小説『勝手にふるえてろ』のあらすじ【爆笑必至!こじらせ女必見!】

最初にPOINT!

・蹴りたい背中の簡単なあらすじが分かる

・蹴りたい背中をすでに読んだ人の感想を知れる

たかりょー
こんにちは、年間100冊以上の小説を読むたかりょーです

先日、僕はこのようなツイートをしました。

勝手にふるえてろを読了した僕が、あらすじや感想をまとめています。

5分もあれば読めちゃいますので、もしお時間がある方はどうぞ。

目次

勝手にふるえてろの基本情報

作品名:勝手にふるえてろ
著者:綿矢りさ
ページ数:168ページ
出版社:文藝春秋
スタイル:文庫(単行本あり)
ジャンル:恋愛文学
定価:単行本→¥1430 文庫→¥770

表題作は、2010年に第27回織田作之助賞大賞候補になりました。

数々の名作を世に送り出した綿矢りささんの代表作のひとつで、松岡茉優が主演をつとめた映画ことでも有名です。

勝手にふるえてろはこんな人におすすめ

たかりょー
勝手にふるえてろは以下のような人におすすめできる小説です。

・なかなか恋愛がうまくいかない人

・オタク系女子
・正当な恋愛小説に飽き飽きしている人
・初恋の人を忘れらずこじらせてる人

勝手にふるえてろの登場人物

  • ヨシカ→26才。彼氏なしで処女。池袋にあるマルエイ経理課に務める。中学生の頃、片思いをしていたイチに対する恋心を捨てきれず、こじらせまくる女。眼鏡をかけて見た目はもの静かで暗く、中学生のころは影のような存在だった。脳内では妄想アドレナリン全開で、時には現実からかけ離れた想像をしている。アニメイトが大好きで、Theオタク。最近ハマっているのはウィキペディアで全滅した動物について調べること。お母さんっ子で、事あるごとに東京から電話をかける。
  • イチ→ヨシカの妄想対象であり、永遠の恋人。ヨシカが中学2年の時にクラスが一緒だったが、まともに喋ったことはほぼない。クラスメイトからは愛されキャラとしてイジられかまわれていた。(モテる子とは違ってペット的な扱われ方をしていた)
  • ニ→ヨシカを好きだと言い寄る珍しい男。営業課との交流会で知り合ってからグイグイアプローチをかけられる。(実は同期入社だった)目鼻立ちのはっきりした元体育会系で暑苦しいオーラをプンプンさせている。子供っぽい性格で自分に興味のないことは何度もデートを重ねるが、ヨシカは彼をまったく愛していない。
  • 来留美→ヨシカの会社の同僚。

勝手にふるえてろのあらすじ

江藤良香(ヨシカ)。妄想力爆発のキュート女子の恋愛物語。

中学生の頃に好きだったイチの事がいつまでも忘れられず、彼氏も作らず(彼氏も作れず?)26才になった今でも処女を守り通す。

オタク期間が長かったため、うまく現実世界に順応することができず、日頃から妄想に1人語りさせる脳内会話ばっかりしている。

そこに現れたのが、暑苦しいタイプのイチ。

恋愛経験ナシ、妄想力以外武器ナシのヨシカを熱烈に愛してくる。

ヨシカは「あんたのことが好きじゃないわ」と思いながらもデートだけは重ねる。(いわゆるキープ)

そんなある日、中学の同窓会が開かれることになり、そこには何と憧れのイチの姿が!

死ぬまでにイチと再開したいと願っていたヨシカはテンションマックスで、大胆な行動に出る、、、

勝手にふるえてろの感想【たかりょーの感想】

たかりょー
勝手にふるえてろを読んだ、僕の個人的な感想を3つに分けてご紹介しますね。

01.最強の妄想恋愛小説!

02.愛や恋の名言が多数←心に染みます!

03.ヨシカの心の成長物語

それぞれ説明していきます。

感想01.最強の妄想恋愛小説!

勝手にふるえてろは、正当な恋愛小説(地に足のついた現実的な恋愛)ではなく、脳内で繰り広げられる想像恋愛=妄想恋愛が大半をしめています。
もちろん、主人公は現実で、生の人間と会話や行動をしているわけですが、明らかに脳内の声のほうが、多くの割合いを示してます。
「オタクの期間が長い」そこがまた面白いのであって、すごく楽しみながらよめるラブコメディになっているわけです。

感想02.愛や恋の名言が多数←心に染みます!

オタク気質で、妄想恋愛ばかりしているよしか。
でも、裏を返せば、恋に・愛に・セックス(生殖)にあまりにもピュアだから、“異質な考えをもつ子”と社会から、世の中から、レッテルを貼られちゃうんです。
でも以下の言葉たちから、よしかが本気で恋に・愛に・セックスに向き合っていることがわかります。
わがまま言うな、残酷なこと言うな、恋心の火は火力を調節できないからこそ尊いんだぞ、、、心の片隅ではこんな苦しい説教をする私も含めてぜんぶ愛してほしいと甘いことを考えるだろう。
愛がないセックスだけでも子どもは生まれるのに、どれだけ愛していてもセックスしないと子どもは生まれない。
この年までいやいや守ってきたものがある。貞操だ、、、こんなくだらないものを守らなければならない自分が嫌にはなるが、かといって、いまさらどうでもいい相手と済ませたくはない。処女を捨てたいからって好きでもない人としたら、多分終わってすぐは普通だけど、だんだん取り返しがつかないほど後悔してぶつぶつひとりごとを言うようになり、自分の貞操を探して、毎夜、上野公園の不忍池のあたりをはいずりまわる人生になるだろう。
妄想と現実の狭間で、猛烈に語りまくる。
語る相手は、この現実世界にはいない。
ただ醜くてダサくて、気持ち悪い自分に対して語るだけです。
ときにはよしかの声は、あらん限りの声を張り上げて、世界に向かって叫びます。
でも私はイチがよかった。ニなんていらない、イチが欲しかった
もういい、想っている私に美がある。イチはしょせん、ヒトだもの。しょせん、哺乳類だもの。私のなかで12年間育ち続けた愛こそが美しい。イチなんか、勝手に震えてろ

感想03.ヨシカの心の成長物語

勝手にふるえてろは、「理想の恋」と「現実的な恋」とが、はっきり対称的に描かれ、『理想の恋人イチ』と『現実の恋人候補ニ』との間で激しく心が揺れるストーリーになっています。

物語の前半終わりまでは、

イチ→どんなことでもすべて許せるし、すべてが好き!・・・『理想を理想化』

二→ちょっとしたことでも腹がたつ!言動から振る舞いからうんざり!・・・『現実逃避』

という風に、『イチ>ニ』と2人の間に優劣がはっきりとつけられ、彼女の脳内から現実を締め出しているわけです。

ところが物語の中盤で、イチはヨシカの名前さえも覚えていない!と言う事実を突きつけられます。

つまり、理想から現実に引き戻され(理想は単なる妄想・夢に終わります)否応無しに、ニ=現実と向き合わなければならない状況になります。

そして面白いのが、明らかに『イチ=理想』からはなれ、『ニ=現実』とぶつかりあった時の方が、ヨシカの心の本音が、現実の声となって発せられていると言うことです。

「好きになったら、私の内面を知りたいと思わないの。聞いてよ、私がどんなことを思っているのか。どれくらい私がきたない人間なのか、どんな人間かもよく知りもしないうちから告白なんてしないでよ」

いつも妄想で脳内会話ばかりしていたヨシカが、聞いてよ!と現実世界に向かって訴えかけます。

私のことを愛しているんでしょ。こういうこと言うのも私だよ。受け入れてよ

そして『ニ=現実』はヨシカに言うわけです。

おれとの子供作ろうぜ

前後の文を読んでいると突拍子もない発言ですが、それまで妄想恋愛小説だったのが、現実的な恋愛小説に変化するわけなのです。

このように

夢を抱く→事実の突きつけ→幻滅→混乱→現実の受け入れ

と小説全体を、ヨシカの心の変遷=成長としても読むことができます。

その他読者の感想まとめ

 

感想01.ヨシカに共感する女の子が多いかも、、、

たかりょー
男性からしたら、「おいおいそこまで妄想しちゃうのかい!」と思っちゃうような、ちょっとヤバめな性格のヨシカ。でもSoraさんの感想を聞くと、共感しちゃう女性って、意外にたくさんいるのかもな〜って思いました。
てか、男性だって、好きな人ができたらエッチなこととか、妄想してるんだし、人間って妄想する生き物なんだな〜って改めて思いました。

感想02.綿矢りささんの言葉選びに脱帽!

たかりょー
綿矢さんは「インストール」で文藝賞(2001年)を、「蹴りたい背中」で芥川龍之介賞(2004年)を、そして「かわいそうだね?」で大江健三郎賞(2012年)を受賞している実力派の作家さんです。
彼女の持ち味といえば、なんと言っても、パンチ力のある言葉をさらっと作品に入れるうまさ。僕の大好きな作家さんです。

感想03.ヨシカはイタイ女!?

たかりょー
男が「イタイ女」と言う失礼かもしれませんが、勝手に震えてろはまさに、「イタイ女の恋愛記録」って感じ妄想恋愛小説です。
でもその痛々しさが、時に僕たちの心を揺さぶるというか、落ち着きなくさせるわけです。
あとゆう@読書垢さんの『リアルな女の本音』と言う部分は男たちを落ち着きなくさせますねww

感想04.恋する人は誰でも自分をみて欲しい!?

たかりょー
平生では普通に常識人でも、恋をして、1歩妄想の世界に足を踏み入れたら、ヨシカのようになっちゃういます。
なぜなら、恋の作用によって、“私”を中心に世界が回っているように誤解しちゃうからです。
「あっ!誰々ちゃんがこっち見てる」何度僕も勘違いしたことか、、、って感じですね。

まとめ:読了後、おすすめ恋愛小説5選!

『インストール』や『蹴りたい背中』、『私をくいとめて』など、個性的な作品を書かれてる綿矢さんのなかでも『勝手にふるえてろ』は、もうド級に面白さ抜群で、あくが強い内容になっています。
さて、最後に『勝手にふるえてろ』を読んだ方へ、これだけは読むべきおすすめ恋愛小説を5選で紹介しておきますね。
・ヒロイン
・ぬるい毒
・人のセックスを笑うな
・ストーリー・セラー
・すべて真夜中の恋人たち
たかりょー
どれも最高の小説なので、ぜひお時間があれば読んでください!
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この記事を書いた人

読書好きブロガー。とくに夏目漱石が大好き!休日に関連本を読んだりしてふかよみを続けてます。
当ブログでは“ワタクシ的生を充実させる”という目的達成のために、書くを生活の中心に据え(=書くのライフスタイル化)、アウトプットを通じた学びと知識の定着化を目指しています。テーマは読書や映画、小説の書き方、サウナ、アロマです。

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