森見 登美彦さんの『太陽の塔』、これから読もうって思ってるけど、先にあらすじとか感想とか知っときたい!
こんな要望に答える記事を書いていきますね。
先日、僕はこんなツイートをしました。
太陽の塔 #読了#森見登美彦 さんの作品をはじめて読みました
結論、めっちゃ面白かったです😌
・未練タラタラ男の妄想日記がGOOD
・京都大学のド腐れ男子学生たちの習性がしれる
・語りが独特でずっと笑えるこんな点が、僕の率直な感想です😊#読書好きな人と繋がりたい #読書感想 #読書記録 pic.twitter.com/aYTKSgHa2a
— たかりょー|読書大好き・書くこと大好き (@RyoooooTaka) January 24, 2020
太陽の塔をガッツリ読了した僕が、あらすじや感想などをお話していきますね。
この記事を読むメリット
・太陽の塔の簡単なあらすじが知れる!
・太陽の塔を読み終わった人たちの率直な感想を知れる!
・読む前に予習になる!
【30秒で知れる】太陽の塔の簡単なあらすじ
女と縁のない大学生活を送る私。現在彼女は、、、いない。
でも京都大学三回生の時、『水尾さん』という恋人がいた。
あの時は毎日が貴重で、大切で、楽しく過ぎていった。
でもあろうことか、クリスマス直前に私は振られてしまったのだ!
それから私は「水尾さん研究」なるものを実施した。
「水尾さん研究」とは、元恋人を観察・研究し、レポートにまとめていく。
ときにはストーカーすれすれの行動もするが、決して犯罪じゃない!
季節は冬。クリスマスという怪物が、すぐそこまで迫っている。
京都の街は、どこもかしこも燦然と輝くイルミメーションで煌めきたち、恋人たちは賑やかに浮かれている、、、
鍵のない夢を見るはこんな人におすすめ
・失恋をしたことがある方(男性・女性問わず)
・これから失恋をする方(男性・女性問わず)
・小説を読んで大笑いしたい方
・京都大学の男子学生ってどんな生活を送っているか知りたい方
・日本版のマジックレアリズム小説を読みたい方
こんな方々におすすめです。
森見 登美彦さんのデビュー作です。
おそらく、この記事を読まれている方のなかには、
・森見 登美彦さんのめっちゃファンなんです!
・友達に、森見 登美彦さんが大好きな人がいて、おすすめされました。
・SNSで森見 登美彦さんの作品が面白いって聞いて読みたいな〜って思いました。
っていう方は、結構いると思います。
実は当記事でご紹介している「太陽の塔」は、森見 登美彦さんのデビュー作なんです!
日本中にコアなファンがいる森見登美彦さん。
文庫版解説には、なんとあの有名な女優の本上まなみさんが担当されています(彼女も森見ファンI)
デビュー作から『森見ワールド』が炸裂!もうページをめくる手がとまりませんよ!
太陽の塔を読んだ個人的な感想を紹介!
・別れた女に未練タラタラ、でもここまでこだわるのに共感!
・京都でド腐った大学生活を送る登場人物たち
・語り方が独特で好き
それぞれ詳しく説明していきますね。
フラれた女に未練タラタラ。でもここまでこだわるのに思わず共感!
主人公森本はフラれた元恋人の水尾さんに、とことんまでこだわっています。
例えば、本書の中心テーマである『水尾さん研究』。
これも水尾さんへの“未練”がいき過ぎた結果、ほぼほぼストーカー行為寸前の行為に及ぶにいたったわけです。
ちなみに『水尾さん研究』でどんなことを実施しているかは、以下の通り。
・彼女の平均的な一日の行動を曜日別に記録
・愛用の自転車「まなみ号」に乗って彼女の自宅に乗り付ける
・彼女の帰宅を、自宅の近くで見守る(主人公は警護と称する)
・なぜ私を袖にしたのかを徹底解明する
など。
もうおいおいって感じで笑えちゃいますよね。
こんなレポートを、四百時詰め原稿用紙換算で240枚にも及ぶ大レポートとして書いているというから驚きです。
でも僕も失恋すると引きずるタイプなので、読んでると時々、「分かるかも〜」って共感しちゃうんですよね。
ただ森本と同じ行動をとると、ストーカーになってしまうので、注意が必要ですよ。(森本は否定していますが)
京都大学のド腐れ男子学生たちの習性がしれる
舞台はクリスマスシーズンの花の都京都。
街全体はクリスマスに向けて色めき立ち、カップルたちは幸せそうな顔をして(あるいは我が物顔で)町中を闊歩しています。
しかし、森本・輝磨を筆頭に、太陽の塔の登場人物は、クリスマスを一緒に過ごす女性がそばにいません。
いや、それどころか絶望的なほど女性と縁がない大学生活を送っています。
それだからなのか、幸せに生きる人々への呪詛の念がすごいです。
我々はクリスマスを呪い、聖ヴァレンタインを罵倒し、鴨川に等間隔に並ぶ男女を軽蔑し、疑問祭りに置いて浴衣姿でさんざめく男女たちの中に殴り込み、清水寺の紅葉に唾をはき、とにかく浮かれる世間に挑戦し、京都の街を東奔西走、七転八倒の歳月を過ごした
また大学のイケてるイベントサークルに負けじと、イケてないイベントサークル「男汁」を結成しようと企てますが、女性受けゼロで失敗に終わります。
男だけで下宿に集まり、哲学的な問答や世間に対する罵倒を繰り返す日々。
絵に描いたようなド腐れ生活ですよね。
でも、僕の大学生活も正直、彼らと変わらないところがあるので、変に共感しちゃいます、、、
語り方が独特で好き(←とにかく笑える)
太陽の塔は、手記という形で、一人称で語られていきます。
ただ森本の語り口調がひじょ〜うに回りくどい。
その上、めっちゃ面白く読めてしまうので、正直、中毒になっちゃいます。
紹介するとキリがないので、僕が個人的に好きなところ。
『禁欲生活』について語る場面をひとつ。
世の中に我々ほど禁欲的な生活を営む若者は少ない。享楽的生活に溺れることが経済活性化の要としてむしろ奨励される世の中にあっては、我々のライフスタイルはむしろ非難されて然るべきでだろう。我々の存在によって発生する経済効果は、冬眠熊の経済効果とほぼ等しい。しかし私は誇りを失わず、世人の非難と対峙してゆく所存である
どうです?めちゃくちゃ回りくどくないですか??
結局言いたいことって恋人もいなければ、セックスフレンドもいない。
つまりセックスができない→禁欲生活という名称でカッコよく言い換えているだけなんですよね。
さらに面白いのが、禁欲生活と言ってるのにアダルトビデオを見て、自己処理をしてるんですね。
この美しく涙ぐましい禁欲生活を支えるために、欠くべからざるものがビデオ店である。隙あらば理性の軛を逃れようとするやんちゃなジョニーのご機嫌を取り、つねに静謐な心を保つためには、連日のごとく新鮮な具材が必要だ。
そもそも小説の冒頭部分が、キャッチャー・イン・ザ・ライのホールデン君の語りのパロティーみたいになっているんですけど、
ホールデン君→語れば語るほど自己省察に近くなる
森本→中身なしの腐れ大学生の戯れ言(⇦すごい褒めてます)
って感じがしました。
僕は絶対に後者の方が、読書の“面白さ”みたいなのは感じられると思います。
【厳選4つ】ほかの読者さんたちの感想も集めたよ
僕だけの感想じゃなくってほかの読者さんの感想もご紹介しますね。
ツイッターにはめっちゃ感想がありましたが、僕が「あ~わかる!」ってなったやつを厳選して4つご紹介します。
01.キャラに魅力あり
02.森見ワールドはやっぱ面白い
03.なんだかんだ言って”切ない”作品
04.現実とすこしズレた感覚がよい
キャラに魅力あり
「太陽の塔」森見登美彦
単なる非リア充、男子大学生の不毛な手記という一言では片付けられそうで片付けられない作品。飾磨、高薮、遠藤、先輩、水尾さん、その他登場人物の個性が私を蔑ろにしていく様が面白いです。
また、主人公が自分のことを会話以外で私ではなく俺と言う箇所が一ヶ所あります笑 pic.twitter.com/B3MSVOuy9q— まっしぐら読書垢(このアカウントを移行します) (@lketuooh) August 11, 2017
小説の面白さって、キャラが立つか立たないかで左右すると思うんですね。
その点、太陽の塔に登場するすべてのキャラにはそれぞれの特徴があって、差別化が図られています。
それこそ夏目漱石の坊っちゃんみたいに)
飾磨、高薮、遠藤
僕は個人的にライバルの遠藤が好きだったりします。
森見ワールドはやっぱ面白い
太陽の塔
登場人物の偏屈さ、拗らせている感じ。やはり森見ワールドは読んでて、楽しい。特に主人公と飾磨の膨らむ妄想世界はクスッと笑える。
ラストの”四条河原町ええじゃないか騒動”は面白く、言葉の言い回しが心地よかった。さて、これで自分も体臭が濃くなったのだろうか(笑)#読了 #読書 pic.twitter.com/kKzOLWCVWk
— ヨウ@読書好き (@bookminimalist) September 7, 2019
ヨウ@読書好きさんの感想に僕も大賛成です!
全編を通じて、主人公の偏屈さや妄想癖・ストーカー気質をずっ~~とみせられるわえですが、そこがめっちゃ面白かったりするんですよね。
ほんと、どれだけ笑わせてもらったかわからないくらいなんです。
なんだかんだ言って”切ない”作品なんだよね~
太陽の塔/森見登美彦
クリスマスの近い季節に京の都で
阿呆大学生が織り成す妄想と独白の物語。「四畳半神話大系」や「夜は短し歩けよ乙女」に似た面白さもありつつ、
最後はちょっと切ないですね。
ええじゃないか騒動は謎ですね。(笑) pic.twitter.com/yY0jh3WTZd— せとのん@読書垢 (@ayasaki_1146) August 16, 2018
失恋って何度しても辛いですよね。
僕も失恋の苦しさを思い出す度に、たまらな~って気持ちがでてきます。
太陽の塔って、『偏屈な大学生の妄想日記』と表面的には読めるんですけど、根本にあるのは、失恋をなんとか乗り越えようとあがく主人公の苦悩みたいなのがあるような気がしちゃんですよね。
なんで、最後の水上さんの姿を思い出すシーンなんかは切なすぎて泣けちゃうくらいですよ。
現実とすこしズレた感覚がよい
『太陽の塔』森見登美彦
笑いまくって一気に読んじゃった
クリスマス前独り身の女子大生が読むに相応しい、笑えてちょっと切ない気持ちになれて、現実と2センチくらいズレた世界に入り込める素敵なお話だった#読書好きな人と繋がりたい #読了 pic.twitter.com/JdJKJXiOM9— ふくろ@読書垢 (@book9789) December 15, 2019
小説って、個人的に、現実からちょっとズレた世界を、どれだけ魅力的に描けるのか?が勝負だと思うんですよね。
太陽の塔は、まさにその好例で、リアルすぎず、フィクションすぎす、現実を一歩出たところにある世界を描いています。
なんで、書いていることはすごく変なんだけど、実に面白く読めるんですよね。
まとめ➙太陽の塔は爆笑必至。でもほんのり切なくなる小説です
いろいろと感想をご紹介しましたが、今回のまとめは上記のようになるわけです。
妄想日記として異常な大学生の習性を知れるんですけど、失恋から立ち直れない主人公の気持ちを思うとき、ちょっぴり悲しくなります。
森見ワールド全開のデビュー作なので、ぜひお時間のある方は読んでください。