静かな田園風景に佇む博物館。
多賀町立博物館は、滋賀県多賀町とその周辺の自然や文化をテーマにした総合博物館です。特に、約180万年前のアケボノゾウや約3万年前のナウマンゾウの化石、そして約2億8000万年前の古生代ペルム紀前期の海洋生物の化石など、貴重な展示が充実しています。
まず初めに見所まとめ!【地質学的まとめ】
個人的に博物館に行くなら、地質学的にどの位置の展示なのかを意識した方が絶対良い!
だから下記のようにまとめました。
古生代ペルム紀(約2億8000万年前)
見どころ: 古代海洋生物の化石(三葉虫やフズリナなど)⇨多賀町は当時、完全に海中だった!
中生代〜新生代(約6500万年前〜現在)
見どころ: 地層展示と地殻変動の解説→かつての海底が隆起し、現在の地形が形成された時代
新生代第四紀前期更新世(約180万年前〜70万年前)
見どころ: アケボノゾウの全身骨格標本⇨温暖な湿地帯にアケボノゾウが生息
新生代第四紀後期更新世(約4万年前〜1万年前)
見どころ: ナウマンゾウの化石と氷河期ジオラマ→氷期の寒冷な草原を歩いていたゾウ
完新世(約1万年前〜現在)
見どころ: 多賀町の生態系ジオラマ→現在の地形と環境に近づいた時代
訪問情報
- 所在地:滋賀県犬上郡多賀町四手976-2
- 開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
- 入館料:大人300円、高校生200円、中学生以下無料
- アクセス:JR琵琶湖線「彦根駅」からバスで約20分
驚きのコストパフォーマンス!
入館料は下記の通り。
- 16歳以上:200円
- 中学生以下:無料
- 多賀町に在住・在勤の方:無料
- 団体(有料の方が20名以上):1人150円
- 障がいのある方:1人100円(付き添い1人まで100円)
【事前に違いを知ろう!】アケボノゾウとナウマンゾウの違い
館内には両方の化石が並んで展示されていたので、それぞれの違いが一目で分かりました。
「どっちがどっち?」と迷う人も多いはずなので、特徴を整理しておきます。
2頭のゾウの違い
項目 | アケボノゾウ | ナウマンゾウ |
---|---|---|
時代 | 約180万年前~70万年前(更新世前期) | 約40万年前~1万年前(更新世中期~後期) |
生息環境 | 温暖な草原・湿地 | 寒冷な草原・森林 |
牙の形状 | まっすぐ長い牙 | 緩やかにカーブした牙 |
体毛 | なし(温暖環境に適応) | あり(寒冷環境に適応) |
体格 | 肩高約2.5~3m | 肩高約2~2.5m |
絶滅理由 | 気候の寒冷化 | 氷河期終了による環境変化 |
豆知識
- アケボノゾウは温暖な日本列島の草原で生きていた象で、気候変動に適応できず絶滅しました。
- ナウマンゾウは氷河期に進化した寒冷適応型で、厚い体毛に覆われていたと考えられています。
館内には、現生のニホンジカとは異なる形状の角を持つ化石シカの展示もあります。これらの化石は、約180万年前の地層から発見されており、日本列島がシカの進化の重要な舞台であったことを示しています。
多賀町立博物館の見どころ
更新世前期!国宝級!アケボノゾウの全身骨格に息を呑む
館内に一歩足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは高さ約2.5メートルのアケボノゾウの全身骨格標本!
1993年に多賀町四手で発見されたこの化石は、日本列島最古級のゾウとして国の天然記念物に指定されています。
アケボノゾウは、約250万年前から約100万年前にかけて日本にいたゾウです。復元骨格は、1993年に多賀町四手で発掘された化石をもとに組み立てました。
長く真っ直ぐに伸びた牙を持つその姿は、180万年の時を経ても威厳に満ちており、思わず足が止まります。
多賀町で発見されたアケボノゾウの化石は、その部位の多さや保存状態の良さから、学術的価値が非常に高いと評価されています。この化石は、全身の約7割の骨が良好な状態で出土し、特に右前脚の骨はほぼ完全な形で見つかりました。
- じっくり観察するならココ!
-
- 色の濃いところの骨は化石を複製したもの、色の薄いところの骨は補った部分です。
- 体の骨がよく残っていました。それにより、比較的胴が長く脚が短い、背中を横から見ると比較的まっすぐな線を描くなど、アケボノゾウの体の特徴がよくわかってきました。
タイムマシンのような発掘現場ジオラマ
次に目を引いたのは、アケボノゾウ発掘現場のジオラマ。
全身骨格標本の向かって右側、戸外にあります。掘当時の状況を再現したジオラマや、化石の複製品などが展示されています。泥に埋もれた骨格が露出した状態は、まるで自分がその場で発掘作業をしているような臨場感を味わえます。
注目ポイント
- ジオラマには、発掘時の土の層や道具が細かく再現されています。
ジオラマの石灰岩の崖の上
展示室にはいると、まず目を引くのがニホンカモシカの剥製。
氷河期のサバイバー、ナウマンゾウ
展示室にはいると、多賀町に流れる芹川で発見された、約3万年前に生息したナウマンゾウの化石も展示されています。
臼歯や切歯化石が展示されています。
古生代ペルム紀前期の海洋生物化石
鈴鹿山脈北端・霊仙山の芹川上流「権現谷」から採取された石灰岩に含まれる約2億8000万年前の化石が展示されています。石灰岩に触れて体感できる展示があって、表面には直径約5mmの放射状の線が見えるサンゴの化石。触るとつるっとした感触があり、化石部分がわずかに膨らんでいるのが特徴。
その他、三葉虫、腕足動物、ウミユリ類、サンゴ、フズリナ類など、多様な古生物の化石を通じて、当時の海洋環境を学ぶことができます
多賀町立博物館では、町内の石灰岩から発見された以下の化石が展示されています。
どんな化石がみれる?
- 三葉虫: 古生代末期の小型の三葉虫。細かい三葉虫の化石が石灰岩に含まれている。
- 腕足動物: 二枚貝に似た古生代の海洋生物で、数種類が権現谷から発掘されています。
- ウミユリ類: 棘皮動物の一種で、植物のような見た目をした海洋生物。
- サンゴ(四放サンゴ類): 約2億4500万年前に絶滅したサンゴ化石で、小型のものが特徴です。
- フズリナ類: 古生代に栄えた紡錘形の有孔虫。単細胞生物ながら複雑な殻を持つ化石。
見どころまとめ
- 触って学べる展示:サンゴ、フズリナ、腕足類、ウミユリ、三葉虫などの化石に実際に触れることができ、質感や特徴を体感。
- 大型レプリカで構造を理解:フズリナの巨大レプリカは内部構造を観察するのに最適。
- 地質学的ロマン:パンサラッサ海の海山由来の石灰岩に触れ、プレート移動の歴史を肌で感じる展示。
カルスト地形の展示
「カルスト」という名称は、地中海に面した旧ユーゴスラビアの地名に由来し、もともとの語源は岩・岩石という意味です。石灰岩という特殊な性質を持った岩石だけで形作られた地形を指します。雨水には普通、二酸化炭素が溶け込んでおり、弱い酸性を示します。石灰岩はその雨水に溶かされ、長い年月の間に特徴的な地形を形成します。このような地形を「カルスト地形」といいます。
滋賀県では、近江カルスト(鈴鹿山脈の北部)を中心に石灰岩が分布しています。この地域に分布する石灰岩は、古生代のペルム紀という時代に堆積してできたものです。
化石シカの展示
多賀町立博物館の常設展示では、約180万年前の古琵琶湖層から発見されたシカ類の化石が展示されています。
これらの化石シカは、体の大きさがわずかに大きい他は、現在のニホンジカとよく似た体つきをしています。しかし、角の特徴はニホンジカのものとは異なり、現在東南アジアなどに生息しているルサジカやアクシスジカと近い種類ではないかと考えられています。