1.映画『時をかける少女』の詳細なあらすじ・ネタバレ結末
2.映画『時をかける少女』のキャスト紹介
薬師丸ひろ子さん主演で実写映画化もされたSFの金字塔「時をかける少女」のスピンオフ作品です。
『時をかける少女(2006年)』の簡単あらすじ
女子高校生の紺野真琴は同級生の津田功介、間宮千昭という二人の男子とダラダラしながらも楽しい毎日を送っていました。
そんなある日、真琴は理科室で転倒し、奇妙な幻覚を見ます。そして、その日の夕方、自転車のブレーキが壊れて踏切に突っ込み、電車に轢かれかけます。
しかし、その直後、真琴は少し前の時間に戻っていました。
その時から、真琴は自分が「タイムリープ」を操る事が出来ると自覚し、食べ損ねたプリンを食べ、テストもいい点を取り、(二度寝や三度寝が出来るので)寝坊で遅刻寸前に登校する事も無くなりました。
しかし、自分の都合のいいように過去を作り変えてしまった為に、迷惑を被る者がいる事に気付きます。
真琴自身も千昭からの告白を無かったことにしてしまった為に、友達と付き合い始めた千昭に苛立ちを覚えたりもしました。
やがて、腕に刻まれた数字がタイムリープする度に減っている事に気付き、無限に時間を戻せないと悟ります。
そして、最後の1回になった時、思いもかけなかった事態に直面するのでした。
『時をかける少女(2006年)』の登場人物
紺野 真琴(演:仲 里依紗)
本作の主人公。
高校2年生。お調子者で、男勝りの活発さを持っている。
成績は中の下。彼氏はいないが千昭や功介とは友達。恋愛に発展する事は考えておらず、放課後にキャッチボールや3人野球をしている。
ある日、突然「タイムリープ」の能力を身につけたが、誰もが認める程に「バカな」使い方しかしなかった。
困ったときは母の妹で東京国立博物館の学芸員である芳山和子に相談する事が多い。
間宮 千昭(演:石田卓也)
琴のクラスメイトで高校2年の春に転校して来た。
数学に関してはは極めて優秀だが、漢字が読めない。
実は真琴を密かに意識しており、巧介が告白された時に
「つきあおう」
と持ちかけたが、怖気づいた真琴にタイムリープでなかった事にされた。
実は,失われた絵を見る為にタイムリープで現代にやってきた未来人。
(修復を行った真琴の伯母 和子によると、千昭が見ることを切望した絵「白梅ニ椿菊図」は「何百年も前の戦争と飢饉が続いた、世界の終わりような時代」に描かれている事や、千昭自身も現代で自転車に初めて乗り、空の広さや地上を流れる川、人の多さや野球の楽しさに感動している事から、未来の荒廃ぶりが伺えるシーンもあるが、明確にはされない)
津田 功介(演:板倉光隆)
真琴のクラスメイトで、真琴とは中学時代から友人。
ボランティア部に所属しており。家は病院で父親が院長。
彼も医者を目指して医学部を受験予定。
芳山 和子(演;原沙知絵)
真琴の叔母で、東京国立博物館で学芸員をしている。(主な仕事は古い絵画の修復)
30代後半だが独身。
表情から心の内を伺わせないミステリアスな雰囲気で、真琴は「魔女おばさん」と呼んで慕っている。
(原作の小説「時をかける少女」のヒロインが成長した姿、という設定)
『時をかける少女(2006年)』の詳細あらすじ
あらすじ・ネタバレ1【夏休み前 タイムリープに目覚める】
倉野瀬高校2年生の紺野真琴は、医者の息子で優等生の津田功介、春に転校してきた、飄々とした性格の間宮千昭とグランドで野球をしていました。
「美幸(真琴の妹)がプリンを食べちゃってさぁ‥」
などと他愛もない愚痴を言っていると、何処からか声が聞こえてきました。
空を見上げた真琴の額に、天空から真っ逆さまに落ちてきた物――それは目覚まし時計でした。
全ては真琴の夢だったのです。
2度寝しようとした真琴でしたが。登校時間が迫っていた為にはね起きました
遅刻ギリギリで千昭と共に教室に滑り込んだ真琴は、先生が入って来るなり小テストを始めてゲンナリしてしまいます。
真琴は、自分は運も要領も良く、何でも卒なくこなせる人間だと思っていました。
しかし、その日の調理実習ではてんぷらを揚げ損ねてボヤ騒ぎを起こし、小テストでは酷い点を取り、プロレスごっこをしていた男子生徒にぶつかるなど散々でした。
更にクラス全員のノートを届けに行った理科準備室でクルミのような奇妙な物体を見つけた後、誰かの気配に驚いて奇妙な物体の上に転倒し、ものすごい勢いで地球の歴史を体験したような幻覚を見ます。
散々な一日だったと不機嫌になりながら自転車を漕いで帰る途中、坂道でブレーキが壊れて踏切に突っ込み、電車が通過しようとしている線路内に投げ出されてしまいます。
「今日が運の悪い日だって忘れてた・・・私、ここで死ぬんだ・・・」
そう悟った瞬間、真琴の周りの風景が変わり、気が付くと少し前の時間に戻っていました。
母親の妹で、東京国立博物館で絵画の修復をしている芳山和子(魔女おばさん)に相談しますが
「それはタイムリープね。貴方ぐらいの年の子ならよくある事よ」
と笑っているだけでした。
しかし、いくら真琴でも、最初は受け入れる事が出来ませんでした。
そもそも、どうやったらタイムリープできるのかも分かりません。
色々と試行錯誤していると、心配性の妹 美雪に
「プリンを勝手に食べた事を悲観して自殺しようとしている?」
と疑われてしまいました。
もう諦めかけた頃、半信半疑で土手の上から川に向かって突っ走り、思い切りジャンプすると・・・
真琴は数日前に戻っていました。立っていたのはキッチンで、目の前の冷蔵庫を開けると、美雪に食べられてしまった筈のプリンがありました。
「私…戻れんジャン!」
タイムリープのコツをつかんだ真琴の日常は、いいことずくめになりました。
好きなだけ寝ていても、時間を遡って余裕で登校できます。
テストも楽勝。前は9点だった小テストも100点でした
ボヤを起こしかけた調理実習は同じクラスの男子 高瀬に班を替わってもらいました。
校庭でぶつかるはずだった男子生徒は、華麗にブリッジして回避。
カラオケも何回も戻って喉が枯れるまで歌い続けられます。
好きな夕飯が出た日に戻って、もう一度食べたりもしました。
お小遣いを使い切っても、貰う日に戻れば全額手付かずです。
野球をしていても打ったボールを全てキャッチ、投げた球は打ってしまうので千昭が怒ってしまいました。
「もう笑いが止まりませんよ~」
有頂天の真琴は、和子おばさんに
「貴方の代わりに、誰かが迷惑を被ってるんじゃない?」
と言われても真剣に考えてはいませんでした。
あらすじ・ネタバレ2【タイムリープの代償】
そんなある日、功介が後輩の藤谷 果穂から告白されます。(しかし、「付き合えない」と断った。)
いつもの様に3人で野球をした後、千昭と真琴は途中で巧介と別れます。
千昭の自転車に乗せてもらって帰っていた真琴は、巧介が誰かと付き合ったらという話をしていましたが
「真琴、俺と付き合わない?」
と突然に千昭に言われてしまいます。
動揺した真琴時間を戻してやり直しますが、どうしても告白を回避できません。ついには機嫌の悪い振りをして千昭とは別の道で帰ってしまいます。
「アンタは千昭君の事が好きだと思ってた。でも、かわいそう。せっかく思いを伝えたのに、無かった事にされちゃって」
相談をした和子おばさんに言われ、真琴は初めて自分勝手なタイムリープのせいで他人の人生や心を弄んでいた事に気付きます。
その他にも、タイムリープのツケが表面化しだします。
ある日、学校の中庭で真琴のクラスメイト 高瀬が数人の男子からホースで水を浴びせられて全身びしょぬれになっていました。
先日、調理実習の時に真琴に代って天ぷらを揚げた高瀬は誤って油に引火させて火事を起こしかけていました。その時、消火器で火を消そうとしましたが、焦って手元が狂い、近くにいた男子生徒達に消火剤を浴びせてしまっていたのです。
その日以来、高瀬は目をつけられてしまい、いじめられるようになっていました。
千昭が蛇口の栓を締め、男子生徒達は興ざめして立ち去りましたが、残った高瀬は真琴に気付き
「紺野、何であの時、班を代わってくれなんて言ったんだよ!お前のせいだからな!」
と怒りを向けてきました。その剣幕に、真琴は戸惑うしかありませんでした。
そして、その日から何となく気まずくなり、真琴は巧介や千昭と距離を置くようになります。
理由の分からない巧介と千昭は
「真琴がキズ付くような事を言ったんだろう。足のサイズがデカいとか」
「言ってねぇよ!」
と動機の探り合いを始めてしまいました。
そして、千昭はクラスメイトの早川友梨と親密になってゆきます。(元々、友梨は千昭の事が気になっており、距離を縮める機会を伺ってはいたのです)
そんな時、嫌がらせに耐え兼ねた高瀬が消火器を持ち出し、自分をいじめた男子生徒達にかけると言う騒動が起こってしまいます。
慌てて止めに入った真琴でしたが、興奮した高瀬に
「僕に命令するな!」
と、消火器を投げつけられます。危ない所で千昭が庇ってくれましたが、真琴はタイムリープして千昭を突き飛ばし、消火器の直撃を回避します。
しかし、床にはねて思わぬ方向に転がった消火器が、野次馬の中にいた友梨を直撃してしまいます。
友梨はすぐに保健室で手当てを受け、心配して駆けつけた千昭との距離はさらに縮まりました。
その事件がきっかけで千昭と友梨は付き合う事となり、遂には、巧介と真琴の3人でと約束していたナイターに、千昭は友梨と一緒に行ってしまいます。
前は千昭が自分に告白してくれたことを覚えていた真琴は面白くなく、モヤモヤする日が続きました。
あらすじ・ネタバレ3【変わってしまった未来】
ある日、お風呂に入っていた真琴はいつの間にか自分の腕に刻まれていた数字に気付きます。
「90?」
しかし、これが何の数字なのか迄は分かりませんでした。
やがて、千昭は友梨と会う時間が多くなり、真琴と巧介は二人きりでキャッチボールしか出来ない日々が続くようになります。
そんな時、和子叔母さんが長い間修復していた絵が完成し、公開される事になりました。それを見に行った真琴は、千昭の事を叔母さんに話しました。
叔母さんは、真琴に「巧介君と付き合ってみたら?ダメなら元に戻せばいいんだし」と提案してきました
「そんな事、絶対にしない!」
「どうして?人の心を弄ぶのはイヤ?いままで散々やって来たのに」
そう言われて、真琴は言い返す事が出来ませんでした。
夏期講習や模試と、周りに受験ムードが漂い始めた頃、真琴は後輩達に呼び出されます。
真琴を呼び出したのは藤谷果穂(巧介に告白し、振られた1年の女子生徒)の友人でした。
巧介は「自分よりバカだと思っていた奴が、模試で良い点を取った。浮かれてられない」と言って果穂との交際を断っていました。しかし、巧介と真琴が仲よくしているのを見かけ、彼女達は二人が実は付き合っていたのではないかと疑っていたのです。
”「バカだと思ってた奴」って、私の事?”
果穂もタイムリープで被害を被っていたと知った真琴は責任を感じ、何度も時間を遡って二人を結び付けようとしますが、なかなか上手く行きません。
遂には、校庭でプロレスごっこをしていた男子にぶつかる日(7月13日)に戻り、男子生徒がぶつかって来る地点に巧介と果穂を呼び出しました。
そして、真琴の代わりに巧介が男子生徒にぶつかり、果穂は倒れた巧介の下敷きになりました。
足を挫いた果穂は巧介に介抱され、二人をごく自然に接近させる真琴の作戦はようやく成功しました。
(ついでに、その日の朝に行われた小テストで真琴は散々な点数を取り、巧介が「浮かれてられない」という状況にしない事にも成功していました)
良い事をしたと清々しい気持ちになっていた真琴は、腕の数字が「01」となっている事に気付き
「もうあと一回しか出来ないのか…」
と少し落胆しますが「ま、いいか」とあまり気にしていませんでいた。
しかし、直後に巧介から送られてきた
「(足を挫いた果穂を送ってゆくので)自転車を借りる」
というメールを見て顔色を変えます。
本来、真琴はこの日に自転車のブレーキが壊れて踏切に突っ込む筈だったからです。
自分の代わりに巧介と果穂が突っ込むと思った真琴は、事故が起こるはずの踏切に駆けつけますが、何も起こってはいませんでした。
ホッとしたその時、真琴の携帯電話に千昭から電話が掛かってきました。
他愛ない会話の後、千昭が突然聞いてきました。
「真琴、お前・・・もしかしてタイムリープしてない?」
動揺した真琴は、思わず最後のタイムリープをして、質問を無かった事にしてしまいます。
「しまった。つまんない事に最後の一回を使っちゃった・・・」
そう呟く真琴の横を、果穂を荷台に乗せた巧介の自転車が通り過ぎてゆきました。(巧介の家〔病院〕で果穂を手当てし、送ってゆこうとしたのです)
「真琴、自転車もうちょっと借りとくぜ」
その直後、巧介はブレーキが壊れている事に気が付きましたが、坂道で勢いがついて止まらなくなっていました。
真琴も慌てて追いかけましたが、人込みに阻まれて追い付けません。遂には、何とか止まろうとして脱げてしまった巧介の靴が顔面を直撃し、派手に転んでしまいます。
「止まれ!止まれ!止まれ!止まれ~!」
真琴は満身創痍になり、涙を流しなら叫びましたが、自転車は坂をものすごい勢いで暴走して踏切に突っ込み、巧介と果穂の体は線路に投げ出されて・・・
そこで、時が止まりました。
呆気に取られる真琴の目の前に、動きを止めた人込みの中なら現れたのは、ブレーキの壊れた自転車を押した千昭でした。
「・・・俺が未来から来たって言ったら、信じる?」
あらすじ・ネタバレ4【未来から来た少年】
真琴が理科準備室で見つけたクルミ状の物体は、エネルギーを体にチャージするタイプの時間移動装置だったのです。そして、その持ち主は千昭で、うっかり落として探し続けていたのです。
千昭がこの時代を超えてやってきた目的は、東京国立博物館に展示される「白梅ニ椿菊図」(和子叔母さんが修復していた絵)でした。この絵は千昭のいた未来では焼失しており、この時代より以前では所在不明で、確実にみられるのはこの時代、この場所だけだったのです。
「どんなに遠くでも、どんなに危険でも、一目見てみたかったんだ・・・絵を見たら帰る筈が、いつの間にか時が過ぎて夏になってた」
しかし、千昭は最後に一回だけ残していた時を超えるエネルギーを使ってしまい、元の時代に帰れなくなっていました。
「どうして?使い時ってもんがあるでしょうが!?」
「・・・使い時だったんだよ。今のお前は知らないだろうが、巧介と果穂ちゃんはあのまま踏切で死んじまったんだぜ。お前は責任を感じて泣きわめくしさ。巧介が乗る筈の自転車をかっぱらう為に使うしかなかった」
そして千昭はこのまま姿を消すと真琴に告げました。
「タイムリープを過去の人間に知らせてはならない」
そのルールを千昭は破ってしまったからです。
真琴は必死で止めようとしました。しかし、千昭の姿は雑踏の中に消えてしまいました。
そして、止まっていた時が動き出しました。
次の日から、突然に姿を消した千昭に関する噂が学校中で出回っていました。
「自主退学したらしい」
「ケンカの相手をバットでボコボコにしたらしいよ」
「かなり年上の女と結婚するらしいよ。子供作っちゃったんだって」
「借金取りのヤクザに追われて、学校を転々としているらしい」
巧介は「アイツはそんな奴じゃない!」と悪い噂を否定して回っていましたが、真琴はそんな気力もありませんでした。
巧介に
「真琴、お前も知らなかったのか?」
と聞かれて
「私、最低だ。大事な話をしてたのに、なかった事にしちゃうなんて・・・」
と呟いて、屋上で大号泣してしまいます。
真琴から悩みを打ち明けられた和子叔母さんは、かつて自分にも好きになった男の子がいた事、離れ離れになって再開するのを待っている内にずいぶん時間が経ってしまった事を話してくれました。
「でも真琴は私とは違う。待ち合わせに遅れてくる人がいたら、走って迎えに行くのがアンタでしょう」
そう言って励ましてくれました。
その日の夜、何もする気が起こらずにベッドの上でゴロゴロしていた真琴は、腕のカウントが「01」に戻っている事に気付きます。
千昭のタイムリープにより、真琴の最後の一回は無かった事になっていたのです。
真琴は一目散に家を飛び出て坂を駆け下り、ありったけの力でジャンプして、全てが始まった7月13日に向かって時間を超えたのでした。
辿り着いたのは、7月13日の理科準備室でした。
千昭を探して校庭に向かいましたが、そこに巧介しかおらず、千昭は一足先にグランドに向かったと言われました。
まだ巧介が果穂に告白される前だった事を思い出した真琴は、校庭の隅で様子を伺っていた果穂とその友達2人の方を指さして
「あの子達も誘おうよ。野球は多い方が楽しいでしょう。そう言ってきてよ」
と、巧介と果穂が距離を縮めるきっかけを作ると同時に
「私の自転車、勝手に乗ったら5000円だから!」
と事故が起こらないように釘を刺したうえで、千昭のいるグランドに全速力で向かいました。
グランドで千昭を見つけた真琴は、おもむろに自分がタイムリープや千昭が未来から来た事を知っていると話しました。
千昭は驚きましたが、抜け殻になったクルミ状の物体と、千昭の腕のカウントが「01」に戻っている事を確認して安堵する真琴の表情を見て
「何で話しちゃうんだよ。俺のバカ・・・」
と呆れながらも、話が本当だと悟ります。
「あの絵、未来に帰って見てよ。それまで残っているように、私が何とかする」
真琴が千昭に約束すると
「巧介によろしくな」
「真琴、急に飛び出してケガとかするなよな」
と言って姿を消した・・・と思ったら、戻って来て、そっと真琴を抱き寄せ
「未来で、待ってる」
と言い残して、今度は本当に消えました。
「すぐ行く・・・走っていく!」
涙を流しながら、真琴は消えた千昭の背中に叫びました。
数日後、千昭と入れ替わりに果穂と友達二人を加え、巧介と真琴はグランドで野球をしていました。
「千昭のやつ、挨拶も無しでいなくなりやがって!」
愚痴る巧介に、ピッチャーマウンドの上の真琴が言いました。
「きっと、やりたい事が出来たんだよ・・・私も実は決まったんだ、やりたい事」
「何だよ?」
「ヒミツ!」
晴れ晴れした顔で、真琴は思い切りボールを投げたのでした。
『時をかける少女(2006年)』の感想
主役は原作の姪と言う設定ですが、男勝りな性格そのままに、深く考えもせずにタイムリープを自分の私利私欲の為にバンバン使い、青空の下で男友達と野球を楽しんでいる、見ていて気持ちの良い女子高生です。千昭に告白されるとタイムリープで帳消しにしたくせに、彼が他の女の事を仲良くすると面白くない、可愛らしい面もあります。
高校2年生と言う、大人になる少し手前の揺れ動く時期だけあって、勉強や恋の悩みも出てきて、誰でも甘酸っぱく感傷的な気持ちを思い出さずにはいられません。
真琴は何度もタイムリープをして自分の思い通りにし「タイムリープを悪用されたらどうしようかと夜も眠れなかったが、バカな使い方しかしてなくて安心した」
「よかった、大した使い方はしてないみたい」
と千昭や和子叔母さんに妙な褒め方をされるような真琴でさえ、やがて代償を周りの誰かが払っている事を知ります。その痛みや重大さを知って、真琴は一つ大人になったように見えました。
細田守監督の細かい演出
また、「ここから分かれ道」という道路標識や、真琴のTシャツに印刷された「01」の数字が話とリンクしているなど細田守監督の細かくて心憎い演出も見どころの一つです。
更には奥華子さんの主題歌や挿入歌も物語の雰囲気とよくマッチしていて、何度見返しても胸に刺さり感動が色褪せません。
これから大人になる人にも、かつては少年少女だった大人にも、きっと夏空のような清々しい感動をくれる傑作です。