『小説のことばは見えないものを見えるものにする』
こんにちは9年間、100冊以上の読書を続けているたかりょーです。(@RyoooooTaka)
今回は、、、
こんな疑問を解決する記事を用意しています。
この記事を読めば以下のことが分かります。
- 宇宙のみなしごを読む前に簡単なあらすじがわかる!
- 宇宙のみなしごを買う前に読者のいろんな感想が知れる
- これから宇宙のみなしごを読む人は、スムーズに小説が読める
宇宙のみなしご読者様へ。素晴らしい小説を発見しました。ぜひこの記事がきっかけになって、宇宙のみなしごを読んでいただけると嬉しいです。
宇宙のみなしごの情報
まずは宇宙のみなしごの基本情報をおさえておきましょう。
作品名 | 宇宙のみなしご |
著者 | 森絵都 |
ページ数 | 176ページ |
出版社 | 角川書店(角川グループパブリッシング) |
ジャンル | 児童小説・青春小説 |
受賞 | 第33回野間児童文芸新人賞、第42回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞 |
定価 | 単行本→¥1430 文庫→¥484 |
小説としては中高生の内容になっていますが、十分、大人も楽しめる青春小説になっていますよ。
宇宙のみなしごのあらすじ
「ときどき、わたしの中で千人の小人たちがいっせいにあしぶみをする」
思春期真っ只中の多感な少女、陽子。
中学2年生の陽子と中学1年生の弟のリンは両親が忙しいため、いつも2人っきり。
彼らは自己流でオリジナルの遊びを考えては、実行してきた。
<立派なトイレコンテスト>、大変だと叫びながら何周も家の周りをダッシュ、幽霊屋敷と呼ばれている古屋への潜入…
そんなある日、陽子とリンはとっておきの新しい遊びを思いつく。
夜中に近所の家に忍び込んみ屋根にのぼるのだ。
最初は、ふたりだけの秘密の遊びだった。
でもリンと同じ陸上部の七瀬さんも仲間に加わると物語が少しずつ動き始める。
ある夜、3人で屋根に座っていたところを、クラスのいじめられっ子、キオスクに見られてしまうのだ…。
温かくも、ロマンチックな青春物語を、直木賞受賞作家森絵都が描く。
宇宙のみなしごはこんな人におすすめ
本題に入る前に、宇宙のみなしごはぜひ以下のような方に呼んで欲しいです。
- 毎日つらくい日々を過ごしている方
- 10代前半のお子さんをお持ちの方
- 素敵で爽やかな物語を読みたい方
- 友達の大切さをあらためて知りたい方
- ドキッとする言葉に出会いたい方
- 心がホッとする本を読みたい方
宇宙のみなしご、個人的感想【読みどころを3つのポイントでまとめたよ】
宇宙のみなしごの感想を3ポイントに分けてご紹介していきますね。
・鋭い観察力と感受性とをもつ、主人公陽子の魅力
・ ロマンチック=イノセンスな世界
・ キオスク→陽子の成長につながる(ネタバレあり)
それぞれ見ていきましょう。
個人的感想01.【主人公陽子の魅力】鋭い観察力と思春期の強い感受性
宇宙のみなしごは1人称で書かれています。
なので、物語全体は主人公である”陽子”の視点で語られます。
さて、その陽子ですが、中学2年生でありながら、大人びた印象があります。
トイレにまで手を取り合っていくような関係、わたしはどのグループにも属していなかった。グループに関係なく、気の合うことだけ遊ぶ、リンみたいに「だれとでも仲良く」じゃなくて、「だれかとだけ仲良く」だ。
あとすっごく冷静面もあって、たとえば、屋根のぼりの最中、一度、近隣住民にバレそうになシーンがあります。
危機一髪、なんとか切り抜けて、ホッと一安心というときに、
真夜中に、なんの意味もなく、人んちの屋根に登っているのである。
謝るくらいじゃすまないだろうし、泣いてもしょうがない。かといって開きなおるのも如何かと思う。
一番こまるのは、「なぜこんなことをしたのか?」と聞かれること。
大人はすぐに理由を聞く。それがフェアな態度ってものだと思っている。
でも残念ながら大抵のことに理由がない。
という風に、わらえるくらい、客観的な降りかかった出来事を観察していますよね。
また中学生に起こりがちなスクールカーストについてを語るときも、、、
いつも窓辺でかたまっている大人しい子たちのグループ。優雅でほのぼのとしたそのたたずまいから『若草物語』と名付けられている四人組のなかで、一番内気そうな七瀬さんはさしずめベス役だった
と嫌味なくらい、冷めた分析をしていますよね。
このように語り手の陽子は、あくまで中学生ですが、
子供的な大人の視点
を交えて物語を語っていきます。
なので、大人がはっと驚くくらい、“物事の切り口”が異常に鋭かったりするんですよね。
宇宙という言葉を思い浮かべるだけで、この空はこんなにも暗く、果てしなく、そして荒々しい。その圧倒的な暗黒の中で、星々が光を強めたり、弱めたりしながら懸命に輝こうとしている、、、一番しんどいときはだれでもひとりだと知っていた。だれにもなんとかしてもらえないことが多すぎることを知っていた。
どうでしょうか?
なんか、怖いくらい大人の世界を予兆しているというか、代弁しているというか、、、一言、この子供すご〜ですよね?
宇宙のみなしごは、全編を通じて
鋭い観察力+豊かな感受性をもつ陽子が、彼女なりに“世界”を眺め、感じ、生きるストーリー
になっています。
もちろん、心も身体も子供なので、考えの節々には幼さが残っています。
でも「あ〜こんなふうに世界って眺められるんだな〜」っていう発見がたくさんあります。
個人的感想02.ロマンチック=イノセンスな世界
宇宙のみなしごには、“大人の世界”は出現しません。
陽子とリンの両親はまともに登場しませんし、大人といえば、担任の先生やサオリさんくらいです。(なおサオリが“大人の世界”と”子供の世界”との唯一の接点と考えられます)
なので、『子供の世界について書かれたロマンチックな小説』=『宇宙のみなしご』といっても良いです。
そもそも屋根に登って
夜を手に入れる
という発想自体、メルヘン感がありますし、陽子が、世界の中心に自分たちがいて
星はわたしたちのために輝いている。
雲はわたしたちにむかって流れてくる。
風はわたしたちのために空をめぐる。
と語るところも、子供の無邪気さや潔白感=イノセンスがあるからこそ成り立ちます。
つまり、『宇宙のみなしご』は大人の世界(=黒がある)にいまだ染まっていない、白の世界の登場人物たちが繰り広げる青春物語です。
なのですご〜く気楽に楽しみながら読めると思います。
とはいえ、陽子は大人の世界をなんとなく感じ取っており、彼女の心も世界に対してとても敏感に反応します。
子供と大人の中間にある心の葛藤模様としても、『宇宙のみなしご』は楽しめます。
個人的感想03.キオスク→陽子の成長につながる(ネタバレあり)
キオスクは、陽子の成長には欠かせない重要な人物です。
とはいえ、最初のキオスクの登場シーンはなんとも冴えない、、、
ふいに背中からいまわしい声がして、ふりむくと、いまわしい顔があった。
栄養不足のおたまじゃくしみたいな目。いつも荒れている唇。ひょろりと背が高く、そのくせ肩幅はせまくて、全体に青白い
人呼んで、キオスク。
またクラスでの立ち位置として、
・掃除当番など面倒なことを押し付けられる
・不良たちの使いっ走り
・世紀末の対戦のために生まれてきている話す変な存在
等、小説内では、終始小馬鹿にされたり、冷ややかに扱われたり、可哀相&厄介なキャラです。
でもなぜか分からないけど、いじめられっ子キオスクは陽子に対して、妙な親近感を抱いています。
でもなにより気にさわるのは、このキオスクがこのわたしを、どういうわけだが自分の同士だと信じこんでいることだった
キオスクと陽子の不自然な関係こそ『宇宙のみなしご』を面白くする要因だと思っています。
そして、『宇宙のみなしご』のプロットの展開点には必ずキオスクが関与しています。
・陽子たちが屋根にいるところをキオスクが発見
・キオスクが自殺したという噂
2つが物語を動かすポイントになっているわけで、最終的に陽子が成長するのもキオスクがいなくては成り立ちません。
その他の読者さんの感想【口コミレビュー集めたよ】
続いてツイッターで探した、宇宙のみなしご読者さんの口コミ・レビューを紹介しますね。
口コミレビュー01.感想とにかく読みやすい
『宇宙のみなしご』
森絵都先生好きの友人から借りた一冊。もの凄く読みやすかった❗
主人公の良くも悪くも正直者な性格、男前でサバサバしたところが清々しくて好きです。個性的な四人の少年少女が、自分で自分を縛ることをやめる瞬間、ハードルを越える瞬間が素敵でした✨#読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/vA20qxv9Bn
— ことり@読書メモ (@kotori_books12) November 26, 2019
宇宙のみなしごの魅力は何と言っても、読みやすさが魅力的です。
文体も難しくないですし、プロットも大きくひねっているわけでもありません。
ページ数も176ページなので、僕はだいたい4時間ほどで読み終えましたよ
口コミレビュー01.読了感が爽やか
森絵都
『宇宙のみなしご』#読了
フォロワーさんにおススメしてもらった作品!爽やかな読後感に包まれます。
「いちばんしんどいときはだれでもひとりだと知っていた。」
この言葉にドキッとしました。
でも手を繋ぐだけで前向きになれるのも知っている…手を繋ぎあえる大切な人はいますか? pic.twitter.com/IrHuamclgA
— さとろー (@St_pt44950) June 20, 2019
僕も読了後、さとろー (@St_pt44950) さんと、同じ気分になりました!
ほんと清々しいというか、気分が晴れやかになりましたよ。
大人の世界に浸っているアラサーの僕も、子供の頃の淡いドキドキ感とか、ときめきなんかも感じました!
あと、手をつなぐってことも大切だなってほんと思えます。
口コミレビュー03.誰かといることの大切さを知れる
苦しいときって確かに一人だし、誰かにどうにかしてもらうことができないって。自力で輝いていかないとこの宇宙の暗闇に飲み込まれてしまうって。みんな『宇宙のみなしご』なんだって。
そうだからこそ、ときどき心を休ませることができる友達が必要になってくるって。ああ、納得。 pic.twitter.com/SeXbRuisGI— かな📚主催読書会をお休み中の人 (@glee59) August 12, 2019
まさに かな📚主催読書会をお休み中の人 (@glee59)の言う通りですね!
喜びって誰かと分かち合うことはできますが、苦しみはなかなか人と共有できない。
つまり、ひとりぼっちなんですよね。
親とつまらない喧嘩しちゃったとか、自分の大切な物を無くしたりとか、、、
小さな苦しみも、話せばちょっとは楽になるけど、根本的には誰かと分かち合えない。
僕たちは『宇宙のみなしご』なんだと思いますよ。
とはいえ、そばにいてくれる友達や、心配してくれる親が大切になってくるんですよね。
レビューその他3つ
森絵都、やっぱりすきだなあと中学生ぶりに宇宙のみなしごを読んで思う。
— ハリ (@moeax0522) October 24, 2019
まとめ
『宇宙のみなしご』は心が明るく元気になるお話です。
学校や仕事、友達関係で疲れている方はぜひ読んでみてください。
皆さんに素晴らしい小説との出会いがあるように、、、