聖なる夜、クリスマス。
クリスマス気分に浸りたいなあって時には、小説を読むことをおすすめします。
現に僕はイルミネーションを見にいくとかは結構大変なので、小説を読むことでたった数時間だけでもクリスマスの気分になっています。
今回は僕がクリスマスの時期になると、読みたくなる作品群をご紹介します。
ちなみに毎年どれかを必ず読んでいます。
今回は特に、短編・中編を厳選しているので、1日もあれば読める作品を中心に選んでいます。
なので例えばクリスマスイブやクリスマスの前夜に、ちょこっと時間をとって読むみたいな感じでいいかと思います。
ちなみに僕が海外作家が好きなので、選定も海外作家に寄っていますがご容赦ください・・・
クリスマスのおすすめ小説【⇦1日で読めます】
僕がお勧めするTOP5を紹介します。基本的に全て半日〜1日あれば読めるものばかりです。
気軽に読める本でありながら、確実に「クリスマス気分」にひたれます。
No. 1クリスマス・キャロル/約189ページ
クリスマスの作品の代表作!といえば『クリスマス・キャロル』。僕の大好きなイギリスの文豪、チャールズ・ディケンズの作品です。
僕はかれこれ、5,6回読んでいますね〜最初読んだ時はマジで大泣きしました。強欲で一般的な『悪い人間』が、奇跡に巡り合うことで、人間的な改心する姿。これが非常に感慨深かったからです。
1843年12月19日に出版して、初版6000部を売り出したのですが、当時において、なんと発売後約1週間で瞬く間売り切れた伝説も残っています。
これまで過去に何度も映画化や舞台化されている作品でもあります。
簡単あらすじ
物語の舞台はロンドン。初老の商人エベネーザ・スクルージは守銭奴のような強欲さで、拝金主義者。慈悲深い心なども皆無で、なんとも意地も悪い性格。
共同経営者の葬儀には、布施を渋り、挙げ句の果てには、死者に授けられる冥銭さえも持ち帰るような人間。
彼のこれまでの人生は、ただ金儲けだけを生き甲斐にし、当然ながら取引仲間や近隣の人間から大変嫌われていた。
そんな彼がクリスマス・イブに、3人の精霊(過去、現在、未来)と奇妙な出会いを通じて、冷酷無比な心を改心し、慈悲深い人間へと生まれ変わる。
たかりょーのCHECKポイント
- これまで過去に何度も映画化や舞台化されている超人気作品
- 発売後約1週間で6000部を売り上げる大ベストセラー
No2.オーギー・レンのクリスマス・ストーリー/約64ページ
アメリカ文学の旗手ポールオースターが描いた心温まるクリスマス・ストーリー。
NYタイムズ紙から「クリスマス用の短編を書いて欲しい」と依頼を受けて書き上げた作品です。
設定として面白いのが、主人公が「毎日同じ時間に、店の前(ブルックリンの交差点)という同じ場所で、同じアングルから」こと。枚数は4000枚以上も撮影している・・・
その理由は、「毎日同じように見える風景でも、全く異なっていて、常に変化しながら、色々な表情を見せてくれるから」この時点で、なぜか僕は非常にひかれました。
カメラで撮影で写り込み人は、ランダムで偶然の出会い。そこに映り込む人生のある瞬間を切り取られた人々。彼らは全て同じように見えて、全て異なるーー。
こういった日常生活から人間模様へと広げていく物語展開は、ポールオースターらしいところですね。
彼の作品はブルックリンを舞台にすることが多いのですが、本作品も同様。翻訳はポールオースター作品の翻訳に通じた柴田元幸さん。
64ページと短いのでクリスマスプレゼントとしてもおすすめです。
ちなみにウェイン・ワン監督の映画『スモーク』の原作にもされていますから、本を読んだ後はぜひ映画も見てほしいです。
簡単あらすじ
ブルックリンの街角で小さなタバコ屋の経営者オーギー。
彼にはある日課がある。それは朝の7時にニューヨークの、アトランティック・アベニューとクリントン・ストリートの交叉点をカメラで撮影すること。12年間撮り続けて、枚数は4000枚以上にものぼる。
オギーのタバコ店には作家のポールが常連客でよく訪れる。彼は銀行強盗に襲われて妻が亡くしている。それ以来、長年の間作品が書けずにいる。そしてある日、雑誌を盗んだ黒人の少年ラシードとも出会う。3人の男たちの人生が交錯する話。
No3.賢者の贈り物/約10ページ
短編小説の作家としてめちゃくちゃ有名なオー・ヘンリー。
19世紀後半に活躍したアメリカ作家なのですが、時代を超えても物語は全く色褪せません。
1906年に出版された賢者の贈り物は、道徳的なテーマを孕んでいて、「人への思いやりとは?」「愛とは何か?」「捧げるとは?」について改めて考えさせられます。
小説の長さは短くて、文庫本で大体10ページくらいです。
簡単あらすじ
ジェイムズ・ディリンガム・ヤング夫妻は若く貧しい家庭。そんな貧しい家庭ながらも誇るべき品が2つありました。
1つは金の懐中時計。これは夫のジムが祖父と父から受け継いだもの。
もうひとつはシバの女王さえも羨むデラの髪です。
ときはクリスマスの前日。
2人はクリスマスに互いに贈り物をしようと、大切な「宝物」を売って、お金を工面しようとします。
妻デラは自分の髪を売り、夫の金の懐中時計に合う「プラチナの時計鎖」を書います。
夫ジムは金の懐中時計を売り、妻の美しい髪によく似合いそうな宝石入りの「亀甲の髪飾り」。
お互いを思いやって、大切なものを捧げあう。ものとしては使えないのだけれど、そこにはかけがえのない“愛”、“思いやり”だけが残る、そんな結末。
No.4クリスマスの思い出/約80ページ
「クリスマスの思い出」はアメリカ文学の若き天才カポーティの短編小説です。
作品の中に出てくる少年は、カポーティ自身と言われていて、大人になってから、少年時代(7歳)のクリスマスを振り返る形で描かれた物語です。
作者のカポーティは、幼い頃から親戚の家をたらい回した過去があって、当時の体験が深く反映されています。
さして大きな事件が起こるわけでもないのですが、誰にでも心の自分だけのスペースに貯めている温かい思い出がある。それは誰かと共有することは難しいけれど、こころという秘密の場所でずっと生き続けるーー。そういったことを考えさせられる物語です。
No.5飛ぶ教室/約237ページ
飛ぶ教室はドイツの作家ケストナーで一番有名な作品です。
クリスマス休暇直前のギムナジウムにいる5人の生徒を中心に、先生との交流を描きながら、決闘やら確執やら、さまざまなエピソードによって展開する小説。
登場人物一人一人が特徴や性格がうまく書き分けられ、物語は登場人物たちのエピソードで積み上げられます。
簡単あらすじ
舞台はドイツ・キルヒベルクにある寄宿学校(ギムナジウム)で、クリスマス休暇の直前に入る。
で、5人の少年達が繰り広げる事件を描く、クリスマス前の物語。
正義感にあふれマルティン、悲しい過去をもち孤独を愛するジョーニー、読書家で理論家のセバスチャン、貴族の子で上品だけれど弱虫のウリ―、ボクサーに憧れ喧嘩が得意なマチアス。
彼らはクリスマスパーティーに上映する演劇「飛ぶ教室」の練習をしていた。
実業高校とのトラブルや、仲間の奪還作戦、はしごからの飛び降り事件、ギムナジウムを中心として様々な事件やエピソードを交えながら、心温まるお話です。
No.6クリスマス短編小説集『X’mas Stories』
最後にこれまで海外作家さんばかりだったので、日本の作品を紹介しますね。
全部読むことは難しいかもしれませんが、クリスマスというテーマに対して、色々な作家さんが作品を書いているアンソロジーです。
作品自体はめちゃくちゃ面白いかって言われたら、微妙なところです。
ただ、朝井リョウや伊坂幸太郎、三浦しをんといった現代日本文学を代表する作家さんたちが集めた作品ばかりなので、ハズレはないです。
恋愛系の話だけでないクリスマスストーリーを楽しみたい人にもおすすめです。
【番外編】長編クリスマス小説←時間があればぜひ読んで!
ここではちょっと長いから2日くらいはかかるけれど面白いからぜひ!っていう作品を紹介します。
下記の2作品はクリスマスシーズンに読まなくても全然楽しめる作品なので、通年ではあります。
ただクリスマス時期に読んだほうが、小説世界によりひたられるよ、という意味で紹介します。
太陽の塔
森見 登美彦さんが作家で、彼が一躍有名になった作品でもあります。
クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都が舞台。
話的には、クリスマスの素敵な物語・・・って感じよりも、クリスマス直前に恋人(『水尾さん』)フられた男の未練のたらたら話がメイン。
クリスマス前後の話なので、ちょうどクリスマス気分を味わうにはおすすめです。
簡単あらすじ
女と縁のない大学生活を送る私。現在彼女は、、、いない。
でも京都大学三回生の時、『水尾さん』という恋人がいた。
あの時は毎日が貴重で、大切で、楽しく過ぎていった。
でもあろうことか、クリスマス直前に私は振られてしまったのだ!
それから私は「水尾さん研究」なるものを実施した。
「水尾さん研究」とは、元恋人を観察・研究し、レポートにまとめていく。
ときにはストーカーすれすれの行動もするが、決して犯罪じゃない!
季節は冬。クリスマスという怪物が、すぐそこまで迫っている。
京都の街は、どこもかしこも燦然と輝くイルミメーションで煌めきたち、恋人たちは賑やかに浮かれている、、、
失恋という究極の痛手を抱えながら、容赦なく膨らみ続ける妄想力。 これまで読んだことのない、極上の妄想”変”愛小説。
たかりょーのCHECKポイント
- クリスマスを寂しく過ごす全員におすすめの作品。彼の失恋から立ち直る姿から、明日への希望を持とう!