こんにちは。たかりょーです。(@RyoooooTaka)
「パラグラフってどういう意味?」
「小説用語でよく出てくるパラグラフについて知りたい」
こういった疑問を解決する記事を用意しています。
小説はパラグラフが一つずつ組み合わさって、全体を形成しています。
そのため、パラグラフの役割を知っておくと、小説執筆だけでなく、読書するときにも非常に役立ちますよ。
ぜひ覚えておいてくださいね。
パラグラグとは?
パラグラフとは、直訳すると「段落」や「節」という意味があります。(『文章の区切り』という意味で使われることが多いです)
以下の文章をみてください。2つのパラグラフで構成されています。
□私は高校3年までサッカーをしていた。小学2年生からはじめたので、サッカー歴は11年だ。【パラグラフ1】
□高校時代の部活ではA君とB君とC君と仲が良かった。私を含め4人はサッカーの練習が終わった後も、いつも一緒だった。近くのコンビニたむろしながら、くだらない会話を楽しんだ。【パラグラフ2】
この例文から分かるように、
一文字あけた(=字下げ)冒頭から、次の改行位置までのひとまとまり
これが通常の意味でのパラグラフです。
小説のパラグラフは?
“小説におけるパラグラフ”の場合は、若干ニュアンスが違います。
小説のパラグラフは以下の意味で覚えておいてください。
ある1つのトピック(小主題)について書かれた文のひとまとまり
例えば、ヘルマン・ヘッセの小説『デミアン』の文章をみてください。
私が十歳で、私たちの小さな町のラテン語学校に通っていたころの体験で、私の物語を始める。(A)
そのころいろいろなものが、私の方におってきて、内部から苦痛と快い身ぶるいとをもって私を動かした。暗い路地や明るい路地、家々と塔、時計の音や人の顔、住みごこちよさとあたたかい会館にみちたへや、秘密とおばけにたいする深い恐怖にみちたへやなど。、、、そこでは2つの世界が交錯していた。二つの極から昼と夜とがやってきた。(B)
1つの世界は父の家だった。しかし、それはなおいっそう狭く、実際は私の両親だけを包含しているにすぎなかった。この世界の大部分は私に親しみが深かった、、、(C)
もう1つの世界は、すでにわたしたち自身の家のまんなかではじまっていた。しかも、まったく異なっており、異なったにおいがし、異なった言葉をはなし異なったことを約束し、要求していた。この第二の世界には、女中や職人の弟子がいた。(D)
AとBとCとDは、段落で区切られているので、それぞれ1パラグラフずつとして換算できます。
ただパラグラフの内部を厳密に解釈していくと、各々はひとつの「話題」=「トピック」を提供しているのが分かると思います。
A➙これから私の物語をはじめる。
B➙当時、2つの世界が交錯していた。(昼と夜があること)
C➙一方は私に親しみのある世界だった。(昼について)
D➙もう一日雨は異質の世界だった。(夜について)
このように小説のパラグラフは
内容的に関連性の高いセンテンス(文)が複数集まり、ある小主題や考え、説明を加えるもの
というニュアンスが強く、通常の段落や節よりも、『話題=トピック』という意味で使われることがあります。
小説にパラグラフを上手に使うと、、、
小説はダラダラと説明が続くと当然ですが、読みにくくなります。
なのでパラグラフを上手く組み立てることによって、
・文章にリズムが生まれる
・バラバラの情報を整理できる
・文章それぞれに単一の意味を持たせられる
・読者が読みやすくなる
こういったメリットが与えられます。
皆さんも必ず小説を執筆するときにはパラグラフを意識するようにしましょう。
パラグラフ例
最後にもう一つだけ、とても上手にパラグラフが活用されている小説の例をご紹介しておきますね。
アメリカ作家、ヘンリー・ジェイムの『ねじ回転』の冒頭部分です。
ヘンリージェイムズは、独特の語りと精緻な心理描写が有名で、読者を小説世界にグッと引き込み、最後まで読ませていく天才です。
『ねじ回転』の冒頭部分はとくに、その才能が遺憾なく発揮されており、絶妙にパラグラフを使いこなされています。
暖炉のまわりにたむろした私達は、息をはずませて話に聞き入っていた。凄いな!という露骨な感嘆詞のほかには声もなく。クリスマス・イブに、ある古い屋敷でおきた怪談であるから、すごいのも当然だが、やがて、ふと一座の沈黙を破って、誰かが、“しかし、こんな風に、幽霊が子供に出たという怪談には、初めてお目にかかった”と言ったのを私は覚えている。
その怪談というのは、言ってみれば、ちょうどその時われわれが集まっていたとおなじような古い家に出た亡霊の話で、--母親と一緒に寝ていてた男のところへ恐ろしい幽霊がでたので、子供はおびえて母親を起こした。と母親は目を覚まして、子供の恐怖を払いのけ、静かにまた睡らせようとしたが甲斐がなく、そのうち彼女自身も、子供を震えあがらせたと同じもの凄い光景を見てしまった、という事件だった。(B)
この“子供に幽霊が出たという話は初めてだ”という誰かの意見が、ゆくりなくもダグラスの口から、--その時すぐにではなく、もっと夜更けてからーーべつの興味ふかい話、つまり、これから私が諸君にお聞かせする話を引き出すことになったのだ。(C)
パラグラフを一つ一つ読むと、
・これからどんな物語が語られるのか(怪談話)
・どこで怪談話をしているのか(暖炉の周り)
・どんな怪談話か(古い家に出た亡霊。子供と母親が出てくる)
とほんの短い文章のなかに詰め込んでいます。
このようにパラグラフは、作者が何を言いたいのかをまとめて、シチュエーションや描写を綺麗に整理する役割があるのです。
まとめ→パラグラフを使いこなせば読みやすい小説が書ける
読みやすさを、
・昔の小説
・現代の小説
とで比べたとき、圧倒的に後者の方が読みやすいですよね。
その理由は、
・昔の小説→一つのパラグラフがものすごい長い
・現代の小説→一つのパラグラフを短く切っている
という違いがあるからです。
パラグラフを使いこなせるよと、格段に“読みやすい小説”を書けるようになります。
なので今後皆さんが小説を執筆(あるいは読書)するときには、パラグラフを意識しながら書くようにしてみてください。