マクベスのあらすじ解説【名言・読み解きなど全方位から】

この記事は下記のような方におすすめです。

  • 「マクベス」の読みどころを分かりやすく解説してほしい!
  • 「マクベス」のどこを読めばいいのか(読みどころ・POINT)
  • 「マクベス」を読んだ人の生の感想。

について、説明します。

「マクベス」は、シェイクスピアの代表作の一つであり、野心と欲望に取り憑かれた人間の悲劇を描いた不朽の名作です。

この記事では、「マクベス」のあらすじを丁寧に解説しながら、作品に散りばめられた名言の数々を紐解き、登場人物の心理や作品のテーマを多角的に読み解いていきます。運命と自由意志、欲望と罪、正義と暴政といった普遍的な主題に迫ることで、「マクベス」が現代においても色褪せない魅力を放ち続ける理由を探ります。

目次

そもそもマクベスってなに?

マクベスは1606年頃に書かれたウィリアム・シェイクスピアによる戯曲。シェイクスピア四大悲劇の一つで、オセロと並んで知名度的にはかなり高いです。

その魅力は、何と言っても人間の「野心」と「狂気」を描いたテーマ性にあります。

野心と狂気に駆られたスコットランドの将軍マクベスが、魔女の予言とマクベス夫人の示唆で、王のダンカンを殺し、王位を奪取する、そんなストーリー。「マクベス」は、野心がもたらす人間の弱さや欲望、そこから生じる悲劇を描いた作品です。

ジャンルとしては歴史劇で舞台設定としては11世紀のスコットランド。ちなみにシェイクスピアの『マクベス』は、11世紀にスコットランド王だったマクベスをモデルにしています。

「マクベス」の登場人物まとめ

この章では、マクベスの登場人物を紹介しますね。人物を先に押さえておくとストーリーをより深く理解できます。

マクベス

スコットランドの武将で主人公。当初は忠実で勇敢な人物だが、野心に取り憑かれ、王のダンカンを刺殺し王位を奪う。王位を得るという野望を達成したものの、心の安定を得られず、疑心暗鬼に苛まれ、次々と人を殺害。精神的に弱く、良心の呵責を覚え、幻覚を見るなど、次第に狂気に陥る。最後は、マクダフとの戦いに敗れ、命を落とす。

人物像: 野心家、勇敢、残忍、疑心暗鬼、狂気

マクベス夫人

マクベスの妻で強いを持つ野心家。夫のマクベスを王位につけるために策謀を巡らす。冷酷で計算高い性格で、夫をそそのかすことで、マクダフ一家を殺害するなど、残虐な行為も行う。最後は、睡眠中に手を洗い続け、罪の意識の深さを表現し、狂気に陥った末に命を絶ちます。

ダンカン王

スコットランドの善良な王。マクベスに信頼を寄せて重宝している。ただその善良さゆえにマクベスの野望に気づかずに最後には殺害される。

バンクォー

マクベスの友人で、同じく勇敢な武将。魔女たちから、彼の子孫が王位につくと予言される。マクベスに嫉妬され、殺害される。マクベスの国王就任の祝賀会の時に、亡霊となってマクベスの元に現れる。

マクダフ(マクベスを殺害する予言の人)

ファイフ伯爵でダンカン王に忠誠を誓う貴族。マクベスの悪行を見抜き、亡命先のイングランドでマルカム王子と出会う。最後にマクベスを倒し、スコットランドに正義をもたらす。

マルカム王子

ダンカン王の息子で、正当な王位継承者。父の死後、イングランドに亡命するが、マクダフと共にスコットランドに戻り、王位を取り戻す。若くして国を背負う責任感と勇気を持つ人物として描かれる。

ドナルベイン

ダンカン王の次男で、マルカムの弟。父が殺された後、アイルランドに逃れる。作品では脇役的な存在だが、王家の一員として重要な位置づけにある。

フリーアンス

バンクォーの息子。バンクォーとともにマクベスの刺客(暗殺者)に狙われるが、かろうじて逃れ、命からがら生き延びる。バンクォーの子孫が王位に就くという予言の鍵を握る人物。

シートン

マクベスに仕える家臣。主君に忠実で、最後までマクベスに付き従う。

ロス、レノックス、アンガス

スコットランドの貴族たち。当初はマクベスを支持するが、次第に彼の真の姿に気づき、反旗を翻す

3人の魔女

物語の冒頭で登場し、マクベスとバンクォーの運命を予言。たぶらかす曖昧な言葉で二人を惑わし、物語の展開に大きな影響を与える。

マクベスのあらすじ要約

マクベスは第一幕〜第五幕まであります。

第一幕【魔女の予言と領主任命】

スコットランドの武将マクベスと友人バンクォーは、反乱軍との戦いから凱旋する途中、荒野で3人の魔女と出会う。魔女たちは、「マクベスがグラミスとコーダーの領主になり、やがてスコットランドの王位に就く」とを予言する。バンクォーも「子孫が王になる」という予言を受ける。直後にダンカン王からコーダーの領主に封じられ、予言が的中したマクベスの胸のうちに、王位への野望が芽生えるのであった。

第二幕【王の殺害、共謀・罪の世界に足を踏み入れた瞬間】

マクベス城を訪れたダンカン王は、もてなしを受けるが、マクベス夫人にそそのかされたマクベスはダンカン王を暗殺。

マクベスは王を殺害した直後、幻影に怯え、混乱した状態で現れる。 血まみれの短剣を持ち、震えているマクベスの姿。マクベスは、王殺害の様子を語りながら、自らの行為に対する罪の意識に苛まれている。一方、レディ・マクベスは、夫とは対照的に冷静に行動している。 彼女は、短剣を取り上げ、夫を落ち着かせようとする。

第三幕

ダンカン王を殺害することで晴れて王の地位を得たマクベス。しかし、「バンクォーが王の父となる」という魔女の予言が頭から離れない。心の平穏のためバンクォーとバンクォーの息子フリーアンスを殺害しようとする。バンクォーはなんとか息子を逃がしますが、自らは殺害される。その夜、マクベスの前にバンクォーの亡霊が現れ、マクベスは動揺を隠せない。ダンカン王の息子マルカムは、イングランドに亡命。マクベスに疑いを抱いた貴族マクダフも、イングランドのマルカムのもとへ身を寄せる。

第四幕

マクベスは自らの運命に恐れを感じて再び魔女に会いに行く。「女の股から生まれた者はマクベスを倒せない」「バーナムの森が進撃しない限り負けることはない」という予言を引き出し、

味方の貴族マクダフの国外へ逃亡したという知らせが届く。怒りにとらわれたマクベスはマクダフ城を襲撃し、家族共々を殺害。マルカムとマクダフは、イングランド軍を率いてスコットランドに攻め入ることを誓い合う。

第五幕

ダンシネーンの森が動き出したことを知り、予言を思い出したマクベスは動揺する。さらに、罪の意識に囚われてマクベス夫人が狂乱。手についた血を洗おうとする行為をひたすら続け、その末死んだことを知らされる。

マルカム王子と家族への復讐に燃えるマクダフはマクベス城に迫る。マクベスはマクダフと対峙し、マクダフはマクベスに、自分は帝王切開で生まれたと告げる。「女から生まれた者」ではないマクダフの剣によって、マクベスは倒れる。マルカムがスコットランド王として即位し、平和が訪れる。

マクベスといえば!を表現するキーワード【マクベスタグ】

マクベスってどんな作品って聞かれたときに、伝えるキーワードを紹介。

権力への欲求・野心(Ambition)

マクベスはスコットランド王になりたい!という強い野心をもち、権力と地位を求める力が物語全体の原動力となっています。とはいえ、野心は行き過ぎるとどうなるか。

罪の意識・人間の弱さ(Guilt)

ダンカン王殺害後、マクベスとレディ・マクベスは罪の意識に苛まれる。罪の意識は、二人の心を蝕み、破滅へと導く。

嫉妬心

魔女から「自分の子孫ではなくバンクォーの子孫が王位につく」予言を聞いたマクベスは、唯一無二の親友バンクォーに対しても嫉妬心を抱くようになります。嫉妬心はやがてバンクォーへの猜疑心に繋がり、バンクォー殺害を決意させる要因となります。野心と嫉妬心が絡むことで、人間は目が眩み道徳心さえ失って、破滅的な行動へと駆り立てかねないわけです。

運命(Fate)

魔女たちの予言は、マクベスの運命を暗示する。しかし、その運命は固定されたものではなく、マクベス自身の選択によって変化する。

狂気(Madness)

レディ・マクベスは、罪の意識から狂気に陥る。マクベスも、幻覚や妄想に悩まされ、次第に正気を失っていく。

復讐と正義(Justice)

マクダフは、家族を殺されたことへの復讐のため、マクベスに立ち向かう。復讐心は、マクダフを突き動かす原動力となる。またマルカムとマクダフは、マクベスの暴政に終止符を打ち、正義を回復しようとする。彼らの行動は、秩序の回復と善の勝利を象徴する。

マクベスはなぜそんなに不朽の名作といわれているの?

「マクベス」は400年以上にわたって読み継がれ、上演され続ける不朽の名作。でも「なんでそんなにマクベスって人気あるの?」と思っちゃいますよね。ここではその解釈を紐解いておこうと思います。

根源的な「人間的なもの」を描いている

時代は古いけれど、マクベスで描かれている根本は僕たちの時代にもちゃんとマッチしているのです。

野心・欲望、罪、運命。こうした概念は普遍的=時代を超えて

例えばマクベスは、魔女の予言にそそのかされ、王殺という凶行に手を染めます。しかし、王位を手に入れた後も、疑心暗鬼に苛まれ、次々と人を殺害していきます。権力への執着が、彼を人間としての道を踏み外させ、最終的に破滅へと導いていく。

また善悪の判断を捨て、野望に突き進んでいきます。しかし、良心の呵責に苦しみ、幻覚を見るなど、精神的に追い詰められていきます。善と悪のはっきりとした区別ではなく、人間の心の複雑さを表現していると言えるでしょう。

「マクベス」を知ることは、単なる文学的な知識の習得にとどまりません。この作品は、人間の普遍的な弱さや葛藤、そして強さや希望を描き出しており、私たちが生きていく上での指針となる洞察に満ちています。「マクベス」を通して、人生の難題に向き合う勇気や、自分自身と向き合う智恵を得ることができるでしょう。

行き過ぎた野心は、人間を破滅しかねない

「マクベス」は、野心と嫉妬心という人間の負の感情が、いかに個人を窮地に追い込むかを鮮明に描き出しています。

マクベスは「野心」に囚われることで様々な道を踏み外します。

  • 判断力の喪失
  • 道徳的な規範からの逸脱
  • 人間関係の破綻
  • 自己破滅への道

罪に苛まれながらの王位獲得は、彼を内面的な苦しみへと導くことになるのです。そしてその負の感情は悲劇的な結末について、深く考えさせられる作品だと言えるでしょう。

僕たちは「マクベス」の行動とその心理的な推移を通じて、野心に支配されることなくコントロールすること(というのも野心は必ずしも悪くはない)、そして人生の安寧には、道徳的な規範を守り理性的な判断を下す重要性を学ぶことができます。

圧倒的な緊迫感あふれるストーリー展開

マクベスは、王殺という衝撃的な事件から始まり、その後も次々と事件が起こるため、観客を飽きさせません。緊迫感あふれるストーリー展開は、まさにシェイクスピア劇ならではの魅力と言えるでしょう。

巧妙な伏線。物語の冒頭で登場する魔女たちの予言は、単なる未来予測ではなく、マクベス自身の野心を刺激し、王殺へと導く伏線として機能します。また、マクベス夫婦の会話や独白にも、後々の展開を暗示する foreshadowing が巧みに織り込まれています。

魔女の役割を読み解く

マクベスにおいて魔女はとても重要な役割があります。僕は魔女の役割として3つ挙げます。

  • 物語の推進者
  • 人間の内なる弱さや欲望を引き出す秘密
  • 曖昧さによる誤った方向への導き

物語の推進者

魔女たちの予言は、マクベスの野心に火をつけ、物語を大きく展開させる役割を果たしています。 もし魔女たちとの出会いがなければ、マクベスが王を殺害することはなかったと思います。だからこそ魔女たちは、不吉で超自然的な雰囲気を醸成するだけでなく、物語の実際的な推進力となっているわけです。

人間の内なる弱さや欲望を引き出す秘密=うちなる鏡としての役割

魔女たちの曖昧で謎めいた言葉は、マクベスとマクベス夫人の心の奥底に潜む「負の感情」を目覚めさせています。 野心、冷酷さ、猜疑心などの負の感情は、普段隠れているわけですが、魔女たちの秘密めいた言葉によって引き出され増幅されます。

つまり「秘密」は、人間の隠れた内面を露わにする触媒となっているわけです。魔女たちの予言は、マクベスの野心や欲望といった内なる闇を引き出す。

ここから読み解けるのは「秘密」というのは、人間の隠れた内面を引き出すときに、とても強い力を発揮するということ。日常生活でも「秘密」は人間の好奇心を刺激するものであり、秘密」は人間の本性や隠された欲求を明らかにすることがあります。

また面白いことにマクベスとレディ・マクベスは、王殺害の「秘密」を共有することで、強い絆で結ばれていますよね。秘密というのは共有するもの同士を惹きつけるという性質もあるのです。

このように魔女たちは、秘密を通じて、人間の弱さや欲望を象徴する触媒となって、登場人物の内面を映し出す鏡のような役割を果たしているのです。

「曖昧さ」による誤った方向への導き

今の世でも、含みを持たされた言葉に対して、人間は想像力によって「欠けた部分」を補って理解できるようにします。

しかしその想像力は得して間違っていることが多いです。なぜなら人間はというのは常に「自分の都合の良いように解釈する」生き物だからです。

魔女たちの予言は、常に曖昧で不確実なものとして描かれています。 マクベスはその予言の真意を理解しようと考えますが、その曖昧さゆえに自分に都合の良いように解釈します。要は曖昧な予言こそ、マクベスを誤った方向へと導く役割を果たしているわけです。

マクベス名言解説!

女の股から生まれたものはマクベスを倒せない

魔女たちは、マクベスに「女から生まれた者はマクベスを倒すことができない」と予言します。「女から生まれた者(born of woman)」は一般的な人間なら誰でもそうですよね。

だから通常の人間はマクベスを倒せない、ということを暗に言っているわけで、マクベスは無敵であると勘違いさせてしまうわけです。要はマクベスは、この予言を文字通りに受け取り、自分は誰にも倒されないと過信してしまうのです。

しかしながら皮肉なことにマクベスを倒す、「マクダフ」は帝王切開で生まれたので、厳密には「女から生まれた者」ではないのです。つまり魔女たちの予言は、皮肉にもマクベスを欺いていたことになる。

うわべは無心な花をよそって、その下は蛇を隠しておく。(マクベス夫人)

第一幕第五場でレディ・マクベスが夫に向かって言う台詞。無心な心とは、無害で美しい外見を象徴しています。ただそれを「よそおって」、「その下は蛇を隠しておく」という表現。これは内心に潜む悪意や邪悪な意図を表しています。

つまり欺瞞と偽善=善良な外見の下に、王殺害という悪行を隠すようにマクベスへ伝えているわけです。

きれいは汚い、汚いはきれい(Fair is foul, and foul is fair)

マクベスの中で一番有名な台詞。「マクベス」の冒頭で三人の魔女がはなつ、不吉で不安な雰囲気を残しながらも耳に残るフレーズです。

きれいと汚いは反対の言葉ですが、一見矛盾した言葉を組み合わせることで、逆説的に何かを表現している。ここでは一見美しく善良なものが実は邪悪であり、醜く悪いと思われるものが実は善良であるという反転の可能性を示しています。物語に当て嵌めるならマクベスとレディ・マクベスは、忠実な臣下を装いながら、実際には王を裏切る行為を計画している。

目の前の現実は、見えているものほど単純ではなく、人間という生き物においてはその内面には複雑さを持つ、人間のの不可思議性を表現しているともいえます。

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この記事を書いた人

読書好きブロガー。とくに夏目漱石が大好き!休日に関連本を読んだりしてふかよみを続けてます。
当ブログでは“ワタクシ的生を充実させる”という目的達成のために、書くを生活の中心に据え(=書くのライフスタイル化)、アウトプットを通じた学びと知識の定着化を目指しています。テーマは読書や映画、小説の書き方、サウナ、アロマです。

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