こんにちは、年間100冊以上の小説を読むたかりょーです。
この記事は下記のような悩みを持った人にお届けします。
・若草物語ってどんなあらすじの物語なの?
・読みどころってどんなところにあるの?
「若草物語」はイギリス文学では非常に有名な小説で、一般的に教養小説と言われています。
教養と言われると、なんか堅苦しいイメージがあるかもしれませんが、この小説は全くそういったところがなく、ストーリーも面白いですし、何よりも魅力的な登場人物たちがたくさんでてきます。
なので、すごく楽しみながら読めますよ。
若草物語ってどんな小説?
若草物語のジャンルとしては家庭小説・教養小説のくくりに入ります。
アメリカでは昔から親と子の関係が重視される風潮があって、その影響もあって、少女を主人公に家庭内の人間関係に焦点を当てた“家庭小説が”19世紀後半から登場し、多くの作品が生み出されました。
若草物語はその代表的な作品です。
作者はルイザ・メイ・オールコット。若草物語は彼女が35歳のときに描いた作品です。
出版社から少女向きの健全な家庭小説を、との依頼に応じて、自身の貧しくも素敵な少女時代の生活をもとに書かれたのです。
若草物語のあらすじ簡単要約
ときは、南北戦争時代。
舞台は田舎町の堅実な気風漂うアメリカのニュー・イングランド。
マーチ家は長女メグ16歳、次女ジョー15歳、三女ベス13歳、四女エイミー12歳の四姉妹、そして優しくも厳しい母とともに、父の帰還を祈り、仲睦まじく暮らしている。
父のマーチ氏は、黒人奴隷解放のための南北戦争に、北軍の従軍牧師として出征し遠く戦地に赴いていた。
物語のはじまりはクリスマス。
質素なクリスマスに不平をもらす姉妹だったが、マーチ夫人は父の教会の教えを語り、各自の役目を忠実に果たすよう諭す。
そして父の手紙には各自、己の心の敵と戦い、立派な「小婦人(リトル・ウィメン)」になってほしいと書かれている。
隣人のローレンス家との、姉妹同士の争い、ジョー・エイミーの夢、ベスの猩紅熱、メグとブルークの恋などなど。
姉妹たちはさまざまな出来事や悩み、大きな試練と出会い、ときに失敗しながらも奮闘。
クリスマスから始まり、次の年のクリスマスまで、数多くの家庭の試練を乗り越えながら、姉妹たちは少女から「小婦人(リトル・ウィメン)」へ成長していく。
若草物語の登場人物まとめ
メグ(マーガレット)
16歳。
長女として下の妹たちを支える優しい性格ではあるが、他人をみて羨ましく思う虚栄心がある。
例えば美しい衣服や装飾品や社交界の話を見聞きする度辛く思う。
贅沢な服が大好きで、将来は金持ちと結婚して豊かな生活がしたいと思っている。
お金持ちの家庭の家庭教師となり、マーチ家の生計を助けている。
ジョー(ジョセフィン)
15歳。
おてんばで、短気、激しい性格で落ち着きのない性格。
それが災いして、失策を繰り返すため、浮き沈みが多い日常を送る。
飾り気のない態度。
男性的な性格で、冒険好き。
半ダースの赤リンゴと愛読書をもち、屋根裏部屋で読書するのが好き。
足の不自由なマーチおばの世話をしている。マーチおばは厳しい性格で、厳しい訓練を受けている。
オルコット自身を描いている。
「わたしね、強烈な言葉のほうが実感がでるような気がしてすきだわ」
ベス(エリザベス)
13歳。
はずかしがりやで極度の内気さをもつ。バラ色の頬をしている。
内気で引っ込み思案なのですが、誰よりも愛情深く、影で誰かのために尽くすタイプ。
対人恐怖でローレンス氏を怖がっている。
音楽好きで、家のためにピアノをひく。
人形を可愛がり、家庭内では癒し的な存在。
エイミー
12歳。末っ子。
甘えっ子だけれど、見栄っ張りで小さな虚栄心とわがままを持つ。
家族のみんなからは可愛がられて、割とあまやかさよく育てられていた。
他人を喜ばすという都合のよい術を持つ。
絵をかくのが得意で、将来は絵描き(芸術家)になるのが有名。
ピアノでは12の曲を弾くことができ、フランス語は1くらいは発音を間違えずに読める。
友達には「パパが お金持だったころはこうだったのよ」とも物哀れなようすで語り、聞き手の同情心をそそることも。好んで使う長たらしい言葉は「実に優美」と友達に言われる。
ローリー・ローレンス
セオドルと呼ばれる。
金持ちのローレンス氏に可愛がられる。
はにかみ屋。四姉妹の兄貴的存在。
マーチおば
金満家で、子供がいない財産を
マーチ家が破綻したときに、養女をもらおうと提案する。
ローレンス氏
厳しい顔つき、軍人のような風貌。インド貿易でお金を稼いでいる?
過去には娘がいた。
父
南北戦争に従軍する牧師とされ、物語冒頭から不在
最後の方に無事帰還することに。
若草物語の感想
1.マーチ家の4姉妹の個性が、丁寧に描き分けられている
若草物語を圧倒的に面白くしているのは、メグ、ジョー、ベス、エイミー各の性格が描き分けられていること。
個性というのは、性格だけでなく、結婚観や生き方(何を目指しているのか)といった点も含めて。
例えばメグは美しい容姿を持ち、優しい家庭的な性格。長女として4姉妹を束ねる責任感のあるザお姉ちゃんタイプ。(美しいからか、周りからどう見られるかの虚栄心を持つ)
ジョーは男らしい性格で激情的で夢追い人。
ベスは内気な性格だけれど、誰よりも家族思いの優しい心の持ち主。
エイミーは絵描きになろうとして頑張っているけれど、末っ子タイプのわがまま系。
誰に共感するかによって、読み方や印象が変わってきますよ。
僕が若い頃(20代前半)に読んだ頃は、ジョーのように、短気でありながらも、自分自身をしっかりと持ち、夢に向かってひたすらに頑張る姿に共感していました。
だからその周りのローレンスとの関係が非常に気になっていて、「対等な男女の友達」でありますが、友達以上の関係にならないかな?と恋愛要素も感じて読んでいた記憶があります。
ただ歳を重ねて再読した時には、ベスの陰ながら家族を支えて、優しく健気な感じ彼女に惹かれました。
そして、病気によって死が迫った時、家族みんなからとても愛されている感じが伝わって思わず涙が出てきました。
このように、読み人や読む年によって、4姉妹の誰に共感するかによって、小説全体の印象が変わってきます。
多くの道徳的なことが学べる
マーチ家は、ピューリタン的(清教徒的)色彩の強い家庭です。(ピューリタンというのは、キリスト教の教えを厳格に守る主義のこと)
例えば、小説内では、貧しい人々の世話をする場面がありますが、あれなんて非常にピューリタン的な行為ですね。
だから非常に道徳的な戒律を重んじる風潮があります。
ちなみに父母は『ザ親』的な感じで教師的な立場から子供たちに道徳を教えていきます。
父は哲学者でありながら教育家。母はその父の教えをしっかり引き継いで、子供たちに継承する教師的な立場。
物語はさまざまなエピソードが短編小説のように繋がっていき、それによって登場人物たち個々に「己の欠点」が現れて、それを克服していくさまが描かれます。
貧しくても辛抱強く幸せな過程をーー。
質素で勤勉な生活・・・マーチ家は決して裕福ではありません。
厳密に言うと元々は裕福だったのですが、父が友人に騙されて財産を無くして没落にしたことで、貧しい境遇に陥っているんです。
だから時に貧しさに不平は言ったり、過去の暮らしぶりが抜け切らず、貴婦人的なプライド(特に長女のメグなんかは)が顔のぞかせたり、します。
でも貧しい生活を強いられながらも、家族の”愛”を大切にして、南北戦争に従軍している父の無事と帰還を祈り、優しく堅実な母親に見守られ、仲睦まじく過ごしているのは家庭的要素が強くて、そこが非常に心温まります。
そして四姉妹は、困難にぶつかりながらも、それぞれ夢をもち、克服によって成長していく・・・たとえ貧しくても、家庭生活でお互いを信頼して愛しながら暮らしていくことは幸せにつながるのです。
ベスにまつわる、僕の好きなエピソード
僕は登場人物の中でも特に三女の恥ずかしがり屋で内気なベスが大好きです。
彼女にまつわるエピソードで、特に感動的なものを下記で紹介します。
1.ローレンス氏のピアノ
ベスはローレンス家に置かれているピアノに憧れているのに、ローレンス氏が怖くて近づけないーー。 ローレンス氏はそれを知ってベスに家にきてもらうために、ピアノを長持ちさせるために、自分に会わなくてもいいからお家へ弾きにきてほしいと伝える。ベスは、ローレンス家にいきだれにも会わないようにしながら、ピアノを弾きにいくようになる。何度もひくうちにベスは、感謝の気持ちからローレンス氏に手製のスリッパを贈る。それをもらったローレンス氏は数日後、マーチ家にピアノを届ける。ローレンス氏は手紙を添えて「亡き娘の所有の品をベ に贈る」と書かれている。それを読んだベスはあれだけ恐れていたローレンス氏の家へ向かう。そしてローレンス氏がいる書斎の戸を叩き、老人にキスする。
2.重篤におちいるベス
ベスが貧しい一家の看病から猩紅熱をうつされる。医者の治療も虚しく、症状が治ることはなく、重篤な状態となる。
3姉妹は、ベスといえば家族ではいつも影が薄い存在として扱われていたが、ベスがいなくなってはじめて家庭で彼女の大切がわかる。
そして姉妹たちは改めてベスの美徳を褒め称え、自分たちの至らなさを恥じる。
一時は死を覚悟するが、母親不在の中(従軍中の父の所在を確かめようと家を離れたいたのだ)姉妹たちは懸命に看病を続け、なんとか持ち直し、死に至らずに終わる。