【芥川賞】蹴りたい背中のあらすじ+感想を解説!←ダークな青春小説

最初にPOINT!

・蹴りたい背中の簡単なあらすじが分かる

・蹴りたい背中をすでに読んだ人の感想を知れる

たかりょー
こんにちは、年間100冊以上の小説を読むたかりょーです。

先日、僕は以下のようなツイートをしました。

この記事では蹴りたい背中を読み終えた僕が、あらすじや作品を読んだ感想をご紹介していきます。

5分もあれば読めちゃうので、お時間がある方はどうぞ。

蹴りたい背中の簡単なあらすじ・内容

高校一年生のハツはクラスでの人間関係を嫌い、どのグループにも所属することなく、孤独に学校生活を送る。

ある日、理科の時間に、もう一人の余り物であるにな川と、ファッションモデルのオリチャンの話をする。

にな川はオリチャンの熱狂的なファンであり、初実は中学一年生のころ、偶然彼女と駅前の無印良品と会話をしたことがあったのだ。

その日の放課後、初実はにな川から自宅に招待され、一緒にオリチャンにあった場所に連れていってくれるようハツにお願いする

微妙な関係を描いた青春小説。

蹴りたい背中はこんな人におすすめ

たかりょー
蹴りたい背中は以下のような人におすすめできる小説です。

 

・純文学読みたいけど難しい言い回しが苦手な人

・新生活に馴染めていない中高生

・学生時代を追体験したい親さん世代

・キラキラした青春小説に飽き飽きしている人

蹴りたい背中の登場人物

▪️ハツ
主人公。陸上部に所属する高校1年生。クラスに溶け込まず、休み時間も一人でいる。どこか冷めた性格で、クラスの相関関係を何歩も離れた位置から観察している。とはいえ、自分が孤独である状況をひしひしと感じていて、言葉では表現しませんが、寂しさは感じている。

▪️にな川
ハツと同じ余り物。ファッションモデルのオリチャンの大ファン。前髪が重く長すぎる。暗い情熱で満ちたファンシーケースのなかには、オリチャンのコレクションを集めている。いわゆるオタク。

▪️絹代
ハツの同級生で中学校からの友人。高校入学後は少し疎遠になっているが、ハツに積極的に話かけて、クラスに溶け込ませようと努力している。

▪️オリチャン
モデル。鼻筋のしっかりとハーフのような顔立ちだが日本人。27才。

蹴りたい背中の個人的感想

それでは蹴りたい背中の感想を述べていきますね。

・めちゃくちゃ読みやすい

・余り物同士の奇妙な関係

・孤独や寂しさの追体験(ほろ苦い思い出)

それぞれ解説していきますね。

感想01.めちゃくちゃ読みやすい

結論、蹴りたい背中はすごく読みやすいです。

というのも、小説舞台が学校生活ということもあって、誰もが想像しやすく、身近に感じられる小説だからです。

「蹴りたい背中」は第130回芥川龍之介賞作ということで純文学に分類されます。

とはいえ、純文学の堅苦しさはなく、ケータイ小説やエンターテイメント小説として、ほんとスラスラ読めちゃいます。

また、作品内の言葉も、綿矢さんが当時高校生の時に書いたこともあってか、若者言葉が多用されているので、全く堅苦しくないのも、読みやすさに一役買ってますよね。

感想02.余り物同士の奇妙な関係

ハツとにな川はクラスでは余り物の存在で似た者同士という印象があるかと思います。

ところが「ハツ」と「にな川」だけの関係にフォーカスを当てて見ると、上手に対比構造が作られています。

ハツ→絹代が離れたとか、他人の目の色を伺うとか。外の世界が気になって仕方ない。

にな川→オリチャンが全て!自分の内的な世界に閉じこもり、外の世界を全く気にしない

ハツは言葉でこそ表してはいませんが、にな川に対して、強烈な憧れと苛立ちと相反する感情を抱いています。

ユングの分析心理学で言えば、にな川はハツにとって、『自分では生きられない存在』=『影』だと解釈することも可能です。

だからこそ、あの有名な文章

この、もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい。痛がるにな川を見たい。いきなり咲いたまっさらな欲望は、閃光のようで一瞬目がくらんだ

これをハツの性的衝動やサディズムと考えることもできますが、『憧れ』と『苛立ち』といったアンビバレンツな感情

ぶつかり合い、『蹴る』という攻撃反応に変換された結果とも読むことができます。

それを証明するように、

背中を蹴った時のあの足裏の感触を反芻しながら。すると身体が熱くなってくる。でも目だけは冷静に彼を観察している。目つきと身体の温度が相反している。“冷えのぼせ”状態だ、、、私の学校での鮮やかな感情と言えば、この“冷えのぼせ”だけ、、、

と蹴った後も、『冷えながらのぼせる』といった相反する感情が身体で続けられています。

普通に「理性」と「情動」といった対比でも考えられますが、

感想03.孤独や寂しさの追体験

蹴りたい背中を読んだとき、昔のほろ苦い思い出が蘇ってきました。

僕も一時期、クラスに馴染めず、一人で行動することがあったからです。

彼らには薄い幕が張られている。笑顔や絡まる視線などでちょっとずつ張られていく膜だ。膜は薄くて透けているのにゴム製で、私が恐る恐る手を伸ばすと、やさしい弾力で押し返す。多分無意識のうちに。そしてそんなふうに押し返された後のほうが、私は誰ともしゃべらなかったよりも、より完璧に独りになる。

主人公のハツは、クラスに溶け込もうと、喋ったり、好きでもないこと一緒にいたりと、友情関係を維持しようと努力する行為に、嫌気がさしています。

中学校の頃、話に詰まって目を泳がせて、つまらない話題にしがみついて、そしてなんとか盛り上げようと、けたたましく笑い声をあげている時なんかは、授業の中休みの十分間が永遠にも見えた。

グループに所属するとは、『グループに合わせる』のが当然視されて、誰かが笑えば自分も笑う、誰かが悪口を言えば、自分も相槌なりをうつ等の行為が暗黙のうちに強制されます。

ハツは大人びているというか、クラスの生徒たちの努力をまるで一歩上からのぞいているかのような雰囲気を持っています。

例えば、理科の実験ときに、先生に適当にグループを作れと号令がかかった時の、生徒たちの動きについて客観的に冷静にこう考えています。

ごく一瞬のうちに働く緻密な計算ーー5人親しい友達で固められるか、それとも足りない分を余り物で補わなければならないかーーがなされ、友達を探し求めて泳ぐ視線同士がみるみるうちに絡み合い、グループが編まれていく。どの糸が絡み合っていくか、私には手に取るように分かる

なんとか仲のいい子とグループになろう、一緒に座ろうと、生徒同士が視線をからめ合わせる。

そんな様子を“糸”という比喩を用いて、的確に描いています。

ハツは目線のやりとりには参加しないので、当然、余り物となるわけですが、「やっぱり!」と開き直るわけではなく、心の中ではどこか寂しく感じます。

自分の行動は正しいとわかっていても、やはり“孤独であること”は学校にいる限りは避けられず、ひしひしと痛感するわけです。

そこで孤独を感じる装置として、聴覚が以上に際立つ感覚として登場します。

さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高くすんだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつけるから、せめて周りには聞こえないように、私はプリントを指で千切る。細長く、細長く。紙を裂く耳障りな音は、孤独の音を消してくれる。

片方の耳を薬品のにおう机の上に押しつけて目を閉じると、オオカナダモの細胞の絵を描く鉛筆の芯が紙を通して机に当たるコツコツという音が、机から伝わって直接鼓膜に響いてきた。他にも顕微鏡に当たるガチャガチャ動かす音、話し声、楽しげな笑い声。でも私にあるのは紙屑と静寂のみ

孤独な時は、少しの物音にも敏感に反応して、静寂さえも音となって僕たちを襲ってきます。

ハツはまさにそんな体験をしているわけなのです。

もし読者さんの中で、学生時代にほろ苦い経験(孤独やシカトなどをされた)をされた方は、間違いなく共感するでしょう。

蹴りたい背中、他の感想をピックアップ

 

ハツとにな川の関係が気になる

 

感想01.ハツとにな川の関係が気になる

蹴りたい背中のメインキャラクターはハツとにな川の2人です。

だからこそ、お互いがどんな関係なのか当然気になりますよね。

友達?ライバル?それとも好きな人?

僕は個人的に恋愛物語としても全然読めましたよ。(多分多くの人に否定されるかもしれませんが)

恋愛って「好き!」や「ドキドキ」みたいなストレートなものだけでなく、「この子気になる」から発展することもあるからです。

それこそ今後、2人の関係性が深くなって、彼らが結ぶつく、、、みたいな奇妙なことになるかもしれませんよね。

感想02.ついつい自分の過去と重ねてしまう


haretasora77さんのように、蹴りたい背中を読んでいて、ついつい中高生時代の自分と重ね合わせて人も多いのではないでしょうか。

学校生活って今考えると本当に独特で、周りに合わせなきゃハブられたり、いじめられたり、無視されたり、当たり前の世界ですよね。

僕も中学生時代のほろ苦い記憶をふと思い出してしまいました。

感想03.やっぱり人気の高い冒頭の文

小説の良さって、作品の冒頭の出だしの一文が、かなり重要になってきますよね。

例えば、西加奈子さんのサラバだって

僕はこの世界に、左足から登場した

がかなり有名です。

また海外に目を向ければ、

こうして話をはじめるとなると、、、

とサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」も有名。

そういった点で「さびしさは鳴る」は、改めてあの小説が読みたい!とか、今でも好き!って思えるような素敵な冒頭ですよね。

高校の試験でも使われた題材!

ばる@氷の人さんの感想は、個人的に面白くて、ついついピックアップしちゃいました。

蹴りたい背中って、高校の試験でも使われていたんですね!

試験後に続きた読みたくて買いに走ったばる@氷の人さんも面白いです。

蹴りたい背中は恋愛小説+青春小説として読める

蹴りたい背中は、純文学でありながらケータイ小説のような面白さを持っています。

その理由は題材の近しさや若者言葉が多用されているからですよね。

ジャンルとしても、恋愛要素もあり、青春要素もあるので、普段からあまり小説を読んでいない人でもとても読みやすい内容になっていますよ。

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