読書感想文を書こうと思ってるんだけど、カラフルの全体のあらすじを知りたい!できたら、感想もふまえて教えて欲しい!
このような要望に答えます。
先日僕はこのようなツイートをしました。
#読了
森絵都さんの #カラフル 最高でした😌
最後の結末まで、ぐいぐい引っ張るストーリーの展開力は、さすがですカラフルは、読書感想文を書くのに最高の題材ですよ😊
面白いだけでなく、多くの学びをえられますから
ぜひみなさんも読んでみてください😌#読書感想 #読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/X65RLBMV6G— たかりょー|読書大好き・書くこと大好き (@RyoooooTaka) January 20, 2020
この記事では、カラフルを読了した僕が、読書感想文をすぐにかけるように、全体のあらすじや感想をご紹介しています。
【この記事を読むメリット】
- カラフルを読まなくても、大体のあらすじを学べる!
- 読書感想文を書くための参考になる
- 記事を読み終えた後は、カラフルの内容を知れた気分になれる
『カラフル』は、主人公の「ぼく」が小林真として生きる中で自己を発見していく過程を通じて、自己意識の芽生えを巧みに描いています。思春期の子どもにはぜひ呼んでほしいですが、教育者や保護者の方々にとっても、カラフルは思春期の子どもたちの心理を理解し、彼らと関わり方を改めて見つめ直すきっかけにもなりますよ。
結論。カラフルは読書感想文にもってこいの作品
カラフルは読書感想文を書くにはとてもおすすめの一冊ですよ。その理由は以下の通り。
- 小中学生にも読み易い簡単な文体
- 単純に面白い!
- 人生で大切なことをたくさん学べるから
- スイスイ読めて、読書が遅い子でも、1週間もあれば読めちゃう
- 産経児童出版文化賞という児童文学の賞を獲得してるから権威性もバッチリ!
小中学生にも読み易い簡単な文体
小説と聞くと、
・堅苦しくて文章で書かれていて読みにいく
そんなイメージをお持ちかもしれません。
でもカラフルは、“語り口調”で書かれているので、すごく親しみやすい文章になっています。
例えば、「おいおいマジかよ!」みたいな、普段僕たちが使っている言葉が出てくることもあります。
単純に面白い!
カラフルは読みやすいだけでなく、とにかく面白いです。
“起承転結”がはっきりしている物語の構造、キャラクターの魅力、教訓となる言葉の数々・・・。
いろんな面でぜひオススメしたい一冊です。
作家の森絵都(もりえとさん)について
『カラフル』は森絵都さんによる小説作品です。
森絵都さんは日本児童教育専門学校児童文学科を卒業後、早稲田大学第二文学部文学・言語系専修を卒業。1990年に『リズム』で第31回講談社児童文学新人賞を受賞し作家デビューしました。『カラフル』や『DIVE!!』などの代表作で知られ、児童文学から一般小説まで幅広いジャンルで活躍しています。
繊細な心理描写と現代社会の問題を巧みに織り交ぜた作風が特徴で、多くの文学賞を受賞しています。
今回紹介する『カラフル』は第46回産経児童出版文化賞を受賞しました。その他、『風に舞いあがるビニールシート』で第135回直木賞、『みかづき』で第12回中央公論文芸賞を受賞するなど、その活躍は児童文学の枠を超えて広がっています。特に若い読者の心に寄り添う作品で高い評価を得ており、日本文学界で重要な位置を占めています。
受賞歴
- 1990年: 『リズム』で第31回講談社児童文学新人賞
- 1991年: 『リズム』で第2回椋鳩十児童文学賞
- 1999年: 『カラフル』で第46回産経児童出版文化賞
- 2003年: 『DIVE!!』で第52回小学館児童出版文化賞
- 2006年: 『風に舞いあがるビニールシート』で第135回直木賞
- 2017年: 『みかづき』で第12回中央公論文芸賞
読書感想文を書くうちに、人生で大切なことが学べる
カラフルの物語で学べることは、
ということ。
これを主人公である『ぼく』を通じて学ぶことができます
カラフルの登場人物
- ぼく:本書の主人公。一度死んで魂になったが、もう一度生き直すチャンスを与えられて「魂のホームステイ」に出かける。
- プラプラ:天使であり、ガイド。現在は「僕」を担当している。美形の優男ホームステイする人間や家族、周囲の人間関係についてレクチャーしてくれる。神出鬼没でざっくばらんな性格。
- 小林真:「ぼく」の魂のホームステイ先。中学3年生。服薬自殺を図り、現在、意識が戻らず危篤状態。見た目がイマイチな上、背が低いのがコンプレックス。しかし絵を描く才能は両親や友達からも一目置かれている。
- 父親:真の父親。屈託のない笑顔で元気・明るい父親。勤めている会社の不祥事でポストが空き、昇進した。
- 母親:真の母親。最初はすごく優しそうな母親だったが、家族に秘密にしていることがある。
- 小林満:真の兄。大学受験を控えた高校3年生。スカした性格で真にとことん嫌味をいう。ある事件がきっかけとなり、進路志望を大きく変更する。
- 桑原ひろか:真のひとつ下。中学2年生。真の初恋の相手。色っぽい女の子で援助交際をしている。暗い真を明るくしてくれる子
- 佐野唱子:真の同級生で美術部員。真の雰囲気が変わったことに気づいて「ぼく」を慌てさせる。
【30秒で知れる】カラフルのあらすじ、簡略バージョン
天使業界の抽選に当たったぼくの魂は、再度、生天使に行く手をさえぎられた。
抽選に当選し、もう二度と生まれ変わることができなかった魂だが再挑戦のチャンスが与えられたという。
ホームステイ先は小林真。自殺を図った彼にいったい何が起こっていたのか…
そんな小林真として快適に暮らす工夫を始めたぼくは、少しずつ見る景色、イメージの色合いを変えていく。
カラフルのあらすじ【序幕】
「おめでとうございます、抽選に当たりました!」
死んだはずの『ぼく』の魂のもとに、プラプラと名乗る、見ず知らずの天使が現れた。
「あなたは前世で大きな過ちを犯して、死んだ罪な魂です。通常ならばここで失格!輪廻のサイクルから外されるのですが、しかし、ラッキーなあなたの魂は、抽選で当たったので、なんとセカンドチャンスが与えられます」
セカンドチャンスの要点をまとめると以下の通り。
- ぼくは前世で取り返しのつかない大きな過ちを犯した魂。でもラッキーなことに、抽選で大当たり!再挑戦のチャンスを得た
- 再挑戦とは、ぼくが前世で失敗した下界(冒頭の部分のやりとりは全て上界)でもう一度“修行”を積んでくること
- 修行とは、ぼくの魂が、期間限定で、外界にいる誰かの体を借りて過ごすこと。
- 借りる体については自分で決められない。万物の父・プラプラのボスが指定する。
- この修行を、天使の業界では、“ホームステイ”と言う
- ホームステイは、当たり外れがある。良い家庭か悪い家庭。それはぼくには選ぶことができない。
- じゃあ何が決めるのか、、、それは前世で犯したぼくの過ちの大きさによって決まる
- 困った時にはプラプラに声をかければ、助けてくれる(とはいえ彼の気分次第)
- 修行が順調に進めば、徐々に前世の記憶を思い出す。前世の過ちの大きさを自覚すれば、輪廻のサイクルに復帰できる。つまりぼくのホームステイ先から離れて昇天する
前世の記憶のない「ぼく」は、小林真という3日前の服毒自殺を図った中学3年生。
学校でのいじめなど、中学3年生の真には耐えきれないほどの色々な原因が積み重なった上での決断だった。
カラフルのあらすじ【設定・説明】
この章では、起承転結の起=設定・説明の部分をご紹介していきますね。カラフルでは“黒”の世界をまず語ります
「ひろかの愛人だよ」
こともなげに言って、ココナッツドーナツに手を伸ばす。
「前に街でスカウトされたの、愛人になりませんか。って。それでお金のこととか交渉して、そういうことになったの」
中学2年生。この若さで体を使い、お金を稼いでいることに対して、ぼくは愕然とする
「だってね、ひろかのほしもの、みんな高いんだよ」
「きれいな服とか、バックとか、指輪とか、ひろかがいいなって思うもの、みんなすごく高いの、、、でもねひろかが三回くらいエッチすれば、買えるの。へへ」
素敵な服を着るために、お気に入りの服を着るために、自らの体を売るひろか。
口調や振る舞いなどは大人びているように見えても、心の中や思考回路は単純で子供じみている。
ぼくの懸命な説得も聞かず、ひろかは中年の男の元に戻っていく。
暴漢に殴られる
底冷えする夜の街を歩き、さびれた公園につくぼく。
身体が震え、鈍痛が続く頭痛と、身体が震えるほどの悪寒。そして吐き気までもよおしている。
いろんな問題を抱えながら、気力がなくなったぼくは、真の家まで歩く気力がなかった。
ひろかのこと。母親のこと。父親のこと。意地悪な兄貴に、伸びない身長。学校での孤独。そのうちのなにが最も真を追いつめたのかなんて、そんなのぼくにもわからない。たぶんそのぜんぶがからまりあって毎日がどんどん重たくなり、その重たい毎日が積みかさなってさらに重くなり、とうとう一歩も動けなくなっちゃったんだ。
多くのことに絶望して、体力も気力もなくなったぼくは、その夜は公園で野宿することに。
意識が朦朧としてくるなかベンチに横たわり、意識を失うようにして眠る。
そこで事件が起きる。傘の柄でなぐられたような衝撃があり、
同じ頭痛でも、さっきまでの鈍痛とはまったく種類が違った、、、頭の皮膚を引き継ぎられるような激痛。ハンパじゃない痛みが頭蓋骨の内側でなく、外側で炸裂している。
暴漢にぼくは襲われたのだ。そして大切なスニーカーまで盗まれる始末(このスニーカーは真の貯金で買った2万8000円のお気に入りのスニーカーである)
悪漢たちは警察が気配に気づきとそそくさと退散をする。
町の救急病院に入院する←佐野唱子の打ち明け話
暴漢に襲われた夜、なかなか帰らないぼくを母親が心配し、満に頼み込んでぼくの探索に出かける。
偶然、意識を失っているぼくを満が見つけた。
そして満の呼んだパトカーでとなり町の救急病院に運ばれ、傷の手当てなどを受けて、入院することに。
入院から5日後、体力もほぼ回復して、歩けるほどに。
すると佐野唱子が見舞客にくる。
彼女はあれこれ、いつものようにとうとうとまくし立て、立て板に水状態。
うんざりしたぼくが「帰れば」というが、唱子は帰らない。
話はこれからだもん
そして唱子の打ち明け話が語られる。つまり、なぜ小林くんが変わったかを語るのである。
小林くんが変わったわけ。ほら、恋すると人は変わるというでしょ?もしかしたら小林くん、それだったのかも、って。桑原さんへの恋が小林くんを変えたのかもしれない。そしたらね、もしそうだとしたらあたし、もうあきらめるつもりだった、小林くんが二度ともとの小林くんにもどらなくても、きっぱりあきらめようって、覚悟して今日は、それたしかめにきたの
ぼくは唱子を気の毒に思う。
その理由は、小説の前半部分い書かれています。つまり真の眼中に唱子がいなかったからです。しかし、物語はこの唱子によって徐々に最後の結末に向かって進展していくのでこの場面は重要です。というのも、唱子こそ、自殺する前の真を観察し続け、ぼくが真の体に乗り移ったあとに「何か変わった」と気づくからです。真を一番知っているのは、他ならず、唱子です。
唱子は真のことを一番近くでみて、どんな子だったのか、彼女なりの印象を語る。
「あたしの知っている小林真くんは、いつも一番、深いところを見つめていた」
「うるさい教室でも、埃っぽいグランドでも、子供みたいに騒ぐ男子たちのそばでも、小林くんだけはいつも静かに、世界のうんと深いところを見つめてた。だれにも見えないものが、小林くん
するとぼくは嘲笑うよう言います
「ポエムだな」
「ふざけてるのはあんたのほうだよ。あんたの言うような中学生は、この世に存在しない、、そのままの意味だよ。あんたには悪いけど、小林真はもともとふつうの男だったんだ。純粋でも透明でもない、ふつうの中学生。もちろんメルヘンの世界なんかじゃなくて、ここ、あんたらとおなじこのめちゃくちゃな世界に生きていた。なのに、あんたをふくめて、みんながいろいろ決めつけるから……
一方的に美化していた唱子に対して、暴言にも近い言葉を言います。
エロ本も見れば、背が低いと言うコンプレックスを気にして、背が高く見えるようなブーツを買って、、、
こんなふうに女とふたりきりになれば、下心も怒るし、むらむらもする
気が違ったのか、ぼくは唱子にひどい仕打ちをする。つまり桜色の唇にキスをしようとするのだ。
同然、唱子は逃げ出し、病室を後にする。
ぼくは健気に思い続けていた幼い少女の夢をぶち壊してしまったのだ
母の手紙
ぼくは母親から便箋8毎にも及ぶ手紙を受け取る。
その内容は14年間、絵の上手い息子を誇りにしてきたこと。
そしてなぜ自分は浮気をしてしまったのかを綴ったものだった。
自分自身に失望していた私を、フラメンコは励まし、鼓舞して、生きていく活力を与えてくれた。私が家の中で沈み込んでいる時、それでも外に出れば灼熱の太陽が輝いているのだと教えてくれたのです。
ここでいうフラメンコとは不倫相手のことでもある。
全ての手紙を読んだぼくは、言葉の節々に言い訳がましいところが目についてしまい、まったく母親を許す気持ちはおきない。
露骨な嫌味は少なくはなるが、つっけんどんな態度は崩さず、ぎくしゃくした親子関係は続く。
カラフルのあらすじ【展開】
カラフルのもっとも読み応えのある部分に、いよいよはいって生きます。そして新たな友達の早乙女くんに出会い、ひろか・しょうこの関係もクライマックスに向けて一層進んで生きます。内容に入る前に素晴らしい言葉を紹介しておきますね。
ぼくのなかにあった小林家のイメージが少しずつ色合いを変えていく。
それは、黒だと思っていたものが白だった、なんて単純なことではなく、たった一色だと思っていたものがよく見ると実にいろんな色を秘めていた、という感じに近いかもしれない。
黒もあれば白もある。
赤も青も黄色もある。
明るい色も暗い色も。
きれいな色もみにくい色も。
角度次第ではどんな色だって見えてくる
結論だけ先にいっておくと、ぼくの思い込みや勘違いで、父親・母親・兄貴の性格を決めつけていたのです。
彼らは心から真のことを思っていたんですね。
クラスメイトの反応が変わる←早乙女くんとの
暴漢に襲われて入院していた僕は退院後、学校に通い始める。
そこでぼくは驚く。
クラスメイトの反応が違ったからだ。「ひさしぶり」や「もういいの?」という優しい声もかけてくれる。
そして何より、早乙女くんと言う本当の友達ができるのだ。
気さくに声をかけてくれる早乙女くんとぼくは靴屋に行ったり、受験勉強を一緒にやったり…交流を深めていく。
父との川釣り←名シーンです
12月に入ったある日の朝、父親から気分転換に川釣りに誘われる。
そこでスケッチもしたらどうだと。
はっきりとした返事をせず、曖昧に答えていたら、いつの間にか決定事項になっていた。
当日、鋭いぼくは父親が単に川釣りに誘った訳ではなく、
父さん、真と話がしたくてここに来た。これまでは真が自分から話をかけてくれるのを待つもりでいたんだが、この頃思うようになったんだ。もしかしたら父さん、待ってるんじゃなくて、逃げてるだけなのかもしれん、ってな
その後、父から家族の知らない一面・多くの真実を聞かされることになる。
例えば
母さんには、こう、チャレンジ精神ってのがあるんだな、、、長唄だとか江戸芸かっぽれとか、どんどん新しいことにチャレンジしていく前向きな姿勢。
習いごとだけじゃない。パートの仕事だって母さんは生き生きやっていた。笑顔を絶やさず、習いごとと同じくらい楽しそうに、な。おかげで父さん、失業中はずいぶん救われたよ。
バイタリティ溢れ、イキイキと明るい母親。
いつも辛気臭いイメージだった『ぼくにとっての母親像』とは、かけ離れた人間性。
さらに父は自分の過去の話もする。
悪徳商法で捕まった上層部に同情しない。
自分の出世のことだけしか考えていない利己的な性格。
こういったものは全て“誤解”であったことを知らされる。
この点に関しては、本書を読んでください。カラフルのもっとも盛り上がる場所ですから。ぼくはいろいろな真実を聞かされ、多くの驚きが生まれます。
父親の話を聞いたことで、これまでぼくが勝手に描いていた家族像は、崩壊する。
この原因は、人間とは“誤解する”生き物だから。
小林真に限らず、この地上ではだれもがだれかをちょっとずつ誤解したり、されたりしながら生きているのかもしれない。それは気が遠くなるほどさびしいことだけれど、だからこそうまくいく場合もある
満の優しさ
父親はさらに話を続ける。
気づいていたか?満がいきなり医者になりたいって言い出したのは、あの病院でおまえが一命をとりとめた直後のことだぞ
ぼくは混乱する。
なぜなら、背が低いことをバカにし、ことあるごとに真を軽蔑した態度や発言を繰り返していた“満像”とはまったく違うものだからです。
そんな満が、真の自殺未遂と奇跡的に生還が原因となっていたとは!
その真相を知りたいぼくは満に尋ねる。
「医者になろうと決めたのは、ぼくの自殺が原因?」
「べつにおまけは関係ない、おまえの主治医の影響だよ」
いつもの嫌味っぽさを崩す事なく、ぼくの質問に答える満。
しかし、以下の言葉は、満という人物の屈折しているが、心根の優しさがあふれでています。
物心ついた時からそばにいたくずで、不細工で、頭悪くて、いくじなしで、病的な内弁慶で、友達もできない、だから年中おれのあとばっかついてまわってた、世話のやける、目の離せない、14年間、全く目が離せなかった弟が、ある朝、なんてことないふつうの朝に、突然ベッドの上で死にかけてた。しかも自殺だ。自分で死んだんだ。どんな気分になるか考えてみろ!
カラフルのあらすじ【結末】
さあ、いよいよ結末です。これまで、一気に終わりに向かってスピード感が増してきます。
ぼくの疑問「これでいいのか?」
すべてがひと段落ついたように見えたが、ぼくのなかで疑問が残る。
父親。母親。満。ホストファミリーとの関係が好転すればするほど、ぼくはなんだかうしろめたい思いにかられてしまう。真の代わりに高校に通いたい、友達も作りたい、絵ももっと描きたい、と意欲が高まれば高まるだけ、本物の真にすまない気分になって来る。だって誰かの人生を、だれかほかのたつがやりなおすなんて、しょせんは無理な話だから
誰かの人生の“代わり”を、自分が演じるなんてことはできない。
一人の人生は、その人自身の人生であって、代わりなんてない。
いまの自分の状況に徹底的に懐疑的になるぼく。
プラプラへの相談
真の人生を、自分が代わりに勤めることに違和感を覚えたぼくは、プラプラにその気持ちを伝えます。
この家の人たちに本物の誠を返してやりたいんだ。
その言葉を待ってましたとばかりにプラプラは語ります。
小林真の魂を呼び出す方法がないわけじゃない、、、ただし、ひとつ問題がある、、、君が邪魔なんだよ、真の魂がその体にもどるためには、まず君の魂がそこからぬけなきゃならない。
ぼくは、そもそものルールを思い出す。
前世でのあやまちを思い出さないといけないんだ。
24時間以内に解決を
プラプラは、ぼくの言葉を受け止めてある条件を出す。
それは24時間以内に前世でのあやまちを思い出せば、ぼくは輪廻のサイクルに戻ることができる。
そしていまぼくが乗り移っているその体には、本物の真の魂が戻るようにできると。
そんな時間制限があるなかで探すなんて無理だという真にプラプラは言い放つ。
しっかりと目を開け。ちゃんと見ろ。ヒントはいたるところにある。
前世のあやまちを探しまくる
プラプラから話を聞かされたぼくは、真の部屋のあちこち、学校のいたるところ(教室、体育館、倉庫、放送室、男子便所等)を探す。
しかし、ぼく目に入る風景は、なんの代わり映えのないいつもと同じ風景ばかり。
タイムリミットまであと約17時間、約15時間、約9時間弱、、、時間だけがすぎていく。
そして思い当たるところが1箇所だけに絞られる。
美術室だ。
美術室(雷鳴がとどろくなか、現れた人物とは?)
ヒントがあるとしたらここだろう、とじつはひそかに思っていた。だからこそ、なんとなく怖くてあとまわしにしていたのだ。
美術室に向かうぼく。
外では、雷音の凄まじい音がと響いている。
真っ暗な部屋で「キャー」と女の悲鳴が上がる。
声の正体は唱子だ。そう、すべての鍵はこの唱子という人物が握っていたのだ。
唱子の告白
入学した時から私外れてた小学生の頃とは全然違くてクラスメイト達がみんなおしゃれで大人に見えた新しい友達に合わせるの大変だったテンポが違うってよく言われたのそばにいると鬱陶しいってもっと具体的に教えてって言ったらベタベタしつこいって無視されたり上履き隠されたりするようになって。
でも私絶対になりたくなくってなかっなかったら可愛くないってもっといじめられてその頃小林くんもよく廊下で追いかけ回されてたんだ大勢に囲まれてプロレスの技をかけられたりズボン脱がされそうになったり男の子たちのいいおもちゃだったよねでも小林くん泣かなかったから仲間だと思ったんだよ泣かないだけじゃなくて小林くんは私よりずっと平気そうにみえたの無表情で静かな目でいつもじっとこらえてた嵐が過ぎるのを待っている植物みたいねなんであんな風にいられるんだろうって私いつも不思議だったんだ笑を描いている小林くん見てたら何となくわかったそっか小林くんは自分だけの世界を持ってるんだって
唱子も、真と同じくいじめられていた。
そして真に対して、仲間意識を持つようになった。
いやそれ以上に、深い深い底に隠れて、自分の世界をもっていた真への強烈な憧れがあったのだ。
そして、唱子は気づいていたのだ。真がたとえ変化していたようにみえても、根っこの部分だけは変わっていないことを。
だって、小林君の描く絵は変わらなかったもの。そう、小林くんの絵。その独特の色づかい、筆のタッチや、キャンバスに向かう目つきまで、やっぱり小林くんは小林くんだったよ。
唱子の言葉によって、ぼくの瞳に映るすべての世界が、色あざやかな光彩を放ちはじめる。
結末
ぼくは殺人を犯したんだね。
自分を殺した。
ぼくはぼくを殺しだんだ。
プラプラは声高々にさけぶ。
ピンポーン
その声と同時に、天と地の闇が一瞬のうちに光に変わる。
自殺以前のぼくの記憶が、くるくると回転していくような感覚のなかで、鮮やかに、思い出される。
再挑戦に成功したぼくは、『本来のぼく自身=真の肉体』にもどる。
プラプラは最後にこんなことを言う。
ホームステイとは、単なる魂の修行ではなく、あなたのようにいちど自分を捨てた魂が、もういちど自分にもどれるかどうかの、テスト期間のことなのです、、、あなたがたご自身がつまずいた場所で、あなたがたご自身の問題を、あなたがたご自身がもう一度見つめ直していく……とまあ、、どうです。実に理にかなった話ではありませんか。
そしてハッピーエンドで、幕は閉じます。
カラフルの感想を紹介するよ→学べることは?
他者理解への努力が世界の見え方を変える
この本がもっともささるのは思春期の子供だと思います。
思春期は無垢な子供時代が終わりをむかえ、自己を意識し始める時期です。それにともなって多くの「他者」と関係し、彼らと比較するなかで自分の立ち位置や性格を認識し、自己アイデンティティが確立されていきます。
例えばクラスメイトとの関係性でいえば、あの子と比べれば、私は「明るい性格だ」や「賢くないな」、「運動神経はいいほうだな」など。
カラフルは主人公「小林真」の経験を通じて、家族、友人、そしてクラスメイトなど他者との関わり方を新たな視点で見つめ直すきっかけになると思います。
とくに下記の文章は他人と関わるうえで、とても重要な考え方です。
小林真に限らず、この地上ではだれもがだれかをちょっとずつ誤解したり、されたりしながら生きているのかもしれない。それは気が遠くなるほどさびしいことだけれど、だからこそうまくいく場合もある
他者を完璧に理解することは不可能であり、僕たちは皆、多かれ少なかれ誤解の中で生きています。しかし、その現実を受け入れつつも、互いを理解しようと努力する姿勢が大切です。上記の一節、「だからこそうまくいく場合もある」は、この不完全さが逆説的に人間関係を豊かにする可能性を示唆しています。
他者は本質的に自分とは異なる存在です。彼らの内面は、時に理解不能な空白地帯のように感じられるかもしれません。それでも、相手の気持ちを理解しようとする努力は、世界の見え方そのものを変容させます。苦しみに満ちたもの・喜びに満ちたものというように、色彩を帯びたかのように鮮明に感じられるようになるのです。
人間関係とは、その複雑さや困難を乗り越えた先に、色彩豊かな美しい世界が待っているということ。それは自己と世界の認識を形作る根本的な過程なのです。
こうした理解は、特に自己形成の途上にある思春期の子どもたちにとって、大きな意味を持ちます。他者との関わりを通じて、自分自身と世界をより深く、豊かに理解していく。そんな人生について、『カラフル』は優しく照らし出してくれているのです。
まとめ
カラフルはすごくスイスイ読めるのに、最後にはどんでん返しがあって、最高の読了感を味わうことができます。
もちろん、読書感想文で利用するのはもちろんのこと、純粋に読書を楽しむだけでも、オススメの作品です。
ぜひお時間があれば読んでみてくださいね。