小説『ぬるい毒』の感想とあらすじ【男と女の闘いの物語】|本谷有希子

たかりょー
こんにちは、年間100冊以上の小説を読むたかりょーです。

本記事では、以下の読者さんに向けた記事をご用意しています。

『ぬるい毒』の簡単なあらすじを知りたい。

『ぬるい毒』をすでに読んだ人たちの感想を知りたいな〜

なお、先日僕はこんなツイートをしました。

ぬるい毒をガッツリ読了した僕が、あらすじや感想などをお話していきますね。

ぬるい毒のあらすじ

ある夜、実家に一本の電話がかかってきた。

相手は同級生と名乗る男だが、名前も声も聞いたことがない。

「高校の時に借りたものを返したいんですよ」

魅力があると自分で確信している声。

嘘ばかりで誠意のかけらもない男だと分かりながらも、『魅力の塊のような彼』に惹かれる熊田。

感情を弄ばれ、自意識をズタズタにされながらも、やがて熊田は向伊と関係を持つことに。

19歳から24歳を向かえるまでの5年間の“闘い”の物語

ぬるい毒の登場人物

熊田・・・本書の主人公。地元の短大卒業後、運送会社の事務。向伊の魅力に引かれつつ抗おうと戦っている

向伊・・・他人を見下す。人を欺むくことに長けており、内心楽しんでいる。

原・・・熊田の恋人。

奥田・・・向伊・野村の友達。小柄な男。

野村・・・向伊・奥田の友達。眼鏡をかけている。

ぬるい毒はこんな人におすすめ

・こじらせ女子

・鋭く自意識を攻められる作品を読みたい

・女性が精神的・心理的に蹂躙させていく過程を知りたい方

・人を侮辱するとはどんなことかを知りたい方

ぬるい毒の個人的な感想

それでは僕の個人的な感想をご紹介しますね。

・向伊の魅力に惹かれつつも争う、私の死闘物語

・向伊という非人間性

向伊の魅力に惹かれつつも争う、私の死闘物語

ぬるい毒は、“向伊”という都内の大学に通う男子大学生に、徹底的にもてあそばれる“私”の物語です。

例えば、

・彼氏である原と別れさせる

・家族を裏切らせて東京へ上京させる

・金を都合させて一緒に

これらすべては“向伊”の魅力に惹かれてしまった私が、彼の言う通りに行動した結果です。

ただ熊田の自意識単位では、あくまで、その魅力に抗おうと闘っています。

例えば、以下の言葉からも分かります。

私は人生で一度だけ地獄でも生きていけそうなものになる。鬼。それが私の人生でたった一度だけ訪れる、光輝くときだ。きっとそのことは死ぬまで誰にも打ち明けない。でも鬼としてでも<生きた>人生と、そうでない人生は意味が何もかも違うのだ。あの向伊を相手にして、私が最後の最後で欺くところを思い描いて、眠った。

このほかにも、分かっていて、そうされていると『弄ばれているフリだ』と独白する箇所が多々あります。

ただ向伊の魅力に翻弄されすぎて、抵抗できない熊田は、自意識がどんどんズタズタにされていきます。

彼女の自意識が最終的にどのような答えを出すのかも読みどころと言えます。

向伊という男の悪魔性

向伊は、人を人だと思っておらず、誰かを欺いたり侮辱したりするのを心から楽しむ男です。

僕は一言、向伊=悪魔性をもつ男であると感じました。

例えば、以下の言葉。

(私の)父と母の争いを煌々とした表情で眺めている向伊に、ねえ、なんであなたはそんなに人をいたぶるのが好きなの、と訊いた。

向伊は子供のように驚いた顔をこっちに向けて、それから、あれ、熊田さんはお化けって信じる人なんだっけ、といつか廃ホテルに行った時にした質問と、同じ質問をした。ううん、信じない。私は首を降った。そうだよね。僕も信じられないんですよ。だって連続殺人鬼がお化け見たって話、全然聞かないよね。

その言葉で、私は向伊がどうしてここまで人を人として扱わないのかわかった気がした。他人を侮辱し続ける向伊に罰を与えられる存在は、この世にはないのだ。

この場面は、熊田の父と母が「東京に上京する!」と突然言い出した娘のことで口論しているところです。

実は上京の話も、父と母の喧嘩も、全部仕向けたのは向伊。

でも彼はなんの悪びれる様子もなく、それを楽しそうに見ています。

たかりょー
人間であれば普通、感じる”罪悪感”が完全に欠落していますよね。

このほかにも、向伊の内なる悪魔性を感じる場面が、作品の随所に散りばめられています。

【その他の読者】ぬるい毒の感想をツイッターで集めた

続いて、ツイッターで集めた、その他の読者の感想をみていきましょう。

・クズ男ばかり出てくる小説

・熊田の妄想かもしれない、、、

・自分の自意識が揺さぶられる

クズ男ばかり出てくる小説

ぬるい毒を読んで、まず最初に思うであろう感想が、「こんなクズばっか出てくる小説嫌だよ」ってことだと思います。

人を騙して、クスクス笑うやつ。

内心ほくそ笑むやつ。

今の世の中にいる人物の戯画であるような気がして、ちょっと

本谷さんはかなり過激に人物描写をする作者さんですが、ぬるい毒はかなりどぎついです。

熊田の妄想かもしれない、、、

さんと同じく、僕も物語のすべて事実として記述されていないような気がしています。

つまり、主人公の自意識が膨れ上がった結果、生まれた妄想なのかもしれない。

そう解釈することもできます。

もっと言えば、『向伊』という男はほんとうに実在するのか?

ただ主人公が作り出した幻影かもしれない、、、なんて想像できちゃう。

そんな不思議な作品です。

自分の自意識が揺さぶられる

西田薫子さんが仰ってることはまさにそうで、本谷有希子さんの小説は、基本的に、なんか嫌なところをくすぐられる気がしてしまいます。

これはおそらく、僕たちが普段意識していない、自意識の部分を遠慮なく描く作家さんだからだと思います。

ぬるい毒も読み終えたあと、間違いなく心がざわめいたちます。

まとめ

ぬるい毒は、嘘をつき続ける男と、騙されているフリをしながら自意識をすり減らしながら戦う女の争いの物語です。

もちろん、一つの恋愛物語として読めるところもあるわけですが、もっと深い哲学的な意味も込められています。

ぜひお時間のある方は読んでくださいね。

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