小説『センセイの鞄』の感想・レビューを紹介!【川上弘美の心温まる恋愛小説!】

たかりょー
川上弘美さんの『センセイの鞄』ってどんな本?

今回はこんな疑問にお答えします。

たかりょー
こんにちは、年間100冊以上の小説を読むたかりょーです。

先日僕は以下のようなツイートをしました。

読み終わりましたので、『センセイの鞄』を読んでないひと向けにあらすじと感想をご紹介していきますね。

▼本記事の内容

  • 『センセイの鞄』はどんな人におすすめ?
  • 『センセイの鞄』のあらすじ
  • 『センセイの鞄』とあわせて読みたい本

川上弘美さんと言えば、代表作「蛇を踏む」で芥川賞受賞され、日本でも人気の高い女性作家です。

日常を丁寧に描きながら、ふとした瞬間に現実と幻想との境目が溶け合い、不思議な世界を描く、独特の作風を持っていることで有名ですね。

本作は川上弘美さんのもう一つの代表作とも呼ばれる恋愛小説です。

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目次

小説『センセイの鞄』の基本情報

作品名:センセイの鞄
著者:川上弘美
ページ数:278ページ
発売日: 2004年9月3日
出版社:文藝春秋
スタイル:文庫(単行本あり)
ジャンル:恋愛文学
定価:文庫→¥574

本作は2001年の第37回”谷崎潤一郎賞”を受賞した作品です。

かつての恩師と偶然の再開を果たし、ゆったりとした時間の中で互いに恋心を抱く。

最後はちょっぴり切ないけれど、とても素敵な作品ですよ。

小説『センセイの鞄』のあらすじ

駅前の一杯飲み屋で、偶然、高校時代の恩師「センセイ」(松本春綱先生)に再会した。

隣り合ったその日から、その店で何度か出会うに連れ、いつの間にか、お酒の席以外のプライベートでも一緒に過ごすようになる。

お酒やつまみの趣味があう2人はキノコ狩りや花見、島へと旅行に出かけたり、、、

季節が変わるたびに2人の関係はどんどんと近づいていき、次第に月子の中でセンセイを強く求めるようになり、“恋”という感情が芽生え始める。

38歳のツキコさんと70代のセンセイとでは1回りもふた回りも違う。

互いに求め合う中で結びつきは強くなり、不思議な関係ができる。

小説『センセイの鞄』はこんな人におすすめ

ペン太
センセイの鞄はどんな人が読んだ方がいいの?

それではどんな人が「センセイの鞄」を読むと楽しめるのか、おすすめを以下に記載しておきますね。

✴︎温かくもどこか切ない恋愛小説が読みたい

✴︎ゆったりと時間が流れていく落ち着いた小説が好き

✴︎恋をしている女性心理を丁寧に描いた作品を楽しみたい

✴︎ありふれた日常を丹念に描いた大人な恋愛小説が読みたい

年間10冊以上本を読んでいる僕が、以下にて、「センセイの鞄」の評価をしますね。

総合評価:★★★★

読みやすさ:★★★★★

キャラクターの魅力度:★★★★☆

表現の巧みさ★★★★★

感動★★★★☆

読み返したい度★★★☆☆

読み終えた後の読了感はとても満足いくものでした。

難しい表現とかなくて、短文でスラスラと読めるような作品ですよ。

小説『センセイの鞄』の個人的感想

続いて「センセイの鞄」の感想をご紹介しましょう!

・年の離れた先生と生徒の恋愛小説

・リズム感よい文章。とにかくスラスラと読める

・子の抑えられない恋愛感情がむき出しに

それぞれ解説していきますね。

感想01年の離れた先生と生徒の恋愛小説

物語は、駅前の一杯飲み屋で隣り合わせたことがきっかけ。

主人公ツキコさんは、十数年ぶりに高校の国語教師松本春綱先生(センセイ)と再開し、何度か同じお店で会うようになる。

それから、だんだんと恋愛関係に発展するまでの軌跡を、ゆったりとした時間展開の中、丹念に描かれています。

年がかなり離れているので、恋愛関係に発展するの?

なんて思うこともありますが、川上さんが紡ぐ言葉の魔力によって、なんの違和感もなく受け入れるようになりました。

感想02リズム感よい文章。とにかくスラスラと読める

これは川上弘美さんという作家がとても優れた語感をお持ちだからこそだと思います。

だらだらと長い文章ではなく、歯切れの良い短いリズムで、時に会話を挟み込みながら、どんどん場面転換をしていく。

登場人物の心理や性格も、「彼は〇〇のような思いを抱き、〇〇の性格だった」みたいに“説明”で伝えるのではなく、状況描写のなかにふと、“ウキウキとした感情”、”子供っぽさ”を感じさせられます。

オリオンの三つ星がきれいに見えていた。まっすぐに、歩いた。元気良さげな歩調で、歩いた。歩いているうちに、少しだけ体があたたまってきた。どこかの犬に吠えられて、一瞬涙がでた。じきに四十歳にもなろうというのに、子供みたいになっている。P93(お正月)

読んでいるこちらのちょっと浮き足立つような気持ちになりますよね。

センセイの鞄では、こういった巧みな描写がほんとに多いです。

感想03月子の抑えられない恋愛感情がむき出しになる

最初はただ「恩師と生徒」が仲良く酒を酌み交わしたり、キノコ狩りに出かけたりと、穏やかな時間が流れていくだけです。

しかし、月子はその時間の中で確実にセンセイを愛する気持ちが強くなってきます。

そして子供のよう“好き”という感情が露骨にむき出しになることが増えてきます。

維持をはったり、嫉妬したり、泣き出したり。

恋をするとこれだけ人を愛おしく思い、喜怒哀楽が豊かになるんだ。ってことを改めて学びました。

小説『センセイの鞄』と一緒に読みたい本3選!

最後に併せて読むべき本も併せてご紹介しますね。

どの作品も魅力的な作品なので「センセイの鞄」を読み終えた後にでも読んでみてください。

蛇を踏む

川上弘美さんを語る上で、絶対に必須の作品です。

蛇を踏んだことがきっかけとなり、主人公は異様な世界に巻き込まれていきます。

SFとかマジックレアリズム的な要素を持った、最高に面白い作品ですよ。

ニシノユキヒコの恋と冒険

こちらは竹野内豊さんが主演をつとめて映画化もされているので、結構知っている人も多いのではないかと思います。

ちょ〜モテ男のニシノくんが、何人もの女性と恋愛関係を結びながら、真実の愛を探求する作品です。

とにかくニシノくんモテっぷりがすごい作品なんですが、章を重ねていくごとに、彼のぬぐいがたい悲しみを抱えていることが分かります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

川上弘美さんの独特の世界観を思う存分味わいたい人は、まず日常をあたたかく描いた本作から読んでもいいかもしれません。

その後に蛇をあむや神様のようなSF的な物語を読むとより深い理解に繋がるのでは、、、と思っています。

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この記事を書いた人

読書好きブロガー。とくに夏目漱石が大好き!休日に関連本を読んだりしてふかよみを続けてます。
当ブログでは“ワタクシ的生を充実させる”という目的達成のために、書くを生活の中心に据え(=書くのライフスタイル化)、アウトプットを通じた学びと知識の定着化を目指しています。テーマは読書や映画、小説の書き方、サウナ、アロマです。

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