「もう別れようか?」とまで言い始め、トモコは別れたくない一心でオロオロしながら謝り続けるしかありませんでした。
オサムとユウコは一緒に寝ていましたが、ユウコが一緒にどこかに出かけようと話しかけると
「考え事してんだから黙ってろよ!」
とオサムは怒鳴り散らしてユウコは黙ってしまいます。
怒鳴られた事で委縮したユウコは暫く身じろぎもせずに黙っていましたが、オサムは
「俺はバイトも行かずにユウコちゃんと会う時間を作ってるのに、そんな態度を取られるとムカつくんだけど」
と再びユウコを責め始め
「・・・さっき、黙ってろって言ったから・・・」
「俺ってそんなに偉いの?俺が死ねって言ったら死ぬの?」
とユウコの言い訳に更に逆上してゆきます。
コトが済んだ後、カオリはナオキに浮気している事について罪悪感は無いのか聞いていました。
「俺にとってサトミは絶対に掛け替えのない存在で絶対に失いたくない。彼女がいるっていう前提で、この浮気があるワケ」
とナオキは自分の考えを力説しますが、カオリに
「彼女が浮気するのはどうなの?」
と聞かれ
「それは絶対に許せない。彼女は絶対にそんな事はしないから」
とキレはじめ
「そっちだって、彼氏と上手く行ってなくて、物足りないからてこんな事をしてるんじゃないの?」
とカオリを責め始めます。
その上、サトミの仕事が早く終わって帰って来ると分かった途端に慌てだし、カオリを急かして追い返してしまいます。
何とかカオリはサトミと鉢合わせすることなく帰す事が出来ました。しかし、カオリに言われた言葉が引っかかっていたナオキは、帰ってきたサトミに
「俺は写メを送ったのに、何でお前は送ってこないの?浮気してんじゃねーのか⁉」
と怒鳴ってしまいます。
タカシはカオリに何回も電話を掛けますが、全く出てもらえず、隣で寝ていたユウタに
「何で出てくれないのかな?携帯、失くしたのかな?」
と聞き続けていました。余りにしつこく聞き続けて、とうとうユウタは
「お前、何回も電話すんなよ!避けられてんのが分かんねーのか!つーか、俺の部屋に女連れ込んでキスとかしてんじゃねーよ!!」
とキレてしまいます。
映画「恋の渦」のあらすじ・ネタバレ5 【一週間後】
コウジがユウタと電話をしています。
トモコは姉に子供が産まれたと、一週間前から実家に帰っているとこの事でした。
「つーか、何でコイツ来てんの?」
コウジの部屋に、タカシが訪ねて来ていたのです。タカシが先日、コウジに断りもなくやって来てトモコと二人で部屋にいた事を謝ると
「そんなこと良いから。別に、来るって俺に言わなくてもいいし」
とコウジは(表面上は)まったく気にしていない様子でした。その態度にタカシは
「コウジ君って、すごいね。なんて言うか…デカいね、男として。トモコちゃんが好きになるのも分かるわ」
と驚きを隠せないようでした。
同じ頃、オサムの部屋にいたユウコも電話で話していました。そして近所のサンクスで待ち合わせて、電話の相手を迎えに行きます。
暫くして、連れてきたのはトモコでした。ユウコがオサムと付き合っていると知ったトモコは「スゴイね!」と無邪気に喜んでいました。
そこへ何も知らないオサムが帰って来て、トモコがいると知って凍りつきます。ユウコはオサムの様子には気づかす、一旦トモコとスタバに行こうと外に出ますが、忘れ物を取りに一人で戻ってきました。
「ごめんね、勝手にトモコを呼んじゃって・・・でも、これで舎弟君達に私たちの事バレちゃうね。どうしよう、嫉妬されちゃうね・・・」
嬉しそうに捲し立てるユウコに、頭を抱えていたオサムがキレて怒鳴りました。
「嫉妬なんかされるワケねぇ。バカにされるに決まってんだろうが!お前、鏡見た事あんのかよ。あの後、みんなに言われたんだぞ“あんなブス、紹介してゴメン”って。だから黙ってたんだろうが!」
一瞬、ユウコは黙り、その後オサムを何回も蹴り飛ばし、灰皿を投げつけて部屋から出てゆきました。
一人で部屋にいたユウタも誰かと電話をしていました。
「じゃぁ、駅に着いたら電話して」
やって来たのはカオリでした。
「お前、なんでタカシと付き合ってんの?俺への当てつけ?」
「別れたのに。アンタが私を振ったくせに。何でそんな事を言われなきゃいけないの?」
「・・・まだ好きだからだよ」
実は、二人は以前に付き合っていました。しかし、ユウタの風俗通いに愛想が尽きたカオリが浮気をして、二人は別れていたのです。(その後で居候したのか、タカシは二人の関係は知らなかったようです)
ユウタはもう一度付き合いたいと言いますが、カオリは上手く行くはずがないと突っぱねます。しかし、ユウタは食い下がり、根負けしたカオリは、タカシに自分達の事を打ち明けたら考えると言います。
サトミは、バイトに行く直前に体調が悪くなって横になっており、側でナオキが手を握っていました。
「この間はゴメン。俺、どうかしてた」
「いいよ、あの後いっぱい謝ってくれたし」
「俺、確信があるんだ、サトミが浮気してないって」
「本当?どんな?」
「サトミって、バイトから帰って来るとすぐにシャワー浴びるじゃん。それって、本来は凄く怪しい行為だけど、でも、本当にしてたらそんな怪しい事をするワケないよね。だから、サトミが浮気してないって確信してる」
それを聞いたサトミは嬉しそうに、しかし少し寂し気に笑っていました。そして、いきなり起き上がると
「生理が来ないの。妊娠したかもしれない」
と、意を決した表情でナオキに告げたのでした。
1時間後
茫然とした表情でベッドの上に座っていたナオキに、サトミが妊娠検査薬を渡しました。そこにははっきりと「陽性」のしるしが出ていました。
「サトミはどうしたいと思ってるの?実際に産むのはサトミな訳だし、まず先に考えを聞いて・・・」
煮え切らない態度を取るナオキに、サトミは少し不満げな顔で
「絶対に産むよ」
と、毅然と言いました。すると、ナオキは目頭を押さえながら
「俺、自分に子供が出来たってわかったらきっとスゴくテンパると思ってた。でも、今はただ、二人の子供がサトミのお腹の中にいる事が嬉しい。そして、サトミの事がスゲェ好きだって分かった」
と、涙を流しはじめ
「子供、普通に生んで欲しい。そして、結婚しよう」
とサトミにプロポーズしたのです。サトミも笑顔で
「うん、結婚しよう」
と返事をし「頑張ろうね」と二人で笑い合いました。そして
「今日ぐらい、行かなくていいじゃん」
と文句を言うナオキに
「ダメ、ちゃんとするの。ママになるんだから」
と言って、サトミはバイトに出かけたのでした。
同じ頃、ユウタは早速タカシに電話をかけて「大事な話があるから、早く帰ってこい」と告げていました。
更にその1時間後
コウジは一人でタバコをふかし、ナオキは誰かにメールを送り、オサムはイライラした様子で「全然繋がんないんだけど。連絡ください」とユウコの留守電にメッセージを入れていました。
その頃、タカシは荷物をまとめていました。
「とりあえず、弟が病院に行ってるんだけど、ヤッパ長男の俺が行かないとね。ウチ、母子家庭だし」
そして、何も言えずにその様子を眺めていたユウタに封筒を差し出し
「これ少ないけど部屋代。ここんとこ、日雇いのバイトしてたんだ・・・まさか、こんな形で俺の東京ライフが終わるとはね。カオリちゃんには俺から連絡する。暫くは遠距離になるけど、大丈夫かな?」
と笑いながらしゃべり続け、いきなりユウタに抱きついた後、部屋を出て行ってしまいました。
その直後、カオリが部屋に戻ってきました。
「タカシ、実家に帰った。お母さんが倒れたらしい」
「そうなんだ・・・話せた?二人の事」
「言えるわけないだろ・・・」
「そうだよね・・・」
暫く黙っていたユウタでしたが、寂しさが込み上げてきてカオリに抱きつきます。
しかし、カオリは
「言えなかったじゃん、二人の事。つーか、やりたいだけじゃん!」
とエッチを拒否。ユウタを振りほどいて部屋を出て行ってしまいました。
また1時間経過
いつまでたってもユウコから連絡はなく、オサムは泣きながら
「俺さ、ユウコちゃんがどれだけ大切な存在か気付いたんだ。メールでも電話でもいいから連絡ください」
とメッセージを入れていました。
その時、ドアを開ける音がしました。ユウコが戻ってきたのです。驚いたオサムはとっさに毛布を頭から被り、電気を消して寝たふりをしました。ユウコはその背中に向かって
「私、さっきの言葉は気にしてないよ。自分の(顔の)事は知ってるし・・・別れたいんだよね。そうしよう」
と静かな口調で告げました。その言葉を黙って聞いていたオサムでしたが、ユウコが出てゆこうとすると気付くと急いで起き上がり
「別れたくないです!」
と泣きながらしがみつきました。その必死な様子を見たユウコは笑いだしてしまい、そのまま二人はキスをして、服を脱ぎ始めたのでした。
また更に1時間後
コウジ、トモコ、スーツ姿の男が向かい合って座っていました。
「申し訳ありません、こんな夜中に・・・」
そう切り出した男は、この一週間、トモコが自分の家にいたと告げ、コウジの事を昨夜初めて知って訪ねてきた事、今後は自分がトモコを付き合う事になったと打ち明けました。
話を聞いたコウジは、男の前で怒鳴る事も出来ず、戸惑いながらもトモコと別れる事を承諾しました。また、今住んでいる部屋はトモコが借りているので、コウジは2週間以内に出てゆく事になりました。
話がスムーズに進み、トモコは上機嫌で
「明日、荷物を取りに来るから、その時は何処か外に出ててね。あと、なるべく部屋から早く出て行ってね。あ~、もっとウザい事になるかと思った~」
と言いながら、男と一緒に部屋を出てゆきました。
その暫く後、コウジは
「イヤなトコ全部直すからさぁ~・・・だから、別れたくないんだって・・・生まれ変わるって言ってんじゃん」
と、先程とは打って変わった、半泣き状態の取り乱した様子でトモコに電話をしていました。
しかし、どうしてもトモコが応じないと分かると
「もういいよ。あのサエない男と勝手に仲良くしてろ!つーか、どういう趣味してんだよ。あんなのと歩いてたら笑われるよ?前に俺と付き合ってたこと、絶対に言うなよ!」
と反省する様子もなくキレだしたのでした。
ナオキがベッドの上にパンツ一枚で座っていると「シャワー、ありがとう」と浴室からカオリが出てきました。
「急に連絡くれるなんて、何かあったの?」
「俺、結婚するんだ。彼女に子供が出来た」
「マジで?何で?子供って、どうすんの?」
「産むよ、普通に」
「で、彼氏が浮気しているとは知らない・・・」
「だから~、バレなきゃやってないのと一緒でしょ」
そう言いながら、ナオキは楽しそうにカオリにキスし、体に巻かれたタオルに手を掛けたのでした。
エッチの後、オサムの横で寝ていたユウコはまだ足りない様子で
「オサム君、もっとしようよ」
とオサムの股間を触り続けていました。
しかし、オサムは反応しませんでした。
それでもユウコが誘い続けていると、突然起き上がり
「うるせーんだよ、ブス!」
と怒鳴りつけたのでした。
「お前が出て行った後、ソッコーでデリヘル呼んだわ。彼女なんか面倒くさい。風俗の方が楽だって」
ユウタが電話をしていると、部屋のインターフォンが鳴りました。
呼んでいたデリヘルの女の子が来たと思い部屋の通すと、それはナオキの彼女 サトミでした。
サトミもユウタに気付き
「この前いた人ですよね・・・ごめんなさい。黙っててもらっていいですか?」
と頭を下げました。驚いた様子のユウタは、暫く黙った後、おもむろに呟きました。
「ごめんなさい・・・チェンジしてもらって、いい?」
映画「恋の渦」の主要キャスト
・コウジ(演:新倉健太)
フリーター(出会い系サイトのサクラ)。一見、硬派な感じだが、トモコ(彼女)がタカシと仲良くしているのを見て嫉妬したり、トモコの失敗をいつまでも責めて謝らせ続けたり、器の小ささが徐々に露呈してゆく。
・トモコ(演:若井尚子)
ショップ店員。カオリ、ユウコとは同じ店(会社)の同僚。コウジに尽くす事が人生のすべてと公言し、いう事に全て従っている。(しかし、別れると冷たい)明け透けに色々な事を話し、少し空気が読めない面がある。
・カオリ(演:柴田千紘)
ショップ店員。タカシとキスしながらも、浮気と承知でナオキと関係している。
・ユウコ(演:後藤ユウミ)
ショップ店員。容姿は今イチだが、付き合ったオサムに尽くすなど一途な性格。便秘症。
・ユウタ(演:松澤匠)
フリーター。コウジやオサムとつるむ事が多い。(ただし、オサムの事は1段下に見ている所がある)
・ナオキ(演:上田祐揮)
大学生(おそらく)。サトミの事を大事に思っていると言いながら、カオリと平気な顔で浮気をしている女好き。兄 コウジの事も裏ではバカにしている。
・タカシ(演:澤村大輔)
ユウタと地元が同じで幼馴染。夜でもサングラスをかけ、見た目はチャラいが純真な性格。それだけに、カオリが自分を避けている事に思いが至らないなど、周りから時々うっとうしがられる事がある。
・オサム(演:圓谷健太)
フリーター。髪型はモヒカン。コウジやユウタからは3枚目扱いされているが、モノマネを振られても乗らないなどプライドばかり高い。ユウコに対しても、付き合う内にエラそうな態度になって行く。
・サトミ(演:國武綾)
ナオキと同棲中の彼女。ナオキに言いくるめられて、信じ切っている。深夜のテレフォン・アポイントのバイトをしていると言っているが、実は…
・スーツの男(演:松下貞治)
カオリ、トモコ、ユウコと同じ店(会社)に務めている。コウジと別れたいトモコを一週間、家に泊めて、その後付き合う事になる。
映画「恋の渦」のまとめ!
9人の男女が織りなす、赤裸々な本音と嘘が交錯する物語です。
登場するのはほぼ9人だけと限定されていますが、それだけに人物の性格が深く描かれています。
彼女につらく当たるコウジも、よく見れば自信のなさの裏返しの様に思えます。
カオリの浮気は、元カレに裏切られた寂しさが原因。要領よく立ち回っているようなナオキも、最後にはサトミの嘘に気がついていなかったことが明かされます。
「いや、しかし、実は気付いて知らないふりをしている・・・?」
見直す度に新たな気づきがあり、実はもっと細かく、すごい駆け引きをしていそうな奥深さがあります。
色々な恋の駆け引きが描かれているので、必ず
「あー、この気持ち、わかるわー」
と共感できる部分があり、感情移入して何回も楽しめる作品です。